軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第172話 慌ただしい夜

俺達はフェルナンの案内でラコスト商会にやってきた。

ラコスト商会は冒険者御用達の店のようで多くの野営グッズが売っており、キャンプ品らしきものが多く、ちょっと興奮する。

なお、すでに21時を過ぎているため、閉店しているのだが、フェルナンの口利きで開けてもらった。

「すみませんね」

「いえいえ。フェルナンさんの頼みですから。それにあんなことがあればね……」

フェルナンとラコスト商会の店長さんが話をしている。

俺達はその間にも商品を見ていた。

「まずだが、テントは3つか?」

カルロが聞いてくる。

「俺とエルシィ、お前とニーナ、それにミュリエル先輩か?」

「そうそう」

「カルロ、テントは2つでいい。私達は恋人同士じゃないか」

ミュリエル先輩は設定に忠実のようだ。

「あ、それもそうですね……いいんっすか?」

「ニーナを間に挟めばいい。テントは大きいし、荷物になるぞ」

「それもそうですね……」

カルロはちょっと嫌そうだ。

「なんで兄さんがそんな顔をするのよ。逆でしょ」

「いや、ミュリエル先輩がどうとかじゃなくてな……」

カルロ、気持ちはちょっとわかるぞ。

ミュリエル先輩がどうとかじゃなく、気まずさがあるんだろう。

「テントの中は寝袋か?」

カルロのために話を進める。

「そうなりますね」

「ウチには布団がありますよ」

ウェンディが手を上げる。

「布団……あー、あれか。そういえば、ウェンディが持ってたな」

ウチにあった布団だ。

ウェンディは気に入っているので自分の空間魔法で収納しているのだ。

「はい。それで良いと思います」

ウェンディは寝袋じゃなくて、布団で寝たいんだな。

「わかった……あとは……何がいるんだ?」

「さあ? 店長さん、ちょっと教えてくれー」

カルロが店長を呼ぶ。

「どうしましたか?」

フェルナンと話していたラコスト商会の店長がやってくる。

「俺達、野営の素人なんで教えてほしくて。テントと寝袋を買うのは決まったんだが」

「それでしたら初心者パックがよろしいかと。説明書も付いていますし、何よりもお客様方はブルクに着いたらそこからは列車移動でしょう? でしたら初心者パックで十分です」

そんなのがあるんだな。

「じゃあ、それで。食料の方はどうだろうか?」

「ブルクには馬車で5日ほどかかります。しかしながら道中で国境の施設やムーロ村に寄りますし、そこで食料の補充はできるでしょう。国境までの2日、ムーロ村までの1日、そこからブルクまで2日です。ですので、まずは2日分の食料を購入すれば良いでしょう。2日でしたらパンや缶詰などの携帯食料で十分かと思います」

ほうほう。

「パンは明日の朝に買えばいいな。となると、缶詰か」

「ウェンディ、ウチの分はお前が選んでいいぞ」

「缶詰に良い思い出はありませんが、この国のやつは良いと思いましょう」

ホントにな。

俺達はテント、寝袋、初心者パック、缶詰を購入する。

水は水魔法が使えるならいらないということなのでそれだけを購入した。

なお、支払いは後でイラドに請求するらしく、カルロがしてくれた。

また、購入したものはフェルナンが馬車に積んでおいてくれるということでお願いした。

「フェルナンさん、何から何までありがとう」

買い物を終え、店から出ると、ニーナが礼を言う。

「いえいえ。それよりも手紙を頼みましたよ?」

「もちろんよ。確実に届けるわ」

「お願いします。それでは私はこれで。気を付けてください」

「ええ」

フェルナンはにっこりと笑うと、自分の店の方に帰っていく。

俺達も宿屋に戻ると、遅めの夕食を食べた。

そして、夕食後に俺達の部屋に集まる。

さすがに今日はワインを飲まない。

「諸君、目を閉じ、今回のことで犠牲になった者への黙とうを捧げよう。黙とう」

ミュリエル先輩がそう言ったので目を閉じ、黙とうを捧げる。

「よろしい」

ミュリエル先輩の言葉で目を開けた。

「何とかなりそうですね」

「ああ。これも君達のおかげだ」

なんだかんだ言って、金貨とインゴットを売ったのが大きいんだろうな。

「運が良かったと思いましょう」

「そうだな。明日からは馬車での旅になる。御者は私が務めよう」

あ、そういえば、馬車を動かせる人間が必要だったわ。

俺は乗馬体験をしたが、そんなことはしたことがない。

「お願いします」

「うむ。ニーナ、カルロ、商人のことは任せるぞ」

ミュリエル先輩がカルロとニーナを見る。

「任せてください」

「積極的に交流するようにします」

あ、俺はできない……

「レスター、エルシィ、君達は魔法が使えるな?」

ミュリエル先輩が確認してくる。

ミュリエル先輩は庶民だし、イラド政府に仕える密偵だから当然、使えないだろう。

「はい」

「ウェンディちゃんも使えます」

「得意でーす」

ウェンディが手を上げる。

「うむ。できたら見せびらかすような感じで積極的に魔法を使ってほしい。魔法使いであるということを見せつけてほしいんだ」

「警告ですか?」

「ああ。私達は男性が2人で女性が3人。しかも、全員が若い。何らかのトラブルがあってもおかしくない。しかし、そこに魔法使いがいれば話は別だ」

魔法は脅威だからな。

「ニーナちゃんも使えるよね?」

ニーナも魔法が使える。

なんならエルディアで一緒にウェンディから学んでいる。

「ええ。私も水を提供して、知らしめておくわ」

ニーナが頷いた。

「よろしい。では、そんな感じでいこう。明日は11時にここを出発し、パンを買って、西門だ。いいかな?」

「ええ」

俺達はミュリエル先輩の言葉に頷く。

「では、今日は解散にしよう。遅くなってしまったが、ゆっくり休もう」

ミュリエル先輩はそう言って、カルロとニーナと共に部屋から出ていったので俺達は順番に風呂に入ると、就寝した。