作品タイトル不明
26「ようやくイベントが終わったんじゃね?」
「んじゃ、いい加減に今度こそ帰りましょう! もうお腹いっぱい!」
「そうじゃのう。俺様も疲れたんじゃ」
「私も、パトロールからバトルイベントになっちゃったから早くお家帰ってサウナをキメたいんですけどぉ」
夏樹、小梅、花子は、ダルさを隠さずに早く帰路につきたがっていた。
そんな三人を無視しているわけではないのだが、月読は真面目な顔を崩さずに死の神から視線を外さない。
「死の神、あなたからは情報をもらいましょう」
「わかった。だが――」
「わかっています。百合園さんがあなたの要望に応えてくださるまでの時間を預けてください。あなたが嘘偽りなく情報を下されば、私から何かすることはありません。無論、今までのような行動をするのであれば話は別ですが」
「わかっている。望みを叶えてもらえるのであれば、いうことを聞こう」
死の神は素直な返事をしてくれた。
月読は安心したように頷く。
「百合園さん。こちらが私の連絡先です。ご迷惑をおかけしますが、手続きの件お願いします。何か問題が起きたり、助けが必要であればいつでもご連絡ください」
「あ、ありがとうございます!」
名刺を差し出されたありすは、両手で受け取り深々と頭を下げた。
神の連絡先を知ることができるなど、まずないことだ。
「あなたが新たな神々や「帝国」から身を守りたいということも理解しています。私はあなたに大きな借りができましたので、何かあったら全力で守らせていただきます」
「――感謝します」
ありすの背後では、滝とキリエも深々とお辞儀をしている。
ありすを裏切った面々も、このような結末になることを知っていれば、決して裏切ることなどしなかっただろう。
だが、やり直しなど絶対にできない。
彼らはもう死んでしまっているからだ。
「後日、あなたに負担させてしまったお金はできるだけ返せるように努力します」
「いえ! 私たちの身を守っていただけるのですから、お気になさらないでください!」
「……ありがとうございます。全力で守らせていただきます。夏樹くん!」
「へい!」
「百合園さんたちを気にかけてくれますか?」
「おまかせくだせぇ! 近づくやつは全員殴殺してみせまさぁ!」
「……そういう極端なことは求めていないんですが。はぁ。さあ、ではこの場から離れてください。これだけ倉庫が壊れてしまっては誤魔化すこともできませんので、私で対処しておきます」
「さすが月読先生、どうもありがとうございます!」
「今回は夏樹くんに非はありませんからね。任せてください」
月読は夏樹に近づく、肩に手を置く。
「夏樹くんの強さは知っていたつもりでしたが、もっと強かった。どうか、その力を間違った使い方をしないように願います」
「もちろんです! 月読組の特攻隊長として、分別ある行動を心がけます!」
「……ならば、まずその月読組をやめてください」
「あ、すみません! 月読ファミリーでしたね!」
「…………もういいです、それで」
月読はうなだれてしまった。
―――こうして夏樹の長い午前中のイベントが終わった。