軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第128話 自分達の部屋でやってくれないかな……

「ハァ……とにかく、フリオが同行してくれますので道中は安全です。どこかに行って、適当な職でも探すとします」

働くのはフリオな気がする。

こいつには無理だろ。

「まあ、その辺は頑張ってくれ」

「そうします。幸い、資金はマルドナド伯爵に提供してもらいましたから。フリオ」

「はい」

ホント、恋仲に見えない2人だな……

今後大丈夫かなと思っていると、フリオが前に出てきて、見たことがある木箱を取り出した。

「俺達が王都に運んだやつか?」

中身が魚ってやつ。

「はい。実は魚ではありません」

「だろうよ。中身は?」

そう聞くと、フリオが木箱を開け、手を突っ込む。

そして、手を抜くと、そこには黄金に輝くインゴットが手の中にあった。

「金か?」

「はい。マルドナド伯爵が仕入れたものです。私はこれを取りに馬でペインの町まで行っていたのです。しかし、事態が急速に動き出したため、急遽、列車に変えたのです」

それで俺達に運搬を頼んだわけか。

「普通のゼルじゃダメなのか?」

「伯爵と言えど、そう簡単には大金を動かせません。だから鉱山から流してもらったこれなのです」

「オフェリアのためか……」

「伯爵もオフェリアを娘のように可愛がっておられましたので」

なるほどな。

木箱は3つあった。

最低でも金のインゴットが3つ……いや、もっとか。

「当面の資金はあります。あとはこれを他国で換金すればいいです」

ここで1つ疑問があるが……まあいい。

「ランス、ゲイツ、イラド辺りで売るのか?」

金貨を見せた時にそう教えてくれた。

騎士のこいつがそういう流通や相場に詳しい理由がわかった。

「ええ。その辺りはランスのレンジェに着いてから考えるつもりです」

今は逃げることが最優先か。

「フリオ、それをレスターさんに」

オフェリアが告げると、フリオが振り向いた。

「よろしいので?」

「迷惑料と依頼料です」

「それはアデリナ様が……」

もうもらっているな。

「私からです」

「かしこまりました……レスターさん、これを……」

フリオが持っている金のインゴットを渡してきたので受け取る。

「いや、いいのか? 成功報酬でもう500万ゼルくれるんだろ?」

オフェリアには聞く。

「それはマルドナド家からです。それは私からです」

王族の意地かな?

「わかった。じゃあ、さっきのネックレスを寄こせ。このインゴットを料金として、修理しよう」

「いいのですか?」

「5日も車内で暇だからな。その間に直しておく」

「余裕ですよー」

エルシィも笑顔で頷いた。

「ありがとうございます。それではお願いします。これは父が母に贈った大切な形見ですので」

オフェリアが立ち上がると、ネックレスを取り出し、俺に渡してくる。

「そうか……それは大事だな。早速、取りかかるからできたらそちらの部屋に持っていこう。多分、今日中にはできるし、新品同様にしてやる」

それができるのが俺達なのだ。

「あの、見ていてもいいですか? 錬金術に興味があるんです」

「構わないが……」

「お願いします。見る機会なんてそうそうないですから」

まあ、ないわな。

「わかった。飽きたら部屋に戻ってもいいからな」

そう言って立ち上がると、エルシィのもとに行き、テーブルの上にネックレスを置いた。

「どうします? 分けましょうか?」

シートに座ると、隣のエルシィが聞いてくる。

「そうだな。俺がルビフレイムを担当するからエルシィは金属部分を頼む」

「了解です。じゃあ、バラしていきますね」

エルシィは頷くと、ネックレスを分解し、宝石を取り出して俺の前に置く。

「じゃあ、やるか」

「はーい」

俺とエルシィは修理を始めた。

それを座ったままのオフェリアとその後ろに立っているフリオがじーっと見てくる。

「オフェリア、今後のことを話したいんだが、良いか?」

ちょっと気まずかったので後で話そうと思っていたことを話すことにした。

「ええ。何でしょう?」

「サラスカの町に着いてからの話だ。この列車の終点はサラスカだろ?」

さっき駅で見た時刻表ではそうなっていた。

「はい。サラスカに着いたら別の駅に行き、そこから国境を越える列車に乗り換える必要があります」

「審査は?」

「あると思います」

やはりあるか……

イラドの空港でもあったあれだ。

そのまま通過できずにサラスカで乗り換えるという時点であると思った。

まあ、それがあるからアデリナは俺達に頼んだんだが……

「着いたらすぐに乗り換えるのはやめよう」

「何故です? すぐに出るべきだと思います」

「状況の確認が先だ。反乱は5日以内に起きるんだろ?」

「ええ。ここ2、3日らしいです」

その情報源も気になるが、今はいい。

「そうなると、駅がどうなっているのかわからん。まずは確認だ」

「わかりました。あなた方に任せます」

オフェリアは素直に頷いた。

「そうしてくれ。お前達はちょっと目立ちすぎるんだ」

「そうでしょうか?」

「さっきも言っただろ。どう見ても貴族令嬢だし、騎士だ」

「今は王女様と騎士様に見えますねー」

エルシィも同意する。

「そうですか……では、どうすれば?」

「まず、フリオを座らせろ。夫婦設定でいくんだろ?」

夫を立たせたままってどんな恐妻だ。

「……フリオ」

「椅子がもうないですが……」

1脚しかないのかと思ったが、そもそも椅子を入れている時点で変だ。

「ベッドにでも腰かけてろ。そこは俺のベッドだから構わない」

「では、失礼して」

フリオはベッドまで行くと、腰の剣を鞘ごと抜き、腰かけた。

「その剣は必須か?」

「これだけは離せません」

騎士だからか、オフェリアを守るためか……まあ、両方か。

「エルシィ、どう思う?」

「フリオさんの商人設定はやめた方が良いと思います。傭兵で良いんじゃないですか? 反乱が起きて不安だから雇ったということで」

なるほど。

名案だ。

「じゃあ、それでいこう。フリオ、わかったな?」

「ええ。騎士崩れがそういう仕事をすることもありますし、良いと思います」

騎士崩れって騎士を辞めた人のことかな?

「オフェリアは……難しいな」

こいつに庶民のフリはできない。

「いっそ高貴さや品の良さを生かしては? 他国の貴族にするんです。他国の令嬢がイパニーアの宝石目当てに来たけど、反乱が起きたので早急に帰ることにした。私達は目利きのための同行者です」

確かにそれなら護衛を雇っても不思議じゃないな

悪くない。

「オフェリア、そんな感じで」

「私はこのままということですね……しかし、フリオ。あなたはもう少しくだけるべきです」

ん?

「護衛ですし、このままでもいいのでは?」

「レスターさんをご覧なさい。あれが普通です」

いや、俺は失礼な方だ。

「そうですかね……?」

「そうです。まずはその敬語をやめなさい」

「わかりました……いえ、わかった」

「よろしい。でも、もうちょっと上からでもいいですよ」

この人、普段の不満を言ってない?

「難しいですね……」

「そこは難しいことを言うんじゃねーよ、です」

それが難しいんだと思うな。

「あの、それは人の性格によるのでは? 私は誰にでもこんな感じなのですが……」

俺達にも丁寧だしな。

さすがは騎士だ。

「ダメです。男子たる者、もっと上から命令するような感じでないといけません」

おい……自分の性癖を出すな。