軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

突っ張る天啓と赤い伝言

神象開放から時間は二時間ほど前……大体四時ほどに時間は遡る。

リアルとは日没の時間も違うシャンフロのラビッツにて、男は兎と会っていた……

「ほれ、まぁたとんでもないもん持ってきてからに……」

「言うてカブトムシじゃん?」

「姿が似てれば同じと言うわけじゃありゃせんわい! 【四甲】と組み合わせられたのは単なる偶然じゃけぇ!! 全く……戦角兜【四甲】改め、覇角兜【 怒烈弩(ドレッド) 】」じゃ」

見た目も名前も突っ張ってんな……どうみてもそういうロボの頭にしか見えないってのもあるが、額のあたりから前に突き出すように何か砲塔のような突起が伸びているからもうそういうものとしか見えない。とりあえず装着。

「それを付けとる状態じゃと弩臼砲が使えるけぇ、まぁ勝手にやりや」

「弩臼砲? あー、魔力消費で頭から攻撃出来ると……いや首折れるだろこれ」

「そりゃ知らん」

こやつめ………とはいえ流石に一回使うだけで首がポキッと折れるようなクソ防具になるとは思えないし……あれ、いや待て、VIT参照だとあり得る話なんじゃないか? うーむ、やっぱり疑わしいぞ? 後で闘技場を使って性能調査だな。

「それと、ちいとこれを使うてみぃ」

「何これ、服?」

「いや、ケジメついでにダルニャータから宝石織の技術を聞き出してな、それをちぃと応用してみた」

タダでアクセサリーをもらった、やったぜ。えーと? 装備名は 黒曜纏の石外套(アムルシディウス・ユニフォーム) ……んー? どう見てもロングコートなのになんでユニフォーム…… 制服(ユニフォーム) ?

「どうせワリャがアホほど置いてった素材から作っとるんじゃ、好きに使いや」

「いや……あーうん、一応聞くけど何故この形に?」

「……? 強いて言うなら天啓」

「そっかー、天啓かー、天啓なら仕方ないか………」

天啓すごいね、どう見てもリーゼント(ポンパドールだっけ?)な頭装備と一緒に裾が長い学ラン風アクセサリーまでくれるのか………いやいやいや。

「本当にそれ天啓か? 昨日何食べた? 拾い食いとかしたんじゃないのか?」

「炉に焚べられたいんか?」

「火が濁るぞ」

何々? VITに追加で300のボーナス……なにぃ!!?

「ぼ、防具的振る舞いをするアクセサリー……!?」

「なんじゃ? そがいに珍しいもんでもないじゃろ」

この瞬間、知らずに紙装甲でプレイし続けていたアホの存在が発覚した。だがきっとそのアホさんにもやむにやまれぬ事情があったのだろう、いやそうだそうに違いない。つまりその何某かをアホ扱いするのは早計、ナンセンスということだ……はいどうもアホでーす。

「くっ……こういうのはもっとこう、序盤で知るべきもんだろ……」

いや、だがAGIに若干、いや結構マイナス補正が入るのか……ふ、ふふふ、いやこういうデメリットがあるなら付けないという選択肢もあるわけだしアホと思わせてのジーニアスだったと言わざるを得ないなぁ!!

……ちょっと後でアクセサリーの効果系統を調べようかな、マジで。アクセサリー生産専門職とかある時点で、琥珀アクセサリーという異常な性能のアクセサリーがある時点で警戒するべきだったのかもしれない。

このゲームにおけるアクセサリーは防具のおまけや装飾品に収まるものじゃない。第二の防具と言ってもいい本体性能の拡張要素だ。

「あ、でも結構重いな」

「あんに節操無しに武器を使うなら一個くらいドンと構える戦法があってもええじゃろ」

「ふーむ……まぁできないことない、か」

特に拳で殴る系だとどう頑張ってもインファイトだから被弾の確率も上がる、富嶽式で回避メインにしても流石のリアル剣聖も面制圧の全体攻撃は避けられまい。

「うん、ありがたく貰っとくわ」

「……仮にも災浄大業物を預かるんじゃ、しょーもない死に方されたらわちが親父に顔負けできん」

「やっぱあれそんなすごい代物?」

「ワリャの 命(タマ) ァ、いくつ賭けても足らんわーっ!!」

抜けない刀が俺の命(複数形)よりも高価値らしい、一体何を渡されたんだ俺は。

……

…………

………………

「……サンラクさん、ですね?」

「だぁあ!!?」

前線拠点に戻った瞬間、背後から話しかけられた声に思わず喉から変な音が出てしまった。振り向けばそこには見知らぬプレイヤーが立っており、何度見返しても初見の筈だが腰布に刻まれたRPA? という文字と赤い鉛筆という恐らく極めて限られた人間のみがそのマークに不吉さを感じるだろうロゴ……いや待てまさか。

「貴様、 共産主義(鉛筆の手先) ……!!」

「ふふふ……久しぶりだなサンラクさん……あんたは覚えてないかもしれないが俺は背後からあんたに心臓を一突きにされたんだぜ……! あの城でなぁ……!!」

「あ、その節はどうも」

「いえいえ、こっちも流石に別ゲーにまで波及させるつもりもないんで。今回はペンシルゴンさんからの伝言を持ってきた次第で……」

死皇コショウなる家庭的なのかそうなのかよく分からない仰々しい名前のプレイヤー……十中八九世紀末円卓の出身者であろう男と軽く言葉を交わしつつ、彼が持ち込んできた伝言とやらについて考える………確定で厄介なネタとしか思えないんだがそれ。

「内容聞かずに「馬鹿め」とだけ返すことはできますかね?」

「その場合はこの場で自分が自爆することになるかと……」

「いや何故???」

「背中から刺された恨みが三割……」

いや波及させてんじゃん! 魂が世紀末に取り残されてるから遠隔操作で動いてるシャンフロアバターが恨み骨髄じゃん!!

思わずファイティングポーズをとって距離を取るが、自爆の規模も不明だしそもそも話を聞くだけ聞いて無視すればいいだけなのでとりあえず聞くことにした。

「……それで、伝言ってのは?」

「サードレマに顔出せ、とのことです。そろそろ状況が動きそうなので……」

「どうせクーデターでしょ?」

いや、クーデターにクーデターを重ねるのってなんていうんだ? 少なくともレジスタンスとかそういう名称では無さそうだけど……内ゲバ?

「いやいや、トルヴァンテ国王に復権していただく事で新大陸に住まう者達との友好的な関係をですね」

「長い、四字熟語で」

「傀儡政権……いや冗談です、今回はそこまでしないらしいので特権階級とかですかね?」

ロクでもなさでは同じ意味だろ。まぁいい、王族に関しては(主に王女の顔で)思うところが多いが新大陸種族に対して建ててるフラグもそれなりにあるんだ。そこら辺が全部敵対イベントで潰れるのは俺も望むところではない。

「分かった、サードレマに行けばいいんだろう。どこに集合なんだ?」

「あ、大公の屋敷に行ってペンシルゴンさんの名前を出せば入れるかと」

政治中枢で名前パスレベルまで上り詰めてるぅ……