軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大陸級宇宙船横断ウルトラクイズ

七層、内容としては二層と四層の合体版とでもいうべきか。二層のような図書館に似たエリアであり……そして、四層のように特定の情報を見つけ出せ、というものだ。そして「象牙」が出した謎かけに対して答えを出せばクリア。厄介なのはこれもまた一人一人別の問題が出されているという点だろう。

俺に出された問題は「異常増殖と高度な擬態能力を兼ね備え、人類種のみならず有機的生命体に対する極めて高い 能動的(・・・) 敵対行動を持つ始源眷族の名は?」

レイ氏に出された問題は「超々高度に生息し、その特徴的な肉体から肉眼での目視が困難ながら繁殖期に限り地上からの肉眼観測でも目視可能な生物の名前は?」

秋津茜に出された問題は「主に深海に生息する、他種族を特殊なフェロモンで依存隷属させることで自身の配下として狩猟などを行う魚類系統に分類される生物の名前は?」

そしてエムルに出された問題は「新大陸に出現する平均体高1メートル以内の生物の名前を五種挙げろ」

というものであった。成る程、キョージュ達が「あ、これ我々もここに永住するルートかな」とつぶやく程度には情報の宝庫だ。実質普通のゲームにおける図鑑項目に等しい、適当に開いたフォルダには俺が見たことのないモンスターに関する情報が事細かに記載されていたし……狂喜乱舞する【ライブラリ】達の喧騒に耳を傾ければどうやらベヒーモス内で生み出されたモンスターに関しての詳細な資料もあるらしい。要するに二層の上位互換、より高度な情報が収められた図書館ということだ。

で、話を戻すが【旅狼】の面々に出された問題であったが……偶然か、それともプレイヤーが 知っている(・・・・・) 情報の中から出題されたのか、俺たちの問題は殆ど資料を漁る必要のない問題ばかりであった。

「貪る大赤依……いや違うな、擬態だよな? だったら狂える大群青か?」

『正解ですサンラク、貴方は多くの戦いを経てここにたどり着いている……そのあり方は非常に好ましい』

「あれには勝てないけどな」

『神代の叡智ですら、根本的な対処には至らなかった怪物です。恐らく始源獣エレボスですら無差別の運用はできないのでしょう……あくまで推測に過ぎず、それを確かめられるほど「ベヒーモス」も人類も強くはなかった事がこの身を未だ焼く炎のような屈辱です』

「ええと、確か………アウロラカムイ?」

『正解です。私の観測が正しければ次世代原始人類が誕生してから一度も討伐されたことのない生物ですがよく知っていましたねサイガ-0』

「その、姉がリュカオーンの情報をかき集めている時に……極光のモンスターとしての、資料を見たことが、ありまして」

『遠い未来、人が空をも制覇した時……いいえ、あるいはそう遠くない未来に我が子達がその手を届かせることを私は信じ、待ちわびています』

◇◇

「ええと、ええと……」

「なぁ「象牙」、俺が教えるのは有りか?」

『ええもちろん』

「秋津茜、答えはスレーギヴン・キャリアングラーだ」

「知ってるんですか!?」

「ルルイアスで戦ったことがあるんだよ」

「そうなんですかー。ええと、答えはスレーギヴン・キャリアングラーです!!」

『正解です。深海における生態系の頂点を争う三種の内の一種であり、その遺伝子情報は生物としてあまりに異質であり……』

「あー、そういう専門的な話はキョージュ達にしてやれ、三時間でも付き合ってくれるぞ」

◇◆

「五種? 五種類ですわ? あー、えーと、うーん………」

「エムル、あと十秒」

「ほあぁっ!? なんでですわ!!?!?」

『10、9、8……』

「ほあぁああ!?! あー、えー、うー、ヴォーパルバニー! ゴブリン! コボルト! ケット・シー! ええと、ええと、ええと………………」

「サイナ、知恵貸せ」

「回答:ドラクルス・ディノトリアシクス」

「ドラクルス・ディノトリアシクスですわーーーっ!!!」

『……正解です。成る程、知的生命体であるのは事実なようで』

「新大陸にも、ゴブリン……いるん、ですね」

「ちょっとおバカだけど頑張って生きてるですわ」

「お前にバカ扱いされるのか……」

「サンラクサン、場合によっては表出ろですわ」

さて、そんなこんなでとりあえず俺と行動していた面々は課題をクリアしたわけで。ぶっちゃけリヴァイアサンの悪辣さに比べればベヒーモスの課す試練はちょろいものが多い。そしてサイナに関しては特に問題を出されることもなく顔パスだったのでその顔がますます曇った、参るぜ。

こういうのってもっとこう、最低でも三日四日はかけて好感度を稼ぐもんだろ? まだ1日経過してないんだぜここ。さてどうしたものか、このままのメンタリティで八層に行っていいのだろうか。俺個人としてはさっさとイベントを済ませたいという気持ちと単純に次が気になるという気持ちでさっさと行きたい派だ。

しかしなぁ……うーん。征服人形は生物たり得るのか、いや違うなサイナの悩みは自分が有機か無機かってことじゃない。要するに人権が有るか無いか、AIは「個人」として扱えるのか? って事だろう。

ぶっちゃけこれの答えって 既に出ているんだよな(・・・・・・・・・・) 。例えば……そう、ジョゼットに軽く喧嘩を売ればすぐに分かるだろうしなんなら隣にいる秋津茜辺りに聞いても答えは出そうな気がする。

「でもそうじゃないんだよなぁ……」

「何が、ですか?」

「んー? なんていうか、ヒロインへの好感度調整」

「ぷぐる」

「なんて?」

「ナンデモナイデス、クシャミデス」

そっかぁ……レイ氏はいつも通りって事で。

悩んでいても仕方ない、とりあえず八層に行ってみるだけ行ってみよう。答えを知っていたので特に資料あさりをすることなくクリアした俺達は他のプレイヤー達を差し置いて先に八層へと行かせてもらおうか………頑張れレイジ氏、「高み」で待ってるぜ………!!

ん? 八層って下じゃね? 低み? いやそもそもベヒーモスの形状的に実際の高度は変わりないんじゃ………

考えない事にしよう。