軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第095話 相談

「じゃあ、この国は馬での移動がメインか?」

「もちろん、馬車もございますし、商人はそちらが多いと思いますが、鉄道が整備されておりますのであなた方のような観光客は列車での移動がメインでしょうね。王都まで2時間程度ですし、そこからは主要な都市には行けますよ」

これはどこもそうだろうな。

基本的にはどこの国でも王都を中心とした鉄道網が敷かれている。

「治安は?」

「先ほど言った主要な都市はとても良いです。この国は騎兵が強いと言いましたが、騎士文化が根強く残っております。町を警備する騎士様が多いですし、騎士様は清廉潔白を謳っておられますので治安は他の国よりも圧倒的に良いですね」

それはちょっと安心だ。

ただ、騎士にはケンカを売ってはいけないんだろうな。

売る気は一切ないけど。

「治安が良いのはありがたいな。それにこの国の軍や歴史のことは興味深かった。それで俺達が儲かる仕事は何だろうか? 一応、鉱物が有名とは聞いているんだが……」

「はい。確かに鉱物は有名ですね。この国は平地も多いのですが、山も多く、鉱山が多いんです。特に西のセール鉱山はこの大陸でも一番の生産量を誇り、見学ツアーも組まれているくらいですね」

そういやそういう記事も旅行雑誌にあったな。

「すごいはすごいけど、遠いし、1時間で観光が終わるから微妙って書いてあったぞ」

辛口だった。

「その通りです。がっかり観光地ってやつですね。何しろ見学ツアーと言っても内部を見せられないので遠くから見て、それで終わりです。それなのに王都から列車で2日もかかります」

それはわざわざ外国から来た連中はがっかりだろうな。

「観光はわかったが、仕事の方はどうだ?」

「もちろん、鉱山関係の仕事も充実しています。ですが、御二方には勧められません。まずもって、この国では鉱山の中に女性は入れません」

あー……なんか前世でも聞いたことある。

「女の神様が嫉妬する云々か?」

エルシィとウェンディが顔を見合わせ、首を傾げている。

でも、説明する気はない。

半分、下ネタだからだ。

「それですね。ただの迷信ですが、危ない仕事ではあるのでゲンを担ぎたいというのもわかります。それにどちらにせよ、力仕事ですので女性に向いていないのは確かですからね」

「俺も向いてないな」

貧弱デスクワーカーだもん。

「そう思います。錬金術師であるならば、やはり鉱物の錬成や鉱山で使う道具を作って納品することでしょうね」

「そのセール鉱山に行かないとダメか?」

「いえ、王都です。セール鉱山に限らず、各鉱山で採れた鉱物は王都に運ばれます。鉱山関係は王家の管理となっているからですね」

王家か……

「じゃあ、王都に行ったら仕事は多そうだな」

「ええ。錬金術師の需要はどこの国も高いですが、鉱物系の錬成に自信があるならより良いと思いますよ。この国も最近は積極的に錬金術師の育成に力を入れているくらいです。まあ、イラド、ゲイツに後れを取っていることによる危機感からですけど。御二方は腕のある錬金術師ということなので、就職したいならすぐに就職できると思いますよ」

イラド、ゲイツ以外の国も錬金術の重要性に気付きだしたってことかね?

「就職はしない。俺達には俺達の目標があるんだ」

エルシィとウェンディもうんうんと頷く。

「素晴らしい目標だと思いますし、ギルドも応援いたします」

どうも。

しかし、王都か……

王都はイラドの刺客のことがあるからなるべく長居はしたくないんだが……

「なあ、実は店を出せる地を探している目的もあるし、人が多いところはあまり好きじゃないんだが、王都以外で稼げるところはないか?」

嘘はついていない。

「でしたら王都近辺の町で仕事をなされるのが良いと思います。先ほど、鉱物が王都に集まると言いましたが、王都周辺にもいくつもの町があり、そこでも同じような仕事はございます。そうですな……王都のギルドで相談することをお勧めします。ギルドはそういう仕事の窓口もやっておりますし、優秀な錬金術師であるあなた方なら仕事も選べるだけあると思います」

ふむふむ……それが良さそうだな。

「じゃあ、王都だな。ついでに聞くが、何時の便がある?」

「8時、12時、14時です。先ほども言いましたが、2時間で到着です」

今は……10時半か。

すぐに出発しようと思ったら12時が最短になるな。

「どうする? 海を見たいか?」

エルシィとウェンディに確認する。

「もういっぱい見ましたね」

確かにな。

「久しぶりに列車旅を楽しみましょうよ」

旅と言っても2時間だけどな。

「そうだな……じゃあ、王都に行ってみるわ」

受付の男性に告げる。

「そうですか。では、王都のギルドへの紹介状を書きましょう。少々、お待ちを……」

わざわざそんなものを書いてくれるのか。

「悪いな」

「いえいえ。お安い御用です。ごらんのように仕事もございませんしね」

俺達が話をしている間に数人いた冒険者の姿もなくなっているし、他2名の受付の女性も暇そうに話をしていた。

「楽な仕事だな」

「今の時期はそうですね。逆に夏は休みがないくらいに忙しくなりますよ」

人が集まればそれだけ仕事も増えるか。