軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第111話 ハズレ

俺達は空いているテーブルにつき、串肉を食べる。

俺とエルシィは普通に頬張って食べていたが、ウェンディには大きすぎたので食器を出してやったのでフォークとナイフで切りながら食べていた。

しかし、オフェリアは持っている串肉の向きを変えたりしているだけで食べようとしない。

「オフェリアさん?」

エルシィが首を傾げる。

「あ、いえ、すみません。美味しそうですね」

オフェリアがそう言って笑うと、小さい口を開け、串肉を食べだした。

「美味しいですよね。タレが絶妙です」

「ホントにな」

「やはりお肉料理が美味しい国なんでしょう」

食の面ではすごく良い国だな。

「ええ。本当に美味しいですね。この他にも色々な料理があると思いますのでぜひとも楽しんでください」

オフェリアが笑顔で頷く。

「そうするわ」

「夜もここかなー? オフェリアさんもどうですか? フリオさんとご一緒に」

エルシィが誘う。

「ありがとうございます。ですが、無理でしょうね。実は明日、ここを発つのです」

え?

「明日ですか?」

「はい。北にあるルビアという町に行きます」

そうなのか……

「あ、あの……前日なのに案内なんてして良かったんですか?」

俺もそう思う。

「準備はできていますから大丈夫ですよ。それに私も最後に改めてこの町を見る良い機会でしたから」

「そうですか? ならいいんですけど……」

「もし、良かったらルビアにいらしてくださいよ。タイミングが合えばそこでお食事をご一緒しましょう」

ルビアか……

「私達もここを出たら北に行くつもりなので寄ってみますね」

「はい。良い町ですのでぜひ」

俺達はその後も話をしながら串肉を食べていき、最後にイノシシ肉を分け合って食べる。

そして、昼食を終えると、オフェリアが立ち上がった。

「昼食をごちそうしていただき、ありがとうございました。それでは私はこれで失礼いたします」

オフェリアが微笑む。

「こちらこそ、案内してくれて感謝する。乗馬体験は非常に良かった」

「ありがとうございまーす」

「いえいえ。またお会いできる日が来るのを祈っております」

オフェリアはそう言うと、来た道を引き返していった。

「先輩、どう思います?」

オフェリアの後ろ姿を眺めていると、エルシィが聞いてくる。

「確信して言えるが、本人が言うような一般市民じゃないな」

「ですよね。あの人、串肉を食べたことがなかったです」

すごく悩んでいたもんな。

それにこの公園を説明する時に民衆という言葉を使った。

普通は使わんぞ、そんな言葉。

「確かメイドだったか?」

「そう言ってましたね」

まあ、上級貴族に仕えるメイドは下級貴族から採用すると聞いたこともあるからな。

「別にいいじゃないですか。それよりもこの公園を散策しましょう」

ウェンディの言う通りだな。

「そうするか」

「はい」

俺達は席を立つと、公園内を歩いていく。

屋台が多く並んでいるエリアを抜けると、色々なものが売っている市のエリアに出た。

「色々ありますねー」

様々な露店が並んでおり、多くの人が商品を見ていた。

「ああ。でも、やはり鉱石関係が多そうだ」

木箱に入った鉱石を売っている店もあれば、宝石を並べて売っている店もある。

中には魔法関係のアイテムを売っている店もあった。

「先輩、あの宝石……5万ゼルですよ」

エルシィが見ているのは真っ赤な宝石だ。

ルビナイトだと思うが、その10倍はするであろうにたったの5万ゼルだ。

非常に掘り出し物だと思う。

本物ならば……

「輝きが鈍いな……」

「偽物でしょうね……」

まあ、こういうところだとそういうのも多いか。

俺達はその後も露天の店を見ていく。

偽物を扱っている店もあるが、ちゃんとした店もある。

半々といったところだろう。

そんな中、鉱石を売っている店を見つけたので立ち止まる。

「ちょっといいか?」

「ええ。見てみます?」

「ああ」

頷くと、エルシィと並んでしゃがんで並んでいる鉱石を見る。

「いらっしゃい。鉱山から届いたばかりの鉱石だよ」

若い男性の店主が胡散臭いビジネススマイルを浮かべた。

「セール鉱山か?」

「もちろんですよ」

「ふーん……」

1つの石の塊を手に取り、じーっと見る。

「これはいくらだ?」

「どれも3000ゼルだね」

どれも……

「福袋みたいなものか……」

「何ですか、それ?」

エルシィが聞いてくる。

「ランダムってことだ。当たりハズレがある」

「あー、なるほど。どうします?」

「プラチナが良いんだっけ?」

「ええ。プラチナは非常に高い耐食性と安定性、そして何より美しいです。良いと思いません?」

錆びもしないし、安定した夫婦生活。

そして、美しい者に美しいものを贈る。

そういう意味かな?

「ふむ……」

鉱石を置くと、並んでいる鉱石をじーっと見ていき、錬成後のプラチナ量を計算する。

「店主、これとこれとこれをくれ。釣りはいらんぞ」

1万ゼル札を取り出し、3つの鉱石を指定する。

「まいど……あの、専門家だったりします?」

1万ゼル札を受け取った店主が聞いてくる。

「すまんな。錬金術師だ」

「あー、今日は店じまいかな……」

本当にすまんな。

お前にとって、ハズレな客だ。