軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

7 外の世界は…

母親の放置は相変わらずだが、おかげで踏み台が手に入ったのはよかった。上達はしているが、扉を開けるにはもう少し時間がかかりそうだったから。

踏み台は使うけど、ここでスキルの練習をやめたら負けた気がするから使いこなせるようになるまでは続けよう。決して意地を張っているわけではない。必要だから頑張るのだ。

ってことで、早速外に出よう!!

マップで母親が近くにいないのはチェック済みだ。次は夕方まで絶対に来ない。来たとしても、ここに着くには30分かかる。念のためこまめにチェックしよう。

踏み台を使い扉を開けると、短い廊下に出た。私がいた部屋は1番奥にあったようで、手前にも1部屋ある。その先に扉があった。

踏み台をズリズリと引っ張ってきて、もう1ヶ所の扉を開けた。そこは小さなリビングのようなところで机と椅子があり、部屋の隅にはかまどのような物がある。

煤けた天井には蜘蛛の巣がはってるし、床は埃で白くなっている。歩く場所に気をつけないと、足跡がつく。踏み台を引きずるからバレるとは思うが母親は気にしないだろう。

備え付けの棚など、必要最低限の家具しかなかった。その全てがボロボロだったけど。

部屋の正面の壁に扉を見つけた。雰囲気からして玄関で間違いないだろう。人が通った足跡がある。もう1度マップで母親の居場所をチェック……大丈夫だ。

踏み台を持ってきて扉を開ける。深呼吸をして心を落ち着かせてからゆっくり開けていった。

ーーーー

(うわ~、くっさ! 鼻で呼吸しちゃダメだ!)

わかっていたけど衝撃的だ。やっぱり汚物を外に捨てるのは母親だけじゃなく、少し離れたところにある家も同じように外に捨てている。多分、外に捨てる人が殆どなんだろう。

……日本って素晴らしい国だったんだな。

家から出て辺りを見渡す。周りには、ぽつぽつと小屋のような家が建っている。どの小屋もボロボロで外壁は木の板を繋ぎ合わせて作ったような見た目だ。段ボールハウスのほうがキレイだな。

家の周りの地面は踏み固められていて、少し雑草が生えているが歩きやすそうになっていた。まぁ、歩く時は足元に注意しないと最悪の事態が起こるのは確実だが。

遠くには山や森が見え、その手前が草原になっている。この匂いさえなければいい場所なんだけど……。家の裏手に行ってみる。

(あぁ、こういう感じか)

離れたところにかなり高い城壁が見える。造りもしっかりしていそうな立派な城壁だ。その手前、私の家から城壁までの間に大きなゴミ山がそびえていた。

多分、城壁の中のゴミが運び込まれているんだろう。かなりの大きさだ。そのゴミ山の麓には小屋がたくさん建っていて、最低限の距離だけあけて密集している。

よく見てみると、ゴミ山を囲むように小屋が建っているんじゃなくて、左右から挟む感じになっている。

こういうのテレビで見たぞ。ゴミ山で生活する人達の話。不衛生で危険な場所だけど、貧乏だから行くところがないって話している人がいたな。

ここはそのゴミ山と同じ状況なんだろう。貧乏で居場所がない人が生活するところ。間違いなくスラム街だ。

文明が低いうえに母親がアレなんで、もしかしたら今が悪いだけで外に出ればマシになるかもって思ったけど、あまかった。

ここは異世界だし、身体は弱いし、母親はクソだし、スラム街だし………。

……どうやって生きればいいんですか? 神様。

ーーーー

(神様め、次に会ったらぶん殴ってやる)

そう決意し、気持ちを切り替える。さて、これからどうするかを考えよう。情報収集はしたいが、人に見つかって面倒な事になったら嫌だし、危険かもしれない。素早く逃げることが出来ないと何かあった時に困るだろう。でも、食糧は確保したい。

ゴミ山に行けば使える物を拾える可能性があるし、いい人に出会えれば色々と教えてもらえるかもしれない。

拾った物を加工し売ったりしてお金が稼げれば食糧が買えるだろう。だからこそ、私はゴミ山には行かない。いや、今はまだ行かないが正しい。

食糧が買えるほどのお金を手に入れるためにどれだけ時間がかかるのか分からない。ゴミ山から拾った物だと知られたら安く買い取られるだろう。

そもそも、売れるだけの物が残ってるかどうかも怪しい。

あれだけの小屋があったんだ、そこに住む人もそれなりにいるはず。全員がゴミを拾っているわけではないと思うけど、私が拾えるような物は少なそうだ。だったら、森に行くほうが食糧を手に入れやすいと思う。決して習得した攻撃魔法をぶっ放ちたいとは思っていない。…ウソ、少しだけ試したい。

勿論、モンスターがいる世界なんだから危険は大きいがゴミ山を漁るより精神的にマシだ。

いきなり森の中に入るのはさすがに危ないから、今日は草原まで行ってみよう。ヨモギみたいな草くらいあるといいな。

足元に気をつけながら歩く。ちゃんとした道があるわけではないが、森に行く人もいるみたいで細い獣道が出来ていた。

家からは離れたけど、森まではまだ遠い。体力はついてきたが、子供の小さな身体では草原に行くだけでも時間がかかる。しばらくはこの草原で出来ることをしよう。…何か食べるものがあればいいんだけど。