軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第129話 疑問

オフェリアによるフリオの矯正を無視しながら黙々と作業をしていると、夕方くらいにはネックレスの修理が終わった。

「できたぞ」

オフェリアにネックレスを渡す。

「ありがとうございます……本当に新品みたいですね」

くすんでいたネックレスが今は輝いている。

「錬金術師ならそれくらいできる」

簡単だ。

「すごいですね。あっという間でしたし、御二人共、手先が器用でした」

どうも。

「一応、それで食っているからな」

「かなり特殊な製法ですので大事にしてください」

古いし、かなりできる職人が作った一点ものだ。

実際に修理してみてわかったが、かなり高い。

まあ、一国の王子が愛人に贈ったものだから当然と言えば当然だが。

「わかりました。フリオ、そろそろお暇しましょうか」

「そうだな」

オフェリアは頑張ってタメ口をきいたフリオと共に部屋を出ていった。

「フリオ、大変だろうな……」

「まあ、オフェリアさんの気持ちもわからないでもないですけどねー。フリオさん、丁寧で好感が持てる方ではあるんですけど、他人行儀すぎるので旦那さんと考えるとちょっと……」

確かにな。

フリオは良い奴なんだが、あの2人はどうも恋仲に見えないのだ。

「実はオフェリアも気にしてたんだな」

「ものすごく気にしてらっしゃいましたねー」

ずーっと、矯正をやってたしな。

部屋に帰れよって思ってた。

「頑張ってほしいわ。さて、あと5日、何をするか……」

「やることないですね。本でも読みますか」

「そうするか」

俺達は本を読んで過ごすことにし、1日目を終えた。

2日目、3日目も本を読んだりしながら過ごし、たまにやってくるオフェリアやフリオと他愛のない話をしたりする。

食事は途中で停まった駅で購入し、夜にはワインを飲みながら優雅な列車旅を楽しんでいた。

そして、5日目になると、ずっと平坦な道を進んでいた列車が山を登り始めた。

「山を登り始めたらもうすぐですねー。あと数時間といったところでしょう」

旅行雑誌を読んでいるエルシィが教えてくれる。

「昼過ぎには着けそうだな……」

うーん……

「どうですかー?」

エルシィが聞いてくる。

「5日経ったが、何も書いてない」

俺は列車に乗ってから毎朝、駅で新聞を買っている。

今日も買って、読んでいるのだが、反乱が起きたとも書いてないし、いつも平和な内容しか書いていない。

「オフェリアさん、わかりますかー?」

エルシィがオフェリアに聞く。

朝から来て、俺達が貸した本を読んでいるのだ。

「おそらく、情報規制でしょう。第一王子と第二王子の政変の時も同じように新聞には何も書かれておらず、後日、こういうことがあったという記事が出ましたので」

ジャーナリズムを見せてほしいものだわ。

「反乱は確実に起きているんだな?」

「反乱を支援するマルドナド伯爵がそう言っていたので間違いないでしょう」

ふむ……

「フリオはどう思う?」

「私も起きていると思います。ただ、この辺りにはまだ情報が伝わっていないのでしょう。南部で事が起きても北部に情報が伝わるのに時間がかかりますから。ですので、今がチャンスかもしれません」

そうか……

「上手くいけば今日中には国境を越えられるかもな」

「それがベストでしょう」

そう上手くいかないんじゃないかなーって思っている。

「よし、そろそろ準備をしよう」

「そうですね。オフェリア、部屋に戻ろう。片付けをしないと」

フリオのタメ口も自然になってきたな。

「それもそうですね」

オフェリアが頷くと、フリオと共に出ていったので片付けを始めた。

「ウェンディ、フリオとオフェリアに悪意を感じるか?」

片付けをしながら窓に張り付いているウェンディに聞く。

「いえ、御二人共、徐々に緊張し始めているようですが、特に悪意といった負の感情はありません」

そうなのか……

「先輩、どうします? 明らかにおかしい点が1つあるんですけど」

エルシィがちょっと不安な顔で聞いてくる。

「大丈夫だと思う。それもなんとなくわかった。とにかく、サラスカに着いたらまずは駅に行ってみよう」

「わかりました」

俺達は片付けをすると、シートにつき、到着を待つ。

そして、2時間後、徐々に列車のスピードが緩み始めると、オフェリアとフリオが戻ってきた。

「そろそろですね。準備はよろしいですか?」

オフェリアが聞いてくる。

「ああ。そちらも大丈夫か?」

「ええ。最後の準備も終えました。これでこの国ともお別れです」

「よし……確認だが、列車を降りたら駅を出て、ランス行きの列車がある駅に向かう。ただし、まずは俺とエルシィが様子を見てくる」

「はい。御二人に任せます。私とフリオは近くで待機していますので」

そういう風に決めていたのだ。

「じゃあ、行こう」

列車が停まったので部屋を出ると、列車から降りる。

そして、近くにある階段を昇ると、サラスカの町に出た。

「田舎って感じではないな」

王都ほどじゃないが、ペインやルビアよりかは発展しているし、人も多い。

「一応、ここがランスとの玄関口になりますからね。輸出入も盛んですし、多くの人がいます」

フリオが説明してくれる。

「そうなのか……まあ、人が多いのは良いことだ。しかし、閉塞感があるな」

「あの山のせいでしょうねー」

周りを見渡すと、大きな山に囲まれているのでなんか暗く感じるのだ。

「この町は標高も高いですし、山脈の中にありますからね。その辺りは仕方がないです」

まあ、滞在するわけじゃないからいいか。

「よし、駅に行こう」

「はい。こちらになります」

俺達はフリオの案内で駅に向かった。