作品タイトル不明
12「月読先生は考えるんじゃね?」
憤怒の表情を浮かべる死の神からは凄まじい殺意が溢れていた。
気の弱い人間ならば、この場にいるだけで死んでしまうのではないかというほどの殺意だった。
「私の目的のために、その命を差し出せ。今なら一瞬で死を与えてやる。拒むのであれば、この場にいる誰も彼もと一緒に苦しめながら殺してやる!」
「絶好調だな、あんた! つーか、事情なんて知るか! こっちは命を狙われているんだから全力で抵抗するに決まっているだろうが!」
「私は守る! あの子を守る!」
「知るか!」
夏樹と死の神が再び激突した。
「ちょ、夏樹! 落ち着くんじゃ! おどれの戦いに俺様たちがついていけないじゃが! 足並みをそろえんかい!」
「マイフレンドなっちゃん! 相手は死の神だ、不用意に力を食らったら死んじまうぞ!」
「それが死なないんじゃなぁ」
「嘘ぉ!」
夏樹が死の神の力が通じないことを小梅に聞かされた素戔嗚が驚く。
それもそのはず、神や魔族さえ殺す死の神の力が、いくら勇者とはいえ人間の夏樹に通じないなどありえないのだ。
「ええいっ、夏樹なら器用に避けるじゃろう! 攻撃をするんじゃ!」
「俺の天叢雲剣は親友は斬らねえ!」
「――待ちなさい、ふたりとも」
夏樹に加勢しようとした小梅と素戔嗚を月読がふたりの前に出て止めた。
月読はこれを好機であると考えた。
今まで、死の神は姿を現さない神だったが、夏樹との接触で二度も姿を現している。
「不死の神」に関して知らないと言ったが、実際はどうかわからない。
できることなら、この場で捕縛して情報を吐かせたかった。
金が必要と言っていたので、必要なら用意する準備もある。ただ、一億であると時間はかかるかもしれない。
用意している間に、また姿を消されては困る。
ならば、夏樹には申し訳ないが、殺さずに倒して欲しいと願ってしまうのだが、
(ちょっと無理そうですねぇ)
鈍い音がして、血が飛ぶ殴り合いを始めた夏樹と死の神を見ていると、どちらかが死ぬまで戦い続けそうだ。
(……私の長い計画がすべて破綻しそうですね! はははは! でも夏樹くんのところにひょっこり不死の神が遊びに来る予感がするので、今までの計画が無駄だったってなりそうですけどね! あははははは!)
計画など立てずに、夏樹にひっついていれば「不死の神」にその内に遭遇できる予感しかしない。
夏樹にとってはひどく迷惑だろうが。
「私たちは死の神の影響を受けます。死なずとも、力がなくなる可能性もあります。夏樹くんが死の神の力が効かないのであれば、申し訳ありませんが任せましょう」