作品タイトル不明
11「厄介な話って空気でわかるんじゃね?」②
突然すぎる、死の宣告に夏樹がぽかんとする。
「なして、と言われても。なっちゃんじゃいずれ新たな神々に殺されちゃうから?」
「……そっちかー。ホラーさんの力に押しつぶされるとか内側から破裂するとかそういう警告かと思ったら、そっちかー」
確かに新たな神々が強いことはわかっていたが、海の神たちに宣告されるほど強いとは思いもしなかった。
「んにゃ、なっちゃんの力は大きすぎるからあまり成長しすぎるとぱーんってなるけど、ま、その辺は大丈夫っしょ。でもなぁ、今のなっちゃんじゃ逆立ちしても太陽の神には勝てないもんなぁ」
「待って待って待って待って! おかしい! 前提がおかしい! おーかーしーいー!」
ばんっ、ばんっ、ばんっ、とテーブルを叩く。
「どの辺がおかしいの?」
「なーんーでー、俺が新たな神々のトップと太陽の神と戦わなくちゃならないの!?」
「戦わないの!?」
「戦わないよ!?」
「…………」
「…………」
「…………んじゃ、そういうことで」
「おい、待てやコラ。温厚ななっちゃんもキレ散らかすぞ?」
話は終了とばかりに立ちあがって帰り支度を始める海の神を睨みつけた。
海の神は気まずそうに「たはは」と笑うが、誤魔化されない。
「いやー、めんごめんご! 俺ったら、てっきりなっちゃんは新たな神々ぶっ殺すマッシーンかと思っていたんだよねー」
「向島市一の紳士に向かってなんて酷いことを!」
「今回、会いにきたのだって、姉ちゃんの件もあるけど、新たな神々と一緒にして欲しくないからなんだよねぇ。――俺たちは無駄な戦いも殺しもしたくないからさ」
「俺だって同じだよ!」
目の前にいる海の神と戦って勝つことはないだろう。
良い勝負ができるとも思わない。
それこそ、蒼穹の星槍の力をすべて使いこなすか、海の力を支えて初めてまともに戦えるくらいに実力差はあるだろう。
だが、以前の問題として、戦う想像ができないのだ。
――人間が自然と戦おうとは考えないだろう。
「なんだなんだ、ならもっとフレンドリーでいいわけだねー」
「今までもずっとグイグイきていたのに、まだグイグイくるつもり!?」
「ははは、いいじゃん! 姉ちゃんが世話になっているからさ! もう俺たち、オハナじゃん!」
「いや、ハワイ語で家族と言われても」
海の神は夏樹の隣に移動すると、親しげに肩を組んだ。
「んじゃ、二次会はなっちゃんの家で」
「……これ以上、我が家を魔境にせんといてください」
「ははは」
「笑い事じゃねえから! というかさ」
「ん?」
「あんたたちは新たな神々をどうこうしようとは思ってないの?」
「思わないねぇ」
「思わん」
「思わないかな」
海の神、大地の神、炎の神はもう決まっているとばかりに簡潔に答えた。
「ありゃ?」
「由良夏樹、俺たちは新たな神々にさほど興味はない。一緒にされたら迷惑だが、好きにすればいいと思っている」
「えっと、でも勇者を選んでいるわけだし」
夏樹の指摘に、大地の神が鼻を鳴らす。
「それはそれだ。俺にとって、初めて力を授けてもいい人間が現れた。だから、与えた。それだけのことだ」
「祐介くんのどこにそんな可能性が!?」
「それは俺だけが知っていればいい」
「……なんかかっこいい。今度、俺も言ってみよう」
祐介の可能性はさておくとして、夏樹にとって新たな神々よりも彼らの動きの方が興味深かった。