軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

90話 ボス部屋に入ってみた

“恐怖の館テラーハウス”の地下――古代の生物兵器研究所。

人が神を殺すための兵器が作られ、古代の人類が“魔族”となった、全ての元凶の地。

――その奥深くに、“それ”は封印されていた。

“それ”は、鎖で磔にされた魔人のような怪物だった。

人間の禁忌の研究によって生み出され……しかし、あまりにも強大すぎたがゆえに、人間の手で封印された神殺しの生物兵器。

そして、この“恐怖の館テラーハウス”のダンジョンボス――。

その名も――封印されしエクス=ディエス。

……この怪物の封印が解けたとき、世界が終わる。

そんな伝承とともに、永い眠りについていたその怪物が今――。

1000年ぶりに――意識を、覚醒させた。

(…………来タ……か……)

この部屋に接近してくる存在を感知し、怪物の眼がぎらりと輝く。

こちらへ迫る存在の数は、2つ。

この研究所を襲撃するにはあまりにも少ない数だが……。

しかし、怪物にはわかる。

…………この“2つ”は、強い。

この怪物に、1000年ぶりの緊張が走るほどに。

どこか、神気のようなものさえ感じるほどに。

神の使徒か、あるいは神そのものか。

とはいえ、それでも、この怪物には敵わないだろう。

なぜなら、この怪物は――“全盛期の神々”を殺すことを想定して作られているのだから。

『……ぁ……アぁ、あ……ッ、ッ……!!』

怪物が軽く身じろぎするとともに、封印のための鎖がばきばきと砕け散っていく。

巻きつけられた鎖も、拘束装置をも引きちぎり……怪物は産声を上げるように高らかに咆哮した。

そう、怪物はこのときを待ちわびていたのだ。

これで、ようやく自分が生まれてきた意味を――“神殺しの兵器”としてのつとめを果たすことができる。

神を殺し、神の使徒どもを滅ぼし……。

大地を、海を、空を――世界を、 創造主(まぞく) のものにする。

この怪物は、そのために作られた“兵器”なのだから――。

(――サ、ぁ…… 死(オワリ) を、 祖(ハジ) めよ、ウカ……)

そして、怪物が冷徹な笑みを浮かべるとともに――。

ついに怪物が封印されている部屋に、2人の少女が入ってきた。

……なぜか、壁に半分ほどめりこんだ状態で。

「――えへへ! 壁抜けすると、ここのボス戦はスキップできるんですよ!」

「……うむ、楽ちんでいいの(遠い目)」

壁にめりこんだ少女たちは、そんなことを話しながら、てくてくと出口まで歩いていき……。

そのまま、普通に部屋から出ていった。

『…………………………………………』

というわけで、ローナたちは“恐怖の館テラーハウス”をクリアしたのだった。

「――よし、あとは迷宮核を取るだけですね!」

「う、うむ……なんか意味不明な怪物がいた気もしたが、われはなにも見なかったのじゃ」

封印されしエクス=ディエス戦をスキップしたあと。

ローナたちは迷宮核のある部屋に向かって、通路の壁や障害物をすり抜けながら歩いていた。

「とゆーか、どうしてわれらは 石(かべ) の中にいるんじゃ? 幽霊にでもなったのか?」

「幽霊なんて、そんなオカルトありえませんよ。これは“壁抜け”です」

「か、壁抜け? それはオカルトではないのか……?」

「はい! それこそが 半自動式散弾銃(セミオート・ショットガン) の真の力ですから!」

そう、ローナが今さら た(・) だ(・) の(・) 最(・) 強(・) 武(・) 器(・) を手に入れたからといって、「わーい」などと喜ぶはずはないのだ。

どうせ“最強”などという言葉は、1~2か月で更新されるものらしいし、『半自動式散弾銃キック』などは、あくまで“おまけ”にすぎない。

それよりも、ローナがこの銃を求めていた理由は……。

と、ローナはインターネット画面を改めて見る。

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▍裏技・小技/【照準壁抜けバグ】

▍概要

【半自動式散弾銃】装備時に、

①特定の壁に背中を押しつける

②照準をのぞきこむ

③180度回転する

④爆弾で吹き飛ばされる

という動作を素早くおこなうと壁抜け状態

になる(解除するのも同じ手順)

この壁抜け状態を利用することで、一部の

イベントやボス戦をスキップすることも可

能。

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そう、この“壁抜けバグ”こそが半自動式散弾銃の真価。

「この銃はまさに、あらゆる場所に入ることができる鍵――キーアイテムというわけです!」

「ま、まるで意味がわからんのじゃ」

「ちなみに、この銃があれば玄関の扉もすり抜けられるので、もう普通に脱出できますよ!」

「いや……えぇ……」

まあ、ここまで来たら、わざわざ玄関まで戻るより迷宮核を取ったほうが早いわけだが。

「それより、これってもとに戻るんじゃよな? 一生このまま壁とともに生きることにはならんよな?」

「はい、それは大丈夫ですが……壁にめりこんでいたほうが近道ができて、『タイムを8秒も短縮できる』とのことです!」

「そやつらはいったい、なにと戦っておるんじゃ?」

「それと、壁にめりこんでると、他にもいろいろと便利なことがあって……」

と、ちょうどそんな話をしていたところで。

『――ニンゲン……ミツケ、タラ……キル……』

「あっ」

巡回警備をしていた鎧のゾンビ――キリングアーマーとはち合わせた。

『……ニンゲン……ニンゲン?』

キリングアーマーは、壁から顔だけ出したローナとしばらく無言で見つめ合い――。

『………………ヨシ!』

と、頷くと去っていく。

「――と、こんな感じで、壁の中にいるとゾンビに見つからないそうです!」

「……お、おぬし、本当に人間じゃよな?」

「人間ですよ?」

そんなこんなで、警備をしていたゾンビもいなくなったところで。

ローナたちは、さっそく迷宮核のある最深部の部屋へと入るのだった。