軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3「爽やかな出発の朝じゃね?」③

「あー、ごほん。そういえば、月読先生! 質問があります!」

「……急に話題を変えてくれて助かります。なんでしょうか?」

気まずい空気になったので、夏樹は無理やり話を変えた。

少々頬が赤いのはご愛嬌だ。

「今日、杏さんと、祐介くん、征四郎に義政先生を呼んでいないのはどうしてですか?」

祐介は連絡が取れないので仕方がないが、杏さんは行きたがっていたし、征四郎と義政は呼べば普通にくるだろう。

だというのに、あえて彼らを外した理由がわからなかった。

「杏さんに関しては、ふたりで話をしたのですが……正直なことを言えば、まだ夏樹くんの関係する霊能関係以外に知られていないことが大きいです」

「えっと、知られたらまずいんですか?」

「そうですね……とてもわかりやすく言いましょう。今の夏樹くんみたいに、せっかくのゴールデンウィークが行きたくもない学校に見学に行って潰れます」

「すっごく説得力ある!」

「誘った私が悪いのですが……。他にも、スカウトなども鬱陶しいですね。どこの家も霊能力者の「質」がゆるりと下がっていると聞いています。同時に、新興の一族が増えてきました。どちらも、杏さんのような才能を持ち、どこにも属していない子は喉から手が出るほど欲しいでしょう」

「え? 杏さんは月読ファミリーの一員では?」

「その組織は非公式です!」

「がーん!」

月読が夏樹の頭に軽いチョップを落とした。

「水無月家には知られていますが、彼らは情報をとどめてくれています。他にも七森家、安倍家、加座間家、神奈家も同じです。祐介くんもです。せっかく隠されているというのに、わざわざこちらから教える必要はありません」

「あれ? じゃあ、神奈さんちの義政大先生は?」

「いろいろ言いたことはありますし、不可思議なこともありますが、まず言わせてください。――彼はまだ五歳です」

「でも中の人はきっと人生三周目くらいの風格が」

「中の人なんていません! いえ、いるかどうか流石にわかりませんけれど!」

「月読先生にしてわからないと言わせる――さすが義政大先生、俺たちと立っているステージが違うぜ」

「あの子はほんま不思議やもんねぇ」

円にとっても義政は不思議でいっぱいらしい。

「今回の見学が安全で楽しいものであれば、同行していただいてもよかったのですが、さすがに。それに、征四郎さんはこれからいく学校で講師をしていたことがあり、それで、その」

「あー、銀子さんに負けて神奈家家宝の魔剣取られちゃったんですよね!」

「……正解です」

「銀子さん、そんなことしとったんね」

「銀子さんですから!」

自慢の家族です、と胸を張る夏樹に円も月読も苦笑する。

銀子は癖が強いが基本的に面倒見の良いお姉さんだ。

今回の見学だって、きっと元生徒として世話を焼いてくれるだろう。

「おい、由良。その青山の姉さんが、小梅の姐さんたちと一緒に来たぞ」

「――ようやく来てくれたんだ。おーい、小梅……ちゃ?」

夏樹は声を失った。

小梅、銀子、星子、菜々子は全員制服を身につけていた。

どこから手に入れたのか、幼い星子と菜々子まで夏樹の中学校の制服を着ている。

「もうなんか面倒じゃから、みんなで制服ってことにしたんじゃ!」

夏樹は静かに親指を立てて、涙を流した。