軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

89話 死神と戦ってみた

「――わーい! 半自動式散弾銃(セミオート・ショットガン) だぁっ!」

というわけで。

死神から逃れた先で、ローナは念願の武器を手に入れた。

「い、いや……なんじゃ、その武器は? そもそも武器なのか? 見たことのない形状じゃが……」

「はい! これは、“銃”というクロスボウの進化系みたいな武器です! “JK”という最強の神様たちが使っているのを、よく絵画で見ますね!」

「か、神が……? われ、なにも聞いてないんじゃけど……」

ローナはそう簡単に説明しつつ、改めてインターネットを確認する。

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▍武器/銃/【 半自動式散弾銃(セミオート・ショットガン) 】

▍ランク:SSS ▍種別:銃

▍効果

物攻+3333

クリティカル率+33%

射撃時、【弾薬】を33消費する。

▍装備スキル:【フルスロットル】

▍効果:一定時間、速度40%UP。

▍概要

【恐怖の館テラーハウス】のやりこみ報酬

であり、“近距離最強”とも言われる武器。

周囲の敵を一掃する散弾射撃も、装備スキ

ルの速度バフも強いが、それ以上にぶっ壊

れているのは……。

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(う、うわぁ、ひさびさのSSSランクの武器だけど……やっぱり、めちゃくちゃだなぁ)

物攻UPと聞いて真っ先に思い出すのは……ただ適当に振っただけでドワーゴの店を破壊したSランク魔剣“ 殺刀(さっとう) ・ 斬一文字(キルイチモンジ) ”だが。

しかし、その魔剣でも物攻+1111だった。

それに比べて、この 半自動式散弾銃(セミオート・ショットガン) は――物攻+3333だ。

(ってことは、一発でドワーゴさんのお店を3回も破壊できる力ってこと……? あいかわらず、こんな武器があっさり手に入っていいのかわからないけど……)

とはいえ、この半自動式散弾銃さえあれば――。

―― こ(・) の(・) ダ(・) ン(・) ジ(・) ョ(・) ン(・) は(・) 、(・) ク(・) リ(・) ア(・) し(・) た(・) も(・) 同(・) 然(・) だ(・) っ(・) た(・) 。

