作品タイトル不明
47「お久しぶりのアマイモン様の戦いじゃね?」②
「―――――へ?」
腹に腕が刺さった獅子山は、自分の腹部とアマイモンの顔を交互に視線を動かした。
「なんで?」
「少年、いや、獅子山と言ったか? 君が弱いのだよ。先ほども言ったが、鍛錬がまったく足りていない。そして、君の力は使えば使うほど死に近づくのだが……君から死の匂いがする以上、すでに誰かを手にかけているね?」
「……だったら、だったらなんだっていうんだ!」
「新たな神々に力を与えられてしまった人間であれば、なんとかしてあげたかった。それだけだよ。――残念だ」
アマイモンが腕を引き抜く。
力を得ても、腹に穴を開けられた経験などない獅子山は激痛にのたうち回りそうになる。
実際、のたうち回っていただろう。――アマイモンに蹴られるまでは。
少年の肉体から放たれた蹴りとは思えない一撃が、獅子山の顎を横から蹴り砕く。
頭が一回転しなかったのは奇跡だった。
「はまぁあああああああああああ」
顎が砕けたせいで、まともに声が出ない。
砕けた顎を恐る恐る触れようとして、だが、腹にも穴が空いている状態で何をしていいのかわからず混乱しているように見えた。
「回復は可能か? 再生は可能か? なんでもいい。待っているから、その傷を治すといい」
倒れもできず、だからと言って真っ直ぐ立つこともできない獅子山に、アマイモンの淡々とした声が響く。
獅子山は痛みで混乱し、脳と身体がフリーズしてしまっている。
アマイモンの声も耳には届いているのだが、脳が処理できないのだ。
「……アマイモン様、殺してやった方が救いかと思います」
「――そうか」
ガープの一言で、アマイモンは獅子山の回復を待たずに殺すと決めた。
「きっかけがなんであったか知らぬが、神の力を得たことには同情しよう。だが、その力で人を殺すという決断に至ったことは侮蔑する」
アマイモンの肉体に初めて魔力が通る。
洗練された魔力は、力を失っても衰えることはない。
力は失った。また鍛え直しであるが、夏樹と戦った時の力を取り戻すのにそう時間はかからないだろう。
身体強化をした蹴りが、獅子山を襲った。
少年の左肩に当たった凄まじい威力のある蹴りは、彼の肉体を大きく歪ませた。
その衝撃により、腹に空いていた穴が捩れ、千切れてしまった。
痛みは少年に伝わったのか、それともそれよりも早かったのか、獅子山の上半身が宙を舞う。
下半身を残し、空高く舞い上がり、しかし意外と近い場所に音を立てて落ちた。