軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百六十三話

あれから、武器や防具を新調し、俺たちは佐々木ダンジョンの攻略を進めていた。

装備を新調した後、佐々木ダンジョンの攻略は順調に進んでいる。

モンスターそのものは確かに強くはなっているのだが、東雲、ヴァルと天才の仲間がいるので、多少モンスターが強くなっていても、問題なく戦えていた。

唯一と言って良い、弱点、経験不足は、東雲一花という超一流の探索者がいることで補っており、俺はちょくちょくミスをしそうになるが、東雲がそれを予想しているのか、事前にアドバイスをしたり、ストップをかけたりして、致命的なミスを防いでくれていた。

そのため、佐々木ダンジョンの深層にいるモンスターを相手にしていたら、ドンドン、レベルが上がっっており、東雲というブレーキがありながらも、結果的にハイペースでダンジョン攻略を進めた結果、既に第四十階層まで攻略を進めている。

そんな中、今日はダンジョンではなく、三人で東京探索者協会第三支部に足を運んでいた。

「伊藤君のレベルが既に400を超えているとは」

早速、支部長室に案内され、最初は軽い近況報告などをしていたのだが、それが太田支部長としてはスルーしがたいことばかりらしかった。

なにせ、俺が何か言うたびに、ここまで案内してくれた、探索者協会職員の淵田さんと何度もやり取りをしており、そのたびに顔が若干老けている。

「うおっほん、伊藤君、本題なんじゃが、オークションに参加してみないか?」

「オークションですか?」

俺はテーブルに置かれているコーヒーを手に取り、一口飲む。

明星にスカウトされた際、喫茶店でコーヒーを飲んだが、それに匹敵するほどに美味しいコーヒーだ。

「伊藤さん、たぶん、先日討伐したハイ・ライカン・スケルトンの素材が出品されるオークションですよ」

「ああ、それか」

オークションよりもコーヒーに意識がいっていた俺に、東雲が小声で言ってくる。

モンスターの素材の中でも貴重なモノ、ユニークモンスターやAランククランしか討伐できないようなモンスターの素材などは、オークションによって買い手が決まることも多い。

この手のオークションは探索者協会が主催となっていることがほとんどであり、大田支部長から参加を提案されるのも道理であった。

「その通り。先日、伊藤君たちが討伐ユニークモンスターの素材が出品されるオークションじゃよ。折角だから伊藤君も出てみたらと思っていたんじゃが、レベル上げに忙しいかの?」

「いえ、そんなことはないのですが……」

(ダンジョン探索をしたいのは事実だが……それにしても、コーヒー旨いな)

あまりに美味しいコーヒーなので、つい何度も飲んでしまっていた。

まだ話し始めて、そう時間は経っていないはずだが、既にカップを傾ければ、底が見えるほどに減っている。

「コーヒー、私が入れたんですよ」

淵田さんが柔らかな笑みを浮かべ、言ってくる。

「とても美味しいです」

淵田さんの目は、感想を絶対に言うように訴えかけていたので、変に取り繕うこともなく、率直に言った方が伝わると判断し、そのまま感想を述べることにした。

内心、ビビっていたわけではない。断じて、ない。

「淵田君、今、儂が伊藤君に聞いておる最中なんだが」

大田支部長が淵田さんにジト目を送るが、どこ吹く風といった様子で、淵田さんは完全に無視していた。

「すみません。オークション、是非、参加させていただきたいです」

「うむ、そういうことなら、これが三人の招待状じゃ。日付は今から1週間後、都内有数のモンスター素材専用のオークション会場で行われる」

俺は招待状をまじまじと見つめる。

すんなりと受け入れているが、正直、オークションに自分のようなものが参加することになるとは思っていなかったからだ。

「そういえば、席についてじゃが、関係者用のVIP用の場所を取ってあるから、落ち着いて観覧できるぞ」

(これ、絶対参加させる気だったな)

VIP席を用意しているわけだから、なにか理由をつけて断ろうとしてきても、許してはくれなかっただろう。

(なんの狙いがあるんだか……まあ、折角だし楽しむか)

何かしら狙いがあったとしても、目を付けている人間を陥れるようなことはしないだろう。

俺は早々に結論を出し、目の前で火花を散らしている大田支部長と淵田さんをなだめるにかかるのであった。