軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12月13日:タイムイズマネー

「いいかサンラク、まず最初にだが筋力強化は罠だ」

五歳児と化したエタゼロが至極真面目に解説し始めたので、俺も何とか笑わないようにしながら話を聞く。

「何回か試したがスキル鍛えた方がよっぽど強くなれる、いやまぁ完全に無駄ってわけじゃないが………お前の求める強さとは違うだろうな」

何でこいつ俺の強化方針を把握してる前提で話進めてんの? 怖いんだけど。

とはいえ見た目は狂いに狂ってるが言ってることはマトモなので野暮なツッコミは入れない。

「じゃあお前オススメの強化ってのは?」

「五感強化だ」

「その心は?」

「こいつが一番強化した際の実感がデカい」

曰く、筋力とSTRは厳密には別の判定になっているらしい。なので筋力をいくら上げてもSTRステータスに変化はない、じゃあ何が変わるのかというとダメージ倍率に寄与しない身体能力の上昇らしい。握力とかピンチ力とか。

だが五感は違う、視覚聴覚嗅覚味覚触覚……外的刺激を捉えるこれらはステータスパラメータとは別枠だ。だからこそここに改造を施した時の 実用性(・・・) は筋力強化の比ではない、との事だ。

「触覚と味覚ってなんか役に立つのか?」

「味覚はアレだが触覚は気配探知だな、鼻や耳が利かない場所とかで」

成る程……目の前にいる被験体一号がこれなもんだから色眼鏡が入っていたが、肉体の基礎スペックを上げる……これは思ったよりも奥深いぞ。

「余談だが、強化を重ねるほど要求経験値量が増えるがこれ多分アレだな」

「ん?」

「レベル149〜150の経験値量とレベル1〜10の経験値量じゃつり合わなねぇって事らしい。へへっ……一番賢いやり方はレベル100まで下げたらもう一度上げる事なんだろうよ」

「ちなみにその事実を知ったとしてその手段を選んだか?」

「言ったろサンラク……悔いはねぇんだ。きっと同じことをするさ」

なんて澄んだ目を………もはや何も言うまい。

「あ、ちなみにだが動体視力強化だけはやめといた方がいいぜ?」

「あん? なんでだよ」

「何が強化されてんのかさっぱり分からねぇんだ。実感が薄いというか変化を感じない」

その言葉に、俺は目を丸くして……そうして、思わず吹き出す。

「な、なんだよ」

「くくくく……いや悪い。なぁエタゼロ……お前ってSTRとVITメインで上げてるタイプだろ?」

「まぁ、そりゃな。グラップルやるのに長距離走の速さはいらねぇし」

「じゃあハズレを引いたな」

動体視力は動くものを見分ける能力だろう?

肉体の基礎スペックを引き上げる……基礎スペックは「ステータス」に影響しない……成る程、つまりスキルの強化そのものに基礎スペックは無関係じゃない。だとすれば動体視力がモロに影響するのは……

目を強化した時だ(・・・・・・・・) 。それも、目を強化した上でさらに動体視力が必要になる状態……

「象牙、被験体二号になってやるよ。動体視力に3レベル分つぎ込むぜ」

『サンラク、貴方は賢いですね……正解です』

あの、エタゼロさん。流石にわざとだとは思うけどハンカチ噛んで歯軋りするのやめてもらえます? ジェラるなジェラるな、どっから取り出したんだお前…………まぁ? ワタクシ優等生なので?

……

…………

………………

以上、 頭痛(回想) 終わり。

「ちなみにホルモンバランスとかいじれたから多分性転換した時の姿に干渉できるな」

ガタッ!×2

「座れ色ボケ共。今度にしろ今度に」

話が無限に進まなくなるじゃねーか。

さて、ようやく本題だ。

「とりあえず俺がソロでやる分は関係ないが、問題は……あぁ、もうこの際隠し立ては無しだ。ユニークシナリオの関係でケット・シーの国に行く必要があってな……」

「ケット・シー?」

「長靴をはいた猫だ、しかも喋る」

「SF-Zooが黙っちゃいないよその爆弾情報……」

「さらに言うとなんかサミットみたいなの開催するので他の種族も来るらしい。兎と猫は確定枠だから他なんだろうな? 安牌は犬?」

「ねぇこれ黙ってたらSF-Zooにしばかれないかな!? 生命保険適用される!?」

「生命に危機が及ぶ前提なんだねカローシスさん……」

ケットシーの国とて「来い」と言われるならラビッツのように特定条件じゃないと絶対に辿り着けない場所というわけでもないのだろう。いつかたどり着くなら、それはもう既に知っているも同じ……つまりいつか会話の流れでポロッと漏らす事はあっても今伝える必要はないのだ……というか下手に伝えるとあそこ、クラン総出でついてきそうでなんかこう……ウザ、もとい賑やか 過ぎそう(・・・・) なので……

「いいんだよ別に、大人数で新大陸攻略しようとすると大体「ひどいこと」になるんだろ? 少数精鋭で駆け抜けた方が楽なんだよ」

「4ぴ……………あれ? シないの?」

「強化中で手元に無いんだよ黙っとけ……」

「ボーナスタイムFooooo!」

「CHR:CFK」

「何そっつぁ根性焼きィィィィィ!?」

これぞ最近創作意欲が暴走し過ぎて金もアイテムも何もかも枯渇しているイムロン作、クリムゾン・ヒートライザー:コンバットフュージングナイフ! あまりに長ったらし過ぎたので頭文字だけ並べてCHR:CFK! それでも言いづらいので通称「根性焼きナイフ」である!!

イムロンがアラドヴァルを見ているうちに同系統……つまり刀身に触れるだけで金属を溶かすような灼熱の武器を作ろうとした副産物。片手剣よりもなお短いが故に使い道が少ないと嘆いていたが……うーんいい火力、アラドヴァルの代用として買い取ってて良かったぜ。

「い、痛いよ……ううん、でも分かってる。サンラク君は本当は優しいもんネ……私分かってるよ……」

「DVの現実を受け入れない若妻のフリはやめろ、これはただの純然たるバイオレンスだ」

「そこは謝りながらそっと抱きしめるところだよ! ねぇ! アナタ!!」

「眉間!」

「回避!」

「……在野にも ああいうの(・・・・・) 、まだいるんだねぇ」

「なんかアレだ、 ο(オミクロン) の戦国姫プ共を思い出す」

「僕アレだ、"えのき"思い出した」

「何の話です?」

「「いやぁ? 別に」」