軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

34「焼肉には白米じゃね?」②

「わかったわ。異世界じゃなくて、由良がファンタジーだったのね」

「由良っちのファンタジーが極まっていてびっくりだよ」

「……解せぬ」

味付きカルビでご飯を頬張りながら、異世界での日々をできるだけ明るく語ってみたが、森と片岡の反応は夏樹の予想とは違ったものだった。

ちなみに、白米の上にお肉をワンクッションするのが夏樹の好きな食べ方だ。白米に濃厚なタレが染みるのが実に美味しい。

他にも地球も意外とファンタジーであることを話してみたのだが、やはり何か反応が違う。

水無月家のことや、綾川杏、松島明日香のことは触れない。

水無月家は千手たちとの会話で触れてしまったが、あえて説明はしない。いずれ知る時があるだろうが、都たちに許可なくペラペラ喋って良いものかと悩んだのだ。

杏と明日香も、前者は新たな日々をやりなおすだろうから余計な先入観を与えないために、後者はいくら嫌われ者でも同級生が死んだという話をする必要はないと思ったからだ。

「それで、さっきの淫魔ってどうして由良に恨みを抱いていたの?」

「さぁ?」

「さぁ!?」

「あ、もしかして言えないってことかな?」

まったく身に覚えがありませんと首を傾げる夏樹に、森がびっくりする。片岡は、何か事情があって言えないのかもしれないと考えてくれたのだが、残念ながらそんな事情はまったくない。

「なんていうか、普通に覚えてないんだ。雑魚のこととかいちいち記憶するだけ無駄じゃん」

「……由良ぁ」

「……由良っち」

「……夏樹くん」

「あれぇ? 一登までぇ?」

そりゃないよ、という顔をされてしまい夏樹が困ってしまう。

夏樹に何か恨みがあったとしても、関係のない一般人を人質に取るような知性のかけらもない雑魚などどうでもいいのだ。

「えっと、じゃあ、新たな神々っていうのは?」

「…………新たな神々なんだよ」

「ぶっとばすわよ?」

「か、一登くん! 説明プリーズ!」

「はいはい。えっと、確か、神話に出てくるような神様たちよりも後に、人々の思いから生まれた存在だよね。僕たちが知るような神様たちを古き神と呼び、自分たちを新たな神々として、新しい神話を創ろうとしているんだよ」

「壮大なスケールね」

「ちなみに、托卵の神とかいるよ!」

「そんな神はぶっ潰しなさい!」

「全世界の男性が震えるような神様だね」

「美脚の神もいるよ」

「どんな想いから生まれた神様なのか詳細が気になるわね!」

「学校の神なんてのもいるよー」

「あ、ようやくまともな神様が出てきたわね」

「ちょっと安心したよ」

夏樹は内心にんまりする。

森と片岡が「まとも」と思った学校の神だが、伝説の木の下で生徒から告白されることを夢見て伝説の木を植えてしまう行動力が凄まじい神であることを知らないのだ。

だが、あえて黙っていることにした。

驚かせたいからではない。友人として、ふたりの学校の神に対するイメージを壊したくなかったからだ。

「……夏樹くんがめちゃくちゃ悪い顔をしている」

「やだなぁ、一登くん。もともとだよ!」

「それでいいなら、俺は何も言わないけどさぁ」

一登が呆れた顔をしているが、夏樹は気づかなかった。

「森さんと片岡くんには、千手さん以外の友達も紹介するよ。魔剣とお酒が大好き銀子さん、美脚大天使小梅ちゃん、家宝の魔剣を奪われたせいで婚約者を寝取られたけど今は押しかけ婚約者とラブコメっている征四郎さん、その甥っ子の絶対に中の人がいるはずの義政大先生、由良家の良心ジャックとナンシー、人外娘しか愛せない大地の勇者祐介くんって感じに愉快な仲間たちがいるんだ!」

「本当に愉快ね! 最後の人外しか愛せない大地の勇者祐介くんってやばい感じしかしない! 由良もそうだけど、勇者ってやばいのしかいないの!?」

「ははは、面白いこと言うなぁ。祐介くんは――俺以上だよ」

「……会って平気なの? 危険はないの?」

「森さんは人間だから、問題ないよ。それに、祐介くんは異世界で知り合ったお孫さんがいるダークエルフと婚約しているから」

「情報量多いなぁ!」

「……なんだかライトノベルの主人公みたいな人だね」

頭痛を覚えたように顔をしかめる森に対して、片岡の祐介のイメージは割とプラスだった。

さすがに夏樹は祐介のために、片岡を叱った。

「こらっ、片岡くん! ライトノベルの主人公たちに謝って! 祐介くんと一緒にされたらきっと泣くよ!」

「あ、はい。ごめんなさい。ていうか、祐介くんってどれだけなのかな!?」

「……由良にそこまで言わせるとか、絶対にやばいって。なんで向島市っておかしいのしかいないのかしらね!」

――この後、焼肉をお腹いっぱい食べながら多くの話をして盛り上がった。