軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第080話 訪問

雨が降り出して2日が経った。

外を眺めているが、雨が弱まる気配はまるでない。

むしろ、どんどんと強くなっているような気さえする。

「すごいな」

「これ、止むんですかね?」

もちろん、いつかは止むはずだ。

しかし、そう思えないほどに強い雨が降っているし、厚い雲に覆われていて昼間だというのに暗い。

「エンジェルアターック!」

エルシィと窓から外を眺めていると、ウェンディが突撃してくる。

しかし、謎のバリアに阻まれて俺に当たることはなかった。

もっとも、当たっても柔らかい人形だから痛くも痒くもないが。

「むむっ、私の奇襲をよくぞ見破りましたね」

ウェンディが感心しながら肩に乗ってくる。

「察知できたからな」

俺達が何をしているかというと、魔力察知と防御魔法の練習である。

防御魔法であるマジックバリアを教えてもらって以降は普通の生活を送りながらたまに襲ってくるウェンディから身を守るという実習を行っているのだ。

「エンジェルパーンチ」

肩にいるウェンディが柔らかお手手で殴ってくる。

さすがにそれは防げない。

「魔術師として見習いくらいは卒業したかな?」

「良い感じだと思いますよ。初級魔術師の称号を与えましょう」

天使から称号をもらったわ。

「しかし、暇ですねぇ……」

エルシィが言うように暇だ。

部屋で過ごすのも嫌いではないのだが、観光しに来ている時に雨が降って部屋にいると、なんかもったいないと思ってしまうのだ。

別に日程を組んでいるわけでもないのにこう思うのは前世の影響だろうか?

「ポーションでも作るか?」

「そうですね。雨音を聞きながらポーションを作るのも一興でしょう」

詩人になれそうだ。

俺達はテーブルにつくと、ポーションを作り始めた。

「レスターさん、雨が止んだらどうされます?」

テーブルに着地したウェンディが聞いてくる。

「そうだな……もうちょっとだけ仕事をしたら出るか?」

エルシィに振る。

「そうですね……お金も稼ぎましたし、観光もできました。もう次に行っても良いと思います。最後に皆で食事に行きましょうよ」

皆というのはニーナとカルロって意味だろう。

「そうだな。じゃあ、雨が止んだらあいつらの家に行ってみるか。明日には止むんだよな?」

「2、3日で止むって言ってましたからね。それが合ってるなら明日でしょう……止むのかな?」

外は相変わらず、強い雨が降っており、たまに風が吹いて窓に雨が当たる音が聞こえている。

「まあ、さすがに止むだろ」

俺達はたまに飛んでくるウェンディを防ぎながらポーションを作っていく。

そして、夕方になると、徐々に雨脚が弱くなり、ついには雨が止み、晴れだした。

窓からは綺麗な夕日が見えている。

「本当に晴れましたねー」

「そうだな。降る時もだったが、あっという間に晴れた」

あんなに分厚かった雲はどこに行ったんだろう?

「町もキラキラしてて綺麗ですね」

ウェンディが言うように濡れた町が反射して、あちこちが光っており、なんか幻想的な感じがする。

「見た目は良いですけど、実際、被害とかはあるんですかね?」

「どうだろう? 町の人は焦っている様子がないし、いつものことなんじゃないか?」

ニーナのおじさんも女将さんも普通だったし。

「まあ、そんな感じはしますね。あ、お腹が空いてきましたし、夕食にします?」

「さんせー」

ウェンディが嬉しそうに手を上げたので下に降り、女将さんに夕食を頼むと、やってきた料理を3人で食べ、ワインを飲みながらまったりと過ごしていく。

そして、夕食後もポーションを作っていくと、ノックの音が部屋に響いた。

「はい?」

『お客さーん? ニーナちゃんとカルロ君が来てるけど、通しても大丈夫?』

ニーナとカルロ?

明日、訪ねようと思っていたんだが……

ちらっとエルシィを見て確認すると、すぐに頷いた。

「わかった。通してくれ」

『ちょっと待ってねー』

女将さんがそう言うと、足音が遠くなっていく。

「何でしょうね?」

「暇だから遊びに来たとか?」

「こんな時間に来ますかね?」

時刻は夜の9時だ。

来るには遅い時間のような気がするし、あの2人は真面目な人間だからそんな失礼なことはしないと思う。

何だろうと思いながら待っていると、再び、ノックの音が部屋に響いた。

「どうぞ」

そう答えると、ニーナとカルロが部屋に入ってくる。

「こんな時間にすみません」

「悪いな」

2人が謝ってくる。

「いや、それはいいが……まあ、座れよ」

2人をテーブルに促し、椅子に座らせる。

「あ、ポーションを作ってたんですか?」

ニーナが聞いてくる。

「ああ。雨で暇だったし、この前採取した薬草を使って作っていたんだ。買い取ってくれ」

「わかりました。ポーションならいくらでも買い取ります」

「というか、明日、お前の店に行こうと思っていたんだが……」

どうした?

「すみません」

ニーナは謝罪すると、カルロを見た。

「レスター、こんな時間に夫婦の部屋を訪ねるのは大変失礼なことは承知している。ただ、ちょっと仕事の相談があってな」

仕事?

何だろ?