作品タイトル不明
10「厄介な話って空気でわかるんじゃね?」①
「え? 真面目な話するの? できるの?」
「そりゃするっしょ。もしかして、ただ遊びになっちゃんの夢の中に来たと思っているのぉ?」
「――うん」
「…………まあ、七割くらいは遊びにきたよ。うん。でもさ、いろいろ話をしとかないとまずいなーって」
ずっとチャラチャラしていた陽キャの神――いや、海の神は、初めて真面目な顔をした。
同時に、夏樹は彼から凄まじい力を感じ取った。
この場にいる神の中で、炎の神が一番やばいと思ったが、とんでもない勘違いだった。
海の神の方がやばい。
どのくらいやばいのかわからないレベルだ。
今の夏樹より、遥か高みにいる。
否。
立っている場所が違いすぎた。
「えっとね、まず言っておくけど、俺たちは新たな神々ではないよ。それは大地の神が言ったと思うけど、俺は、この星で産まれた海そのもの。海を神格化して産まれた神ではなく、俺が海だよ」
「――みたいだね」
「ま、姉ちゃんに比べたらしょぼいんだけどねー」
正直な感想として、壮大な話になってきたと夏樹は思う。
ただ話がなんとなくでも理解できるのは、八百万の神がいると言われる日本で生まれ育ったからだろう。
「ま、俺が海だからって、なんだって話なんだけどね。海から産まれた神より上だーなんていうつもりは毛頭ないし、争うつもりもないんだよ。俺たちはただ、自然だから自然のままに流されてのんびりしていたいって思っていたんだが――事情がかわってきたんだよねぇ」
「新たな神々?」
「せいかーい! 俺たちを新たな神々だと誤解する人たちもいるんだけど、違うんだよ。そりゃ、俺たちだって基本的にはフレンドリーだから仲良くできる相手とは仲良くするけどー。利用しようとか、殺そうとしてくるような奴らとはちょーっと仲良くできないかなぁ」
「そりゃしゃーない」
「でしょぉ!」
どうやら海の神は夏樹と同じスタイルのようだ。
夏樹も敵対しなければ構わないが、するなら殺すと決めている。
彼と繋がりはないが、似ているようだ。
「正直なことを言っちゃうと、神々や魔族、人間の争いなんて関わりたくないんだよねぇ」
「なっちゃんもー」
「わーかーるー」
「でもなんか巻き込まれるのぉ」
「超わかるぅ!」
夏樹と海の神は握手を交わした。
「ええいっ、お前たちは話が進まん奴らだな! ちゃっちゃと言うべきことを言わないか!」
「ごめんごめん! んじゃ、えーっと一番重要なことから言うけど、なっちゃんはこのままだと多分死んじゃいまーす!」
「――――なして?」