作品タイトル不明
19 スキル作成
そう言ってアイテムボックスからある物を取り出す。よかった、ここでもスキルを使うことができた…。
「…草だな」
「はい、草です。鑑定しても草って出ました」
私が取り出したのは草だ。鑑定しても名前が出てこなかった草なんだが、この草には見覚えがある。
「この草には名前がないんですけど、知りませんか?」
「名前なんてないぞ。日本だと【どくだみ】とかって呼ばれているらしいがな。この世界じゃまだ名前がついてない」
やっぱり! この独特な匂いと見覚えのある白い花、日本でもお世話になったどくだみにそっくりなんだよ。でも、鑑定しても【草】ってしか出ないから困っていたんだ。
「日本の植物がこの世界にも生えてるんですか?」
「そうだ。この世界をつくる時に他の世界を参考にしているからな。地球だけじゃなく他の世界の植物もあるぞ」
「でも名前はついてないんですよね?」
「ああ。鑑定で分かるのは人間が名前をつけて認識されているものだけだ。そのうち先程の草にも名前がつけられ鑑定出来るようになるだろう」
そういうことか。文明が進んでないなら植物の研究なんてやってないだろうし、ましてや、ただの草に名前なんてつけない。
でも、日本にいた時の知識からすると、食べられる植物ってかなり多いはずなんだよな。それが鑑定で分からないのはもったいない。
「鑑定で分かるようにしてもらえませんか? 例えば、日本だと○○と呼ばれている、みたいな感じで。鑑定を使える人全員じゃなくて私だけでいいので……」
「スキルを成長させるのか。しかし、この世界じゃ誰も知らないことを1人にだけ教えるのはな……」
「そこを何とかお願いします! 悪用はしませんから」
「まぁ、今回だけはいいだろう。そんなに手間のかかることじゃないしな」
「ありがとうございます! これで食べられる物が増えます!」
「…いや、うん。喜んでもらえたならよい。……そんなにひもじかったのか?」
「そうですね。日本にいた時と比べるとまさに地獄って感じでした。ずっとお腹が空いていたし、不衛生だったし。…今の母親は何もしてくれませんでしたから」
本当、地獄だったよ。何度も絶望したし、死にたいとも思ったよ。まぁ、そんな勇気はなかったんだけど。
「これで少しは解消されます。ありがとうございました」
「……本当に申し訳ない。このようなことは2度と起こさないように徹底する」
……当たり前じゃ!! 何度もあってたまるか!! っと、危ない、顔に出るところだった。
都合のいいスキルにしてもらったし、神様は許してやろう。ただ、あの時の女の人はまだ許せない。反省するまで放置だけど、しないようなら鉄拳制裁もあり得るな。
「そういえば、スキルの件でもう1つお願いがあります」
私は日本にいた時にお世話になっていた検索システムの説明をした。なんでも教えてくれる凄い先生のことだ。
「こんな感じで、知りたいことがすぐに分かるようなスキルが欲しいんです」
「いやいや、さすがにこれは許可出来ない。人間に与えるスキルの上限を超えておる」
「でも、今までは当たり前のように使っていたんです。日本の物が取り寄せられないなら、せめて情報だけでもスキルで何とかしてください」
「そうはいっても、そんなスキルは存在しない。ないものは与えられん」
「じゃあ作りましょう! 神様なら朝飯前ですよね」
ここは強引に押し通す! 情報さえ手に入るようになれば1人でも生きていける。そのためにはなんでもしてやる。
「申し訳ないが無理だ」
「お願いします。神様しか頼れる人がいないんです。このままじゃすぐに死んじゃいます」
土下座で懇願する。案の定、神様がオロオロしている。子供の身体で全力の土下座をされて拒否するのは難しいだろう。中身は三十路だが…。
「頭を上げなさい。そんなに頼まれてもないものはない」
「作ることすら不可能なんですか?」
「それは可能だが、人間に与えるわけにはいかないんだ」
「困っていることがあったら協力してくれるって言ったじゃないですか。すごく困っているので助けてください」
スキルはないが作れることは分かった。なら、作ってもらおうじゃないか! 下を向いて顔に力を入れ目を見開く。あー、きたきた、もう少し……、よし、出た。
「お願いします。必要なんです…」
涙を流しながら神様のところに駆け寄る。小さな手で神様の服を握り締め、少し赤くなった瞳で神様を見つめる。ちょっと眉を下げるように顔を動かし困り顔をつくって、さらに何度も懇願する。
「お願いします。お願いします…」
「……分かった! 分かったから泣くでない!」
落ちたっっ!! 1度下を向き涙をこぼしてからゆっくり顔を上げ、頬をつたう涙を拭う。軽く鼻をすするのも忘れてはいけない。目をウルウルさせておくのも大事なポイントだ。
「……取り乱してすみません。でも、もうあんなに苦しみたくないんです」
「分かった。いきなりこの世界に来て1人で生活するのは大変だっただろう。原因はこちらにあるのに、なんの説明もなしで3年もすごさせたんだ。せめて情報は見れるようにしておくべきだったのかもしれん」
「じゃあ、スキルを作ってくださるんですか?」
「ああ、少し時間がかかるが希望しているようなスキルを与えよう」