作品タイトル不明
11「一登きゅんも向かうんじゃね?」
「――うわっ!?」
三原一登は、大きな魔力を感じ取りベッドの上で驚いてしまった。
せっかくの休日なので、朝食後に自室でダラダラしていたところだった。
「微妙に揺れたし、光ったよね。この魔力といい絶対夏樹くんが休日イベント中だ!」
どうして呼んでくれないのかと思う。
夏樹のことだ。
一ヶ月前まで一般人だった一登を極力巻き込まないように気を遣ってくれていたのだろう。
親友にして兄のような夏樹の心遣いに感謝しているが、同時に頼って欲しいと思う。いつも守ってもらう存在だった一登だが、未熟ではあるが勇者だ。
夏樹ほど規格外の力はないが、火輪の剣に選ばれて戦う力があるのだ。
「――行こう」
ジャージを脱ぎ、ジーンズとパーカーに着替えると、玄関に走る。
スニーカーを履くと、相棒である「火輪の剣」が姿を現せた。
「ご主人様、いきましょう」
「うん、いこう。火輪、力を貸して!」
「おまかせくださいませ」
金髪縦ロールの剣の化身が嬉しそうに微笑んだ。
玄関を出て港に向けて走る。
身体強化した肉体で、跳躍するように周囲の人々に気づかれないように影を射抜くように速度を出して走る。
すると、隣に見知った顔が並んだ。
「――祐介くん!」
「一登くんも港に向かっているってことは、夏樹くんの力を感じ取ったんだね?」
「うん。またなにかイベント中みたいだからいても立ってもいられなくて」
「一登くんらしいね。僕も何も考えずに家を飛び出しちゃったよ」
考えることは一登も祐介も同じだった。
「――っ、来る!」
「何が――」
「とらぴーだぁああああああああああああああああ!」
「うわっ、ダーリンのところに助っ人に向かおうと思ったら気持ち悪いのがいた!」
「わしもいるよ! 千手ぱっぱだよ!」
一登と祐介と同じく、虎童子と七森康弘が並んで疾走していた。
「虎童子さんと千手さんのお父さんも」
「あたいはダーリンから家にいろって言われたんだけど、由良夏樹のアホみたいな力を感じたから絶対やっべーのと戦っているってわかったらジッとしていられんじゃん!」
「パパもマイサンとご友人たちが心配で気づけば全力ダッシュしていたよ!」
一登は心強く感じた。
みんながいるのなら夏樹の足手纏いになることもないだろう。
四人は頷き合うと、走る速度をさらに上げた。