と、ローナがそう考えたところで。

「お、おい、ぼさっとしとる場合じゃないのじゃ! やつが来たのじゃ、ローナ!」

テーラの声でふり返ると、いつの間にか部屋の入り口に死神が立っていた。

どうやら、ついに追いつかれてしまったらしい。

――死験体零号デス・エクス・マキナ。

それは、人間が生み出した生物兵器にして、絶対的な“死”の具現化であり……。

揺らめく炎をまとった大鎌をかまえる姿は、まさに“死神”そのものだった。

……あきらかに、人間に勝てる相手ではない。

それでも、ローナは手に入れたばかりの半自動式散弾銃をかまえて、死神と対峙する。

「の、のぅ? ほ、本当に、そんな装備で大丈夫か?」

「大丈夫です、問題ありません」

そう話している間にも、死神はローナに狙いを定めたように歩み寄ってくる。

逃げようにも、もう逃げ場はない。

しかし、この死神に勝つための条件は、 す(・) で(・) に(・) そ(・) ろ(・) っ(・) て(・) い(・) る(・) 。

だから、ここでローナが取るべき選択肢はひとつだけだ。

「――フルスロットル!」

ローナの声とともに、半自動式散弾銃の装備スキルが発動する。

自らの速度を1.4倍にし、移動速度・攻撃速度・クールタイム減少速度を全て底上げする壊れスキル。

その発動と同時に、ローナの姿がふっと消え――――。

「――――――必殺」

『――ッ!?』

次の瞬間には、死神へと一気に肉薄していた。

死神もとっさに炎の大鎌を振り上げるが、もう遅い。

ローナは半自動式散弾銃をかまえながら、死神の懐にもぐりこみ、そして――。

「―― 半自動式散弾銃(セミオート・ショットガン) キック!!」

――死神を、蹴った。

その次の瞬間――どごぉおおおおおォオオオオッ!! と。

爆発的な衝撃とともに、死神が高速回転しながら吹き飛んだ。

「…………は?」

ぽかんとしたような声を漏らすテーラの眼前で。

がんっ、がんっ、と何度も床をバウンドしながら、勢いよく通路の壁へと叩きつけられる死神。

そのまま、死神は、ずるり……と力なく壁からずり落ちる。

「……え……えぇ、ぇ?」

口をぱくぱくさせるテーラ。ぴくぴくと痙攣する死神。

そんな沈黙の中――。

「うん、インターネットに書いてある通り♪」

と、ローナの明るい声が周囲に響いたのだった。

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▍裏技・小技/【セミショキック】

▍概要

【半自動式散弾銃】のステータスUP・装

備スキルは、なぜか【キック】にも反映さ

れる。

しかも【キック】は攻撃モーションが速く、

リロードの必要もないため、とくに単体相

手では散弾射撃をはるかに超える火力(D

PS)を叩き出す。

これが、【半自動式散弾銃】が“近距離最

強”と呼ばれる理由である。

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どうやらインターネットによると、この半自動式散弾銃は、なぜか射撃をするよりキックをしたほうが強いらしい。

それも、“近距離最強”と呼ばれるほどに。

「そう、これが半自動式散弾銃の力です!」

ローナが、むふんっと誇らしげに銃をかかげる。

「う、うむ。なんでキックしたのか、まるで意味がわからんが……たしかに、これは超エキサイティングな威力じゃな! その武器があれば、あの化け物も倒せそうじゃの!」

「え?」

「え?」

きょとんと顔を見合わせるローナたち。

「え……いや、その武器であの化け物を倒すんじゃよな?」

「いえ、あの……べつにこの銃の攻撃じゃ、あのモンスターには効きませんよ?」

「へ、へぁっ!?」

「今のはただ試しキックしたかっただけで、そんなにダメージは入ってないと思いますし。そもそも、この銃を回収したのは、“ ボ(・) ス(・) 戦(・) ”で使いたかったからなので」

「………………」

テーラがぴしりと硬直する。

そのまま顔を横に向ければ、死神はすでに立ち上がって、ふたたびこちらに迫ってきており……。

「な、なら、どどどうするのじゃ、あの化け物は!? 攻略法があるのではなかったのか!?」

「え? ああ、あのモンスターなら――」

慌てふためくテーラに対して、ローナは少しきょとんとしながら。

「――そろそろ倒れるんじゃないかなぁ、と」

「……へ?」

ローナが、ちょうどそう言ったところで。

こちらにゆっくりと近づいてきていた死神が、突然……その場にどさりと倒れた。

「……ほぇ?」

そして、ぽかんとするテーラの眼前で。

死神はそのまま起き上がることなく、ぽふんっと煙となって消滅し――。

『死験体零号デス・エクス・マキナを倒した! EXPを444444獲得!』

『LEVEL UP! Lv81→99』

『SKILL UP! 【大物食いⅧ】→【大物食いⅨ】』

『称号:【そんなに強くなってどうするの?】を獲得しました』

「あっ、倒せましたね」

「…………」

テーラの顔が、ぎぎぎ……と、ローナに向けられる。

「……こ、今度はなにをしたんじゃ?」

「? なにって……あのモンスターは、 ず(・) っ(・) と(・) 炎(・) 上(・) し(・) て(・) た(・) じゃないですか」

「むぇ?」

――“炎上”。

それは、神すらも破滅させる恐ろしい現象の名だ。

ゆえに、インターネットの神々はみんな“炎上対策”をしているのだが……先ほどの死神はそれを 怠(おこた) った。

そう、あらゆる攻撃をほぼ無効化できるのに、『炎上による固定ダメージ』の対策はまったくしていなかったのだ。

「え、じゃあ、なんじゃ? まさか、あの化け物がまとってた炎って……」

「まとってた炎? ああ、徘徊ルートに松明をたくさん置いといたので、それにさわって燃えてただけですね。あとは念のためプチフレイムで再炎上させましたが」

「…………」

炎上による固定ダメージ量はたいしたことないが、ずっと食らい続けていれば、いつかは倒れるわけで。

というか、計算上――死神は遭遇した時点ですでに相当弱っていたはずなので、あとはちょっと時間を稼ぐだけでよかったのだ。

ちなみに、このように松明で敵を炎上させる戦法を、神々の言葉で――。

――“松明ハメ”と呼ぶらしい。

「えへへ、いっぱい炎上させられてよかったです!」

「な、なんか、頭が痛くなってきたのじゃ……」

なにはともあれ、邪魔な死神もいなくなったことで道は開けた。

さらに、ボス戦のキーアイテムといえる半自動式散弾銃も手に入ったことだし……。

「それじゃあ、さっそく行きましょうか――ダンジョンボスのもとへ」

ここまで来れば、最深部はもう目の前だ。