軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第038話 あれ?

部屋の中は対面式のソファーとその間にローテーブルがあるのだが、どれも一目で高級品とわかるような細かな金細工がしてあった。

さらには絵画などの調度品も飾ってあり、豪華な部屋だった。

「趣味悪いわねー……」

イレナがいきなりディスった。

「儲けているんだろ」

「羨ましい限りよ」

俺達はソファーに腰かけ、商会長を待つことにした。

並びはイレナ、俺、エルシィである。

そのまましばらく待っていると、扉がガチャッと開き、髭を生やしたいかにも私腹を肥やしている感じの太った40代くらいのおっさんが部屋に入ってきた。

「私がここの商会長のレシェックだ」

イレナは立ち上がると、レシェックのもとに行く。

「ウラム商店のイレナよ」

2人は握手を交わすと、ソファーに腰かけた。

もちろん、レシェックは対面に座っている。

「そちらは今回の商談の協力者と聞いたが?」

レシェックが俺とエルシィを見てくる。

「ええ。今回の商談に欠かせない人達ね」

一応、名乗っておくか。

「私は旅をしている錬金術師のレスターです。こちらは妻のエルシィ」

紹介すると、エルシィが頭を下げる。

「ほう……錬金術師かね」

レシェックが目の色を変えた。

「新婚旅行中の御夫婦らしいわ。ちょっとした縁があったので今回のことに協力してもらったの」

「ふむ。そうだったのか。レスター殿はどこの国の出身かな?」

どうしよ。

イラドもゲイツもマズいしな。

「ランスですね。飛空艇で来たんですよ」

「それはそれは……新婚旅行で我が国を選んでもらったのはありがたいな」

「良い噂を聞いておりましたが、実際に来ても素晴らしかったです。妻が興奮しっぱなしです」

俺もだけど。

あとウェンディ。

「いつまで滞在されるのかな?」

「明日には出ますね。次は決めてないですが、適当に雑誌を見ながら考えます」

行き先まで言う必要はない。

「左様か……なんとなく事情はわかった。イレナ殿、早速だが、話を聞きたい。ポーションの売買と聞いているが?」

「ええ。ポーションを買い取ってほしいのよ。私はミックで小さい店をやっているだけの商人だし、ポーションなら王都の商会の方が良いと思ったから」

「ふむ……そういうことか」

じゃあ、ミックで大人しくしとけって顔に書いてあるな。

「もちろん、無理は言わないし、他の商会にも声をかけてみるつもりだけど」

「ポーションの数は?」

「Cランク以上が30」

150個だけど5分の1の30個にしたか。

「Cランク以上ということはBランクもあるわけか?」

「Cランクが20個でBランクが10個ね」

「それはすごいな。しかし、それほどの高ランクを何故、旅行者が持っているのかね?」

レシェックがそう聞くと、イレナが俺を見てきた。

「私達は錬金術師です。作っただけですよ」

エルシィがね……

「それだけの数をかね?」

30個がそれだけの数か?

「お恥ずかしい話、新婚旅行で色々な国を回っているのですが、飛空艇を使っていましてね。ちょっと予算が厳しくなってきたところに今回の話をいただきましたのでミックの町に滞在し、作製作業をしたんですよ。こちらがそのポーションになります」

魔法のカバンからCランクとBランクのポーションを1つずつ取り出して、テーブルに置く。

「ふむ……」

レシェックがポーションを手に取っていき、じーっと見ていく。

「私もエルシィもポーションを作るのは自信があります」

俺はもう作れないけどな!

「確かにCランクとBランクのようだ。腕のある錬金術師のようだな」

CランクとBランクのポーションを作っただけで腕のあるって言われても1つも嬉しくないわ。

俺もエルシィもAランクのハイポーションですら余裕で作れるわい。

「ありがとうございます」

とはいえ、礼は言っておく。

「レシェックさん、いかがかしら? 買い取らない?」

「買い取りたいと思うな。しかし、問題は値段だ」

ここからが本番か。

「もちろんね。現在のポーションの相場を考えると、通常の値段ということはないでしょう」

「まあ、そうだろうな……うーむ……Cランクは1万ゼル、Bランクは1万5000ゼルで買い取ろう」

すごいな。

見事にイレナが俺達から買い取る値段と同じだ。

これではイレナの儲けはゼロ。

むしろ、旅費とかがかかっているからマイナスだ。

「話にならないわね」

「こちらも利益を出すにはその辺りが妥当なのだ」

レシェックがそう言うと、ウェンディがエルシィの腕を叩いた。

レシェックはちらっとウェンディを見たが、すぐに興味をなくし、イレナを見る。

「私はCランクは2万ゼル、Bランクは3万ゼルと考えてるわ」

「さすがにそれはない。こちらが利益を出せない」

ウェンディがエルシィの腕を2回叩いた。

イレナもレシェックも嘘をついているということだ。

「どうしてもCランクは1万ゼル、Bランクは1万5000ゼルと?」

「わかった。Cランクは1万5000ゼル、Bランクは2万ゼル出そう。すまないが、これ以上は交渉の余地はない」

一気に上がったな。

さて、イレナはどう出るか。

「そう……ちょっと考えさせてもらえるかしら? 明日までには答えを出すから」

「構わん」

あれ? もう終わり?

「では、次があるのでこの辺りで失礼するわ」

イレナが立ち上がったので俺達も立ち上がる。

「ああ。賢い選択をすることを祈っているよ」

レシェックは引き止めもせずに頷いたので俺達は部屋を出ると、そのまま店を出ようとした。

すると、イレナが階段の方を見る。

「どうした?」

「ちょっとついてきて」

イレナがそう言って階段を昇っていったのでついていく。

2階は多くのお客さんが賑わっており、盛況のようだった。

そんな中を歩いていき、奥の一角にやってくると、イレナが立ち止まった。

「ポーションだな」

そこにはポーションが売っており、価格はDランクが1万ゼル、Cランクが3万ゼルだった。

Bランク以上は見当たらない。

「やっぱりか……」

「イレナ?」

「出ましょう。外で話すわ」

イレナがそう言ってその場をあとにしたので俺達もついていき、1階に降りると、そのまま店を出た。