軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

33「一登とお話しじゃね?」

「優斗のことは置いておいて、とりあえず霊能関係はあるらしい。俺も関わってまだ六日なんだ」

「――は? え? 六日? 六日でイベント盛りだくさんなの!?」

「うん」

「えー、なんていうか、えー!」

「俺は霊能っていうか魔法使いというか勇者なんで、また違うんだけどね。でも最近は霊力も覚えたから使う時があれば使うかなって感じ」

「そんな簡単に覚えられるものなの?」

「コツを掴めば簡単だよ」

さも大したことがないように言う夏樹の隣で、銀子が「ないない、それはないっす」と首を横に振っている。一登は、おそらく夏樹がおかしいのだ、と悟った顔をした。

「でもなんていうか、巻き込んじゃってごめんね。優斗関連は抜きにして、割と殺伐な世界に一登を巻き込みたくなかったんだけど」

「ううん。ちゃんと説明してくれたことが嬉しいよ。隠すことや誤魔化すことだってできたのに――ありがとう、夏樹くん」

「こっちこそ、ありがとう」

夏樹と一登は自然と腕を上げ、拳と拳をこつんと合わせた。

ほっと肩の力が抜ける。

暗くならないように、明るく振る舞って説明していたが、もし一登に拒絶されていたらと思うと怖かったのだ。

しかし、杞憂だった。一登は、夏樹のことを、関わってしまったことを受け入れてくれた。

「あのさ、ちょっと確認しておきたいんだけどいい?」

「なんでも聞いて」

「俺の記憶消したりしないよね?」

「ないない。そんな器用なこともできないし」

「俺も夏樹くんみたいに戦ったりする必要はあるのかな?」

「ないと、思うけど」

夏樹が銀子に助けを求めると、彼女が引き継いでくれた。

「一般人の協力者っていうのは意外にいるんすよ。霊能力者も普通の生活をしていますし、二足の草鞋の方もいますからね。日常面でのサポートをしてくれる方の存在って結構貴重なんですよね」

「なるほど」

「だが、なんというか、おぬしはそれなりに力があるようじゃから目覚めればいい感じに戦えるじゃろう?」

「あ、そうなんだ?」

「おう! だが、俺様的には眠っている力を無理して目覚めさせる必要もないと思うんじゃ。見えなくていいもんも見えるじゃろうし、関わらんでええもんにかかわってしまうこともあるしのう」

「もしかして、幽霊が見える、とか?」

「見えるけど、あんまりいないよ」

「……いないんだ」

怖いもの見たさで幽霊の存在を聞いたものの、あまり幽霊がいないことにがっかりする一登。

夏樹としてはたまに見る数少ない幽霊が、『悪霊』の部類に入るおっかないものであるとわかっているので見えないに越したことはないと思う。

「あのさ、一登。ちょっと真面目な話をするけど」

「うん」

「一登はさ、優斗よりも潜在能力は高いんだよ。どんな力を持っているのかはわからないけど、力が目覚めたら持て余すかもしれないし、誰かを傷つけるかもしれない」

「そう、だよね」

「優斗にこっち側がバレると面倒になる可能性もある。あいつの封印は厳重にしたけど、俺より強い奴だっているはずだ。もしかしたら、呪いを解くことに長けた人なら可能性もある。まあ、解けるもんなら解いてみろってくらい本気で封じたけど、絶対はないんだ」

「あのクソ兄貴が霊能力とか魔法とか、自分に力があるなんて知ったら――とんでもないことになりそうだね」

一登が顔を青くした。

夏樹的には、優斗が力をつけようと、力で自分に何かしようとしても問題はない。対処はするし、できなければ自己責任だ。

だが、優斗が力の存在を知って他者に悪さをすることや、無関係の人を巻き込むことが怖い。

使い様によっては人を簡単に殺せる力だ。悪用しないとは限らないし、悪用する可能性のほうが高いと思っている。

最悪の場合は、一登やご両親が悲しむ形になったとしてもすべきことはしようと思っている。

「一登は俺にとって大切な友達で、幼馴染みで、弟のような存在なんだ。だから隠し事はしたくない。でもさ、こちら側を知ったからって関わる必要がないってことは覚えておいてほしいかな」

「――うん。ありがとう、夏樹くん。話してくれて、本当にありがとう」

一登が今後どうするのかは保留とした。

夏樹のようにどっぷり関わった訳ではないし、殺伐とした世界で生活した訳でもない。ならば、今の夏樹の現状を知ったとしても、理解してくれれば関わる必要などないのだ。

(……でもさ、縁が切れる覚悟で黙っていることもできたのにしなかった俺って……やっぱり根性なしだよなぁ)

巻き込まれてしまったとはいえ、まだ引き返せるかもしれない一登にすべてを話したことを、少し喜んでいる自分がいることに気づき、自己嫌悪を覚えてしまうのだった。