作品タイトル不明
37「宇宙人ってカッコよくね?」②
「――よ、ようやく帰ってこられた」
「……一時はどうなるかと思ったけど、なんとか帰ってこられたね」
夏樹と一登は、三原家の前でへとへとになっていた。
夕方前に由良家を出たのに、気づけば日が変わりそうだった。
――もちろん、帰宅に時間がかかった理由はある。
ジャックが宇宙船で送ってくれると言ってくれたので、男の子ふたりは言うまでもなく喜んだ。
みんなで乗ろうぜ、という話になったが、銀子は「いや、常識が壊れちゃうんで」と断り、小梅も「乗り物酔いが怖いんじゃ」と乗り気ではないので、男子だけで楽しむことになった。
ジャックが乗り込んだ三角型の宇宙船の中央部分から光の柱が放たれると、夏樹と一登を宇宙船に吸い込んだ。
浮かんでいくふたりは「きっとアブダクションされるってこんな感じなんだろうなー」と思いながら宇宙船に入って行った。
宇宙船の中でも興奮は山のようにあったが、そこからが大変だった。
気を利かせてくれたジャックが少しドライブをしようと誘ってくれて、もちろん夏樹と一登は大喜び。
月の裏側まで行こうという話になり、テンションが振り切っていた男の子たちは「ひゃっほー!」と万歳した。
そして想像していなかったイベントに巻き込まれてクタクタになって帰ってきたのが、つい先ほどの話。
しばらく宇宙はお腹いっぱいだった。
「すまない、友よ。まさか警察に捕まるだけではなく、海賊と一戦交えることになるとはさすがに予想できなかった」
「いーっていーって、俺たちがはしゃいだせいで捕まったんだし。あれ? 罰金とか大丈夫?」
「いや、運転手に責任があるのは言うまでもない。罰金も大した額ではないので、問題ない」
「俺としては宇宙海賊とガチバトルしたことがいい記念になったよ。ファンタジーに関わるかどうかを悩むはずが、SFにどっぷり関わっちゃったしね!」
「……妹たちも感謝していたが、私も心から感謝する。夏樹と一登の勇気を賞賛する」
ジャックの感謝の言葉に夏樹と一登がニッと笑った。
「何言ってんの。友達の妹さんを助けるなんて当たり前じゃない」
「そうそう。ジェシーさんが無事で何よりさ!」
ジャックは夏樹と一登にハグをした。
少年たちはくすぐったく、どこか達成感があった。
「よし、そろそろ帰るよ」
「おじさんとおばさんに怒られない?」
「クソ兄貴のおかげで夜中に帰ってくるだけじゃ怒られないって」
一登は霊能や魔法云々を知ったので優斗の現状を理解し、少し気が楽になったようだ。
しかし、ご両親は違う。
少し前までは女遊びが激しく、現在は女性に相手にされず、欲求が発散できずにイラついている優斗をどう受け止めるのだろうか、と気の毒に思う。
一登が本格的に協力者として霊能関係に関わっていくのなら、優斗のことをご両親に説明するのもひとつの選択肢ではないかと夏樹は考えていた。
ただ、その辺りは繊細な問題なので、警察署署長の青山久志に相談しようと思っている。
「くそっ、なんで反応しないんだよ!」
外に聞こえるような大きな声が響いた。
考えるまでもなく優斗が欲望を発散できなくてご機嫌斜めのようだ。
夏樹と一登は顔を見合わせると吹き出し、そしてハイタッチしてから別れたのだった。
長い土曜日が終わろうとしていた。