軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第126話 逃亡?

「レスターさん、ありがとうございます。それではすぐに動きましょう。オフェリア、フリオ、あなた方は着替えと準備を」

アデリナがそう言うと、オフェリアが立ち上がった。

「わかりました。フリオ、参りましょう」

「はっ」

オフェリアとフリオは部屋から出ていく。

「あのー……アデリナ様とオフェリア様の関係は?」

2人が部屋から出ると、エルシィがおずおずとアデリナに聞く。

「幼馴染ですかね? オフェリアは生まれてすぐに母親と共にこの屋敷に引き取られたのです。そこからずっと一緒ですし、姉妹に近いですね」

それでここまでするのか。

「ということは、この家は第二王子に近い家なのか?」

「派閥的には第二王子ですね。この国の貴族の半分以上はそうでしょう」

これ、第二王子派閥がその庶子様を支持し、国が真っ二つになるんじゃないか?

アデリナが言っているのはそういうことだ。

これは早急に国を出ないとマズいわ。

「なあ、あの2人って夫婦設定だったが、実際のところはどうなんだ?」

「ふふっ、夫婦ですか……夫婦の契りは交わしてないでしょうが、恋仲なのはそうでしょうね。詳しくは2人に聞いてください。私の口から言えるのは前に夜中の廊下で抱き合っていたのを見たことがあるというだけです」

ほぼ言ってんな。

「なんか駆け落ちみたいだな……」

「お好きでしょう?」

こいつ、俺達がイラドに追われていることも知っているのか。

「イラドは?」

「イラド、ゲイツ、ターリーの密偵はすでに撤退していますね。隣国のランス、ルドガーは留まっているようですけど」

そこまで掴んでいるのか。

この国は強いわ。

もっとも、反乱が起きたらどうなるかはわからないが……

「そうか……」

「さて、待っているのもあれですね。御二人は先に駅の方に向かってください。そして、オフェリア、フリオと合流し、そのまま列車に乗ってください」

「わかった」

俺達は頷くと、立ち上がった。

「レスターさん、後でこれをオフェリアに渡してくださいませんか?」

アデリナが手紙を取り出す、テーブルに置く。

「直接渡さないのか?」

「恥ずかしいじゃないですか。わかっていると思いますが、これが今生の別れの可能性もあります」

そうか……反乱に加担するんだもんな。

失敗したら死だ。

「わかった」

テーブルの上にある手紙を取ると、カバンにしまった。

「それでは行ってください。あなた方の店の成功を祈っています。もし、また来るようなことがあったら今度は本当にちゃんとした依頼をいたしましょう」

「頼むわ。ポーションでも鉱石でも何でもできる」

「ありがとうございます……それではオフェリアをお願いいたします」

アデリナがそう言って頭を下げたので部屋を出た。

そして、そのまま屋敷を出ると、坂を降りていく。

「よろしいのですか?」

ウェンディが聞いてくる。

「国を出るだけで金がもらえるからな。あいつらに嘘はなかったんだろ?」

「ええ。悪意はありませんでした。ギルドの受付の方もです」

嵌めようとかは考えていないわけだ。

「ならいいだろ。アデリナが言うように反乱が起きてからここを動くのでは遅い。早急に動けたのは助かった」

悪い国ではないが、内乱が起きるなら話は別だ。

「内乱なんて起きたらどこかの貴族に召し抱えられる可能性もありますからね」

エルシィの言う通りで俺達は戦争で使えるものをいくらでも作れるからその可能性が高いのだ。

「ここの領主はそれを選ばなかったから助かったな」

「それよりもオフェリアさんが大事ってことでしょうねー。亡命してどうするんでしょうか?」

「フリオが付いているから大丈夫だと思うが……ランスに協力者でもいるんじゃないか?」

「ですかねー……」

俺達は歩いていき、泊まろうかと考えていた【赤い屋根】を通り過ぎる。

そして、ギルドの前までやってくると、一言言ってやろうかと思ったが、スルーして駅にやってきた。

「急に慌ただしくなりましたね。ゆっくり北上かと思ったんですけど」

エルシィの腕の中にいるウェンディがぼやく。

「仕方がないだろ。それに儲かったし、観光は十分にできた」

「お馬さんが良かったですか?」

「そうだな」

あれは良かった。

「メインズ神殿前も良かったですし、ご飯も美味しかったですしねー」

「確かに満喫しましたね。そう考えると良い頃合いかもしれません」

俺達が駅の前で待っていると、王都で見た庶民の格好をしたフリオとオフェリアがやってきた。

2人共、カバンは持っているが、それくらいで大荷物ではない。

「お待たせしました」

オフェリアがそう言うと、フリオが一礼する。

「色々と話をしたいが、時間もないし、列車に乗ろう」

「ええ」

俺達は駅の構内に入ると、時刻表を確認する。

ちょうど10分後に列車が来るようだったので寝台車両の個室を2つ取ると、ホームに向かった。

そして、そのまま待っていると、列車がやってきたので乗り込み、それぞれの部屋の前に立つ。

「とりあえずはそれぞれの部屋で出発を待とう。部屋は隣だし、到着まで5日もあるからまた話がしたい」

「ええ。30分後にそちらの部屋に伺いますので」

「わかった」

俺達はそう約束し、それぞれの部屋に入った。