作品タイトル不明
17 再会しました
前にゴミ山で会ったお兄さんから話を聞いていたので、目新しい情報はなかった。言い方が違うだけで大体同じだ。むしろ、だいぶ濁した言い方をするのでわかりにくいくらいだった。
(神父、ちゃんと説明する気ないなぁ。子供だから分からないと思ってるんだろうけど、親も聞いているのにこんなのでいいのか?)
後ろで聞いている親達を見てみると、何度か聞いた話なのか誰もちゃんと聞いていないようだった。情報交換なのか、ただのお喋りなのかは知らないが、近くの人とこそこそ話をしている。なるほど、適当になるのもわかるな。
「次にこの国の神様のお話をしましょう。皆さん、神様のお名前は知っていますか?」
どうやら次の話は神様についてのようだ。
「この世界に神様は1人だけです。どこの国でもその神様を崇めています。お名前はアルゴニウス様とおっしゃって、皆さんにギフトを授けてくださる、とても偉い方なのです」
子供向けに簡単に説明する。
(こんなところに転生させやがって…。神様の話なんか聞きたくない)
聞かされるのが神様の話だと分かったので聞くのをやめた。1度会ったことあるし、ありがたくもないからね。
三角座りをしている足のあいだに顔を埋めて目を閉じる。手で耳を押さえて出来る限り音が聞こえないようにしてから関係のないことを考えて時間をつぶす。
(今日は名前をつけてもらうんだったな。普通な感じで2文字か3文字がいいなぁ)
この国の人の名前を一切知らないので、異世界というイメージで名前を考える。日本人らしい名前はつかないだろうな。贅沢は言わないが、呼ばれて恥ずかしくなるような名前だけはやめてほしい……。
キャサリンとかマーガレットとかだったらどうしよう。あきらかに私の趣味じゃない。
考え事に集中していたため自分の前に誰かがいるのに気づくのが遅くなった。ヤバっ、さすがに寝たふりは怒られるか。でも、神父なら素直に謝っておけば許してくれるだろう。
そっと目を開けて前を向く。すると、どこかで見た光景が広がっていた。
「……お前か」
……そこには土下座をした神様がいた……
「お久しぶりですね。3年ぶりですか」
すぐにでもぶん殴ってやりたいのをぐっとこらえ冷静に話しかける。神様が悪いわけではない、ミスをした神様の部下が悪いんだ。ここで怒鳴っても意味はない。そう思い気持ちを落ち着かせる。
「…申し訳ない。もっと早く会ってあやまりたかったのだが、そういうわけにもいかず…」
「死ななきゃ会えませんからね。死んだほうがよかったですか?」
「いやいや、生きていてくれて嬉しいよ。本当によかった」
神様からは申し訳なさと生きていたことへの安堵感がものすごく伝わってくる。ぶん殴ってやろうと思っていた私が罪悪感を感じてしまうほどに。
実際、ミスをしたのは部下で神様はその尻拭いをしているだけなんだよな。ちょっと気の毒になってきたよ…。
「もういいですよ。ちゃんと償ってもらえれば。ミスをした部下はどうなりましたか?」
「えっ、いやぁ…、償うって?」
「まさか、あり得ないミスをしたのにお咎めなしですか?」
ん~? 雲行きが怪しくなってきたぞ。普通、1番偉い人が直接あやまるような大きなミスをしたら、クビとか降格とか何かしらあると思うんだけど。っていうか、私の人生2度も狂わせておいて、何もなしなんてあり得ない!
「ちゃんと対処してくれるんですよね? 間違えて魂を回収して落とした人と、話を聞かずに穴に突き落とした人、どんな処罰を受けさせる予定ですか? 何もなしってのはあり得ませんからね!」
「いや~、それはこれから決めようと思う…」
「これから!? 3年も時間があったのに何をしていたんですか!」
「ちゃんと見守っていたぞ。色々サポートしてやっていただろう」
サポート? 神様に何かしてもらった記憶なんてないんだけど。
「そんなことはどうでもいいです。ミスをした部下を処罰してください」
「ミスに関してはあやまったではないか。お詫びにスキルを選ばせてやったろ」
「あやまれば許してもらえるとでも思っているんですか? それに、スキルをもらったのは最初のミスのお詫びにです。あんな所に転生させた分はまだもらってません!」
「サポートを……」
「頼んでません!」
「………」
ごめんで済むなら神様はいらないんだよ! さっきはちょっと可哀想と思ったけど、神様がこんなにあまいんじゃ部下も調子に乗るわ。
「というか、本人達は反省しているんですか? 謝罪もないですけど」
「……ちゃんと言い聞かせた。あと、本人達じゃなくて本人な。1人だから」
「はぁ!? もっとあり得ないんですけど!」
あの時突き落とした女の人か。ってことは、ミスした後も仕事をしていたってことだよね。最初のミスをした後にちゃんと対処していたらこんな所に転生しないですんだのに……。
「ちゃんと責任とってくださいね」
「責任といわれても出来る限りのことはした。スキルを与えたしステータスも良くした」
「それは最初の分」
「スキルポイントもたくさんあげたし、ステータス画面も使いやすくなったはずだ」
「それも最初の分。私が希望したことじゃないですからね」
「では、これ以上どうしろというのだ。」
「まずは部下の処罰をお願いします。そうだ、内容はこれから考えるって言ってましたよね。なら、私が決めてもいいですよね、被害者なんですから」
「…よほど理不尽な内容でなければ許可しよう」
よし、言質とった! あの話を聞かない女の人にはちゃんと罰を受けてもらおう。私が苦しんだ分、お返しさせていただきますよ。
黒い笑みを浮かべながら、与える罰を考えるのだった。