軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12月14日:白い終幕に警鐘を鳴らして

槍焔剣アラドヴァル。生まれ変わったアラドヴァルが 現状(・・) 備える能力はこれ。

・ 刃点火(イグニッション)

使用者のMPを消費し、消費した数値分の「焔」をアラドヴァルに蓄積する。

・ 焔爆(ニトロ)

非クリティカルヒット時、ヒットした攻撃に応じた「焔」をアラドヴァルに加算する。

クリティカルヒット時、蓄積した「焔」に応じた爆撃属性をアラドヴァルに付与する。

最大蓄積状態時、一定時間クリティカルヒットの成否に関わらず焔爆状態が持続する。

・ 焔研(トルク)

「焔爆」発動時、上記効果の「焔」の蓄積量の最高記録に応じて戦闘を継続している間、アラドヴァルの刀身に強化効果を付与する。

・竜を屠る槍

特定カテゴリのモンスターに対するダメージ量を強化する。さらにアラドヴァルは追加効果で上記条件を満たした対象に「 焼燬(しょうき) 」状態を付与する。

・「 輝槍実証第四(ブリューナク) :焼燬(キャール) 」

アラドヴァルを装備中に使用可能。アラドヴァルを使用した刺突、または投擲時に炎の槍を撃ち放つ。

・──[封鎖]──

竜の血を注ぐための杯、英雄の血で濡れた杯。事実だけが、真実を満たす。

なんというか、オルケストラ戦の報酬である仮面とはまた別方向で読みづらいというか……前々から思っていたんだがこういうテキスト担当してるやつが複数人いるのだろうか? しかもそいつらは実装するまで互いの文体を見ていない。

まぁいい。別に読めないわけじゃないし理解できないわけでもない。重要なのは強化前のアラドヴァル・リビルドと比較すると全体的に能力がややこしい……というよりも回りくどくなった、という点だ。

まず大前提としてこれまで常時発動型だった高熱の刀身がオンオフ型になった。【刃点火】でMPを種火として注入し、非クリティカルで「焔」? が蓄積して……もう既に面倒臭いが、刃点火を使わない状態であれば素手で触っても頬にくっつけてもケツバットしても熱によるダメージが発生しなくなった。あと切れ味も極端に落ちている、これが鞘に入った状態という事か。

後は……これ、リビルドの時から炎の性質が変わっているな。それまでのアラドヴァルは実際に高温と燃焼効果を備えていたが、槍焔剣アラドヴァルの「焼燬」効果は完全に別物となっている。燃焼っぽい別現象というか、簡単に言うと今のアラドヴァルを枯葉の山に突っ込んでも燃えないというか。

「うーむ………」

他、細かいところの仕様変更を確かめつつ首を傾げていると、「刃の竜」問題にひとまずの決着を得た事で次の議題へと移行していた。

話すのはニャイ十三世ではなく……ヴァッシュ。

「───聞け、生きとし生ける命共よ」

あ、これ真面目な奴だ。ほら真面目に聞けディープスローター、また耳元で囁くぞ。ゴライアスハナムグリィ………(ねっとり)

「白き災厄がぁ……近づいている。最早ぁこいつぁ人も獣も関係ねぇ……あらゆる命が、戦わなきゃあならねぇもんだぁ」

それは、警鐘だった。未だその全容の明らかではない、最も古く最も強いヴォーパルバニーが生きとし生ける全ての命へ向けた警告。

「その名ぁ…… 微睡(まどろ) む 白大神(はくたいしん) 。夜空ぁより来たる星の旅人をぉ滅ぼした 終止符(・・・) ……あるいはぁ、神の玉座」

成る程、現状の話だけだと手足の生えた椅子が世界を滅ぼす光景しか想像できないのだが、とりあえずその白大神を暫定的に椅子の怪物として引き続き話を聞こう。

「王は眠っている……だがよぅ、王の魂が玉座をぉ動かす……」

椅子・モンスターに王の魂が装備された。アンデッド的な?

「 神代(かみよ) のぉ背骨を持つ、大いなる獣……その歩みはぁな、黒きぃ神の地も……白きぃ神の地も、等しく踏み潰すぅ……」

全長500メートルの巨大ゾンビ椅子が背もたれからビームを吐き出しながら大陸を焼き払う光景を幻視した……そろそろふざけたイメージは捨てよう。

いやしかし無駄な要素を削ぎ落としても結論としては「 大怪獣(レイドモンスター) が侵攻してくる」という事になるんだが……ヤバくないか?

「おめぇさん達……嵐が来るぜぇ。白き玉座と王の魂はよう、この黒きぃ神の地を打ち砕かんと……波濤を引き裂く。そうすりゃあ、黒き神の眷属も静観ってわけにゃあいかねぇ」

成る程? その白大神は新大陸に侵攻するから新大陸のレイドモンスターが活発化します、と。

普通にヤバくないか、 あの(・・) 貪る大赤依に比肩する存在がフィーバーするだって? 新大陸側の始源眷属はその殆どが未だに確定した情報が殆どない、レイドモンスターが一斉に大暴れする暴走イベントで、そう何度も挑戦回数があるとも思えない。

「流石にこりゃあ【ライブラリ】に情報回した方がいい案件だな……」

ざわめく円卓も、ヴァッシュが視線を巡らせれば自然と沈黙が広がっていく。そして視線は一瞬、だが確かに俺達プレイヤーをじっと見つめ……言葉が続けられる。

「おめぇさん達……用心しなぁよう。 命(タマ) ァ張る覚悟をぉ…… 命(タマ) ァ守る覚悟をぉよう……」

さらに続けられた言葉は、あるいは不甲斐ない人類へのヒントか?

───白き大壁の版図は留まるを知らず

───黒き大繊の決闘は砂塵の中にあり

───青き大群は案ずる事なかれ

───赤き大依は再び飢えに目覚め

───緑の大宮は討たず追え

「何度でも繰り返すぜぇ? 白き神を、来たる玉座の災厄にぃ……備えな。それが 俺等(おいら) ぁからの、警告だぁ」

……

…………

………………

多種族サミットの二日目が終わった。

「さぁて、と」

「おうサンラク、回復薬ってここ売ってんのか?」

「いや知らんが」

「参ったな、ちと手持ちがなァ」

「シグモニアでムキになるからだろ……」

「ねぇサンラク、ここ弾丸売ってると思う?」

「ねぇヤシロバード、ここ弾丸売ってると思う?」

「同じ文章でこっちの脳みそ疑いに来たねぇ!」

「徹夜ですか?」

「 一徹(ワンテツ) で片付けるつもりだけどな」

「いいですね、最高だ。有り余る時間をさらに突き詰めるのは至高の贅沢ですよ」

「……あー、それはちょっとわかる」

さて、と。

俺達は武器を、防具を、アクセサリーを、そしてアイテムを確かめながらとあるモンスターの元へと行く。

「ようクイーン」

「お前タチは……」

「憂いは早期に断ち切ったほうがいいだろ?」

肩に担いだアラドヴァルをくるくると手首のスナップで回しながら俺はミノタウロスの女王へと告げる。

「明日の朝までに片付けよう、ドラゴン退治の夜が来るぜ」

ウル・イディム氏も追加メンバーで加入した俺達のパーティ名がさっき決まった。

「ドラゴン退治は【竜狩りの集い】にお任せってな」

ちょいちょい

「なんだよディープスローター」

「サンラクくぅん、ミノタウロスは複乳なんだねぇ……ズリズリだよぉ……」

…………。耳元に口を寄せて一言。

「……シャラーップ(囁き)」

「おぉお゛ぉおぉ゛んっ」

だまらっしゃい。