軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

Do it yourself

「これが僕一押しの「マルチバレル・ブラスター「百面相」だ。値段は張るし要求ステータスも 生身なら(・・・・) タンク系っていう おデブちゃん(ファッティ) だけれどもカタログスペックだけでもその素晴らしさが理解できる……名品だよこれは」

購入。

「……これはタイプメン用の拡張パーツの中でも武器とアームが一体化した所謂武器腕パーツ。名前は「ソリッドジェル・ユニット「 巌流転刃(ガンルテンジン) 」……魔力を粘液状にして流動させるコンセプトは玄人好み」

購入。

「待て待てサンラク、こっちも見て欲しい。基本的に魔力弾頭がメジャーな中で実弾といういぶし銀な───」

「……これを外して語るのは冗談でも笑えない類。この一見デッドウェイトにしかならなさそうな見た目とは裏腹に───」

「なぁお前ら、実は自分が欲しいものを買わせてたりしないよな」

「「それだと全部になる」」

かくも、人の欲望とは……っ!! いやまぁ俺の金で買ってるから俺のものなんだけど、プレゼントするつもりなんか毛頭ないですよ。

重要なのはあのルームを五層まで落とす為の質量だ、やっぱり私欲丸出しなアホ二人を適当に流しつつ破壊力が高そうな武器を片っ端から購入していく。カードゲーマー達から「募金」してもらったのもあるが……なんの気無しに寄ってみたスロットが目押し可能と気づいた時、俺は歓喜と焦燥の二つの感情で叫びそうになった。

スキルによる体感速度への干渉であのスロットは目押しができる、ある程度の慣れは必要だろうが……逆に言えば俺にしかできないわけじゃない、慣れれば誰だって出来る。

つまり今はまだいないだけで四層に上がってくるプレイヤーが現れるのは時間の問題だ、現状あの「買い物カゴ」が一つしかない以上勢力が増えるのは攻略の遅延にしかならない。

「サバイバアル、そっちは?」

「ライフル系でいくつか買い揃えてみた、DPがどれくらいかは知らねぇが低いってこたぁねぇだろう」

「その、私の方は……キューブメンを一機、買ってみました」

「いいね、キューブメン自体爆走するサイコロだしDPを稼げそうだ」

「爆走するサイコロ……ふっ、ふくくくく……」

モルドが使い物にならなくなった、どうすんだよこれ。とはいえ準備は出来た、とりあえずこれで試してみるとしよう……総額一億三千万と千五百スコア、これで届かないならスロットで目押し祭りだ。

購入した商品をインベントリアへと突っこみながら俺達は例の「買い物カゴ」へと向かう。

「さて「勇魚」……お会計は終わった、出口まで案内してもらおうか」

「お前鐚一文出してないけどなヤシロバード」

「金ばかりに執着しても人生は満たされないよ」

「破産しかけた奴が言うと言葉の重みが違ぇなぁオイ」

「あーこれしばらくイジられる奴かぁ」

隙を見せれば格好の餌食、外道ルールであろうと孤島ルールであろうと幕末ルールであろうと不変の真理ってやつだ。もうちっと平和な世界で暮らしてみたいもんだがこっちの方が気風にあってるんだから仕方がねぇ。

「……破産した後の立ち回りを考えないのは舐めプ」

「破産済みのプレイヤーに言われると腹立つ度合いが倍増するなぁ!!」

金欠コンビがやいのやいのと騒ぎながら箱の中に入ったことで、パーティメンバー全員が「買い物カゴ」の中へと入る。その瞬間、立方体が真上へ、いや真下へと動き始めた。

「SPとDPが加算された! SPはいち、じゅう、ひゃく、せん……一億と三千万、やっぱり購入総額だね」

「DPも上昇して、います……! あの、これ……SPよりも、高速で上がって……!!」

ガゴン!! と 上昇(落下) していた「買い物カゴ」がついに第五殻層の外殻へと接地。外から見れば箱が空中に浮かぶ五層の外壁にくっついているだろう衝撃に地に足ついた俺達がよろめく中、地に足ついていない「勇魚」だけが高らかに声を上げる。

『スコアポイント一億三千万千五百、デンジャーポイント 三億八千万六千八百(・・・・・・・・・) 。さあ、扉に至りし次世代原子人類達よ武器を取りなさい。「叡智」に至る番兵は、即ち叡智をその手に掴む為の最後の試練……手綱を握る者は獣よりも上位でなければならない!!』

黒幕みたいなことを言い出した「勇魚」を見つつも、俺たちはそれどころではない異変に慌てふためく。

「……ちょっ!?」

「僕のチェストリアが!?」

「買った武器が、勝手に出てきやがる……!?」

「おごごごごごご!!?」

「サ、サンラク……さん!?」

「なんかサンラク凄いことになってるよ?!!」

あ、腕から……いや違う、装備してる方のインベントリアから大量の武器や防具が……待て、まさかデンジャーポイントっていうのは武器単体の危険度じゃなくて、それらを複合した際の……!!

『ウィズダムガード:タイプスティンガー、とでも名付けましょうか』

レイ氏が買ったキューブメンを素体に銃、剣、装甲、俺たちの購入した装備品の数々が明確な「形」を目指して合体していく。それが武器本来の想定とは全く異なるものであることは、フランケンシュタインの怪物がイケメンに見えるようなちぐはぐ具合を見れば明らかだ。

だがライフルによる「脚」で地に足ついて、巨大ブラスターの「鋏」を構え、なんかジェル? のブレードを尾の先端にくっつけたその姿はまさしく……

「いや、蠍じゃん」

「……サンラク、驚かないで聞いて欲しいけど人間は自分よりも大きな蠍をそんなに冷静に受け入れない」

知っとるわい、そんなことよりも問題は目の前の虐殺兵器DIYだ。姿形はこの際どうでもいい、問題は叡智の番人というからには……やっぱり戦うことになるよなぁ!!

「全員散開!!」

銃としての性質を変更できるとかなんとかヤシロバードが自慢していたミニガンもどき、今はスティンガーの右鋏となっているそれが唸りを上げて弾丸をぶちまける。

当たった間抜けは無し、だが殺戮兵器集合体スティンガー君にとってはガトリングみたいな散弾掃射は挨拶程度でしかないらしい。

「尻尾が来るぞォ! 伏せるか跳べ!!」

ぐぉん、と空気を切り裂いて一層のジェルゴーレムに似た粘液質の魔力がブレード状に固定されて振り回される。なんだかんだ俺は慣れがあるので対応できるが他の面子は節足動物特有の気味の悪い素早さに対応しきれていない。そうそう、水晶群蠍とかもそうなんだけどこいつら体幹も外殻もアホほど頑丈なくせに瞬発力がやたら高いんだよな……うんうん。

「ちゃんと油は差してあるらしい……っ!」

「待っ、的確に後方支援から殺しに来てるよこれ!!」

「ちょっと待ってくれよこれ……一、二層の武器通る? テキスト的にあんまり効果なさそうなんだけど!!」

「あんな野菜ピストルで削れるか! 弓使いやがれヤシロバード!!」

「やだー! 引金引きたいんだよ僕はぐべへぇ!!」

「ヤ、ヤシロバードォーッ!!」

どうする、この殺人メカサソリ……強いぞ!?