作品タイトル不明
18「この展開は、古くね?」①
学生服を着て昨日買ったばかりのスニーカーを履くと、スクールバックを持って夏樹は家を出た。
「いってきまーす!」
「いってらっしゃいなんじゃー!」
「いってらっしゃいっす!」
「居眠りしないでちゃんと勉強してきなさいよ!」
「学校壊さないように!」
小梅、銀子、星子、菜々子が見送ってくれて、夏樹が大きく手を振った。
太陽が輝き、雲ひとつない。
まるで夏樹の一日を祝福してくれているようだ。
「おはよう、夏樹くん」
「おはよー、一登」
通学路の途中で、一登と合流した。
「お、おはよう、お兄ちゃん」
「杏さんもおはよー」
一登の背後に杏もいたが、夏樹は普通に挨拶をする。
彼女は少しほっとした顔をした。
「聞いて、聞いて。俺ね、昨晩ホラーな夢も見なかったし、レベルアップもしなかったんだよ!」
「……う、うん。悪夢を見ないことはいいことだと思うけど、レベルアップってそんな頻繁にするの?」
「杏も一度きりだったからわかんない」
「そうなの? いやさ、レベルアップはいいんだけど、ホラーな夢は怖いの。叫んじゃうの」
「……夏樹くん、ホラーな夢見なくても叫ぶじゃん」
「……お兄ちゃん、叫んで起きる系なんだ」
「誤解だよ! 叫ぶのは最近だから! あとね、ホラーは絶叫だけど、他はツッコミだから。全然違うから」
「俺にとってはいきなり叫ばれるからびっくりなんだけどね。しかも外国語で」
「勝手に出てくるから仕方がないじゃん」
「そうだよ、一登。杏だって、寝言は外国語だし」
「なにこのふたり! そんなところが似てどうするの!?」
めずらしいことに、どうやら一登は寝言や寝起きの第一声が外国語ではないらしい。
「はぁ。ふたりがなんだかんだと似た者でちょっとだけほっとしているよ。とりあえず、学校行こう。なんか疲れた。学校にも千手さん来てくれないかなぁ」
どこか疲れた一登がとぼとぼと歩き出すので、夏樹と杏は「やれやれ」と肩をすくめて後を追った。
しばらく歩き、曲がり角を曲がった時、不意打ちのように少女が飛び込んできた。
「――おっと」
夏樹は反射的に避けようとしたが、転んでしまっても困ると思い、受け止めようとした。
しかし、瞬時にもしかしたらセクハラとして訴えられる可能性があるのではないかと考え直し、避けることにした。
「ちょ」
しかし、少女も同じようなことを考えていたのか、夏樹と同じ方向に避けてしまった。
結果として、少女は夏樹と軽く接触し、尻餅をついてしまった。
「……あ、ごめん。って、うわぁ、さすがにこのイベントは想定外だった」
謝罪して少女に手を差し伸べようとした夏樹は硬直する。
一登と杏も硬直していた。
――なぜなら少女は一本のフランスパンを咥えていたのだ。
「ちょっと、今、私のパンツ見たでしょう!」
「えぇ……」