軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

最終話 それはひとつの未来

(……サムい……)

夢うつつの意識の中、マグノリアは手探りで掛け布団を探した。

(う~ん……ドコだ?)

……ない。布団がない。

ごろごろと広い寝台の上を転がると、ちょうど良さげな熱源を発見する。

「……あったかい……」

むにゃむにゃ。

ちょっと硬いそれは、いい匂いがして安心する。

ごろごろと猫のようにすり寄りながら微笑むと、再び深い眠りに落ちていった。

「…………」

眠っていたらいきなり冷たい妻に抱きつかれたクロードの方は、すっかり目が覚めてしまった。

窓を見遣れば未だ外は暗い。

何やらガサゴソと動いている時から意識が浮上してはいたのだが……

寝ている時ですらも元気の良いマグノリアは、また、掛け布団を蹴飛ばしてしまったのだろう。

いつもの事である。

何故と言ったところで無意識だと返されるだけである。

翌朝大概は床の上に、それは無惨にも放り出されているのだ。

(……だいぶ冷えてしまってる……風邪をひいてしまうじゃないか)

彼はやれやれとばかりに小さくため息をつくと、肩口までしっかりと己の布団を掛けては、布団から飛び出してすっかり冷えてしまったマグノリアを温めるように抱き込んだ。

自分の胸元に懐いては、気持ち良さそうにスヨスヨと寝息をたてているマグノリアの顔を覗き込む。

すると、何やら幸せそうな顔でムグムグと口を動かしていた。

……だいぶ食いしん坊な奥様は、夢の中でも何かを食べているらしい。

「……ふっ」

呆れるような愛おしいような気分でマグノリアの寝顔を見ては、自然と笑みが零れる。

起こされた腹いせに、その愛らしい唇を貪ってやろうかとも思ったが……この世で唯一、その権利を有する彼であるが。

せっかく気持ち良さそうに眠っているのを起こしてしまうのも忍びなく、再び抱き込んではピンク色のつむじに優しく口付けた。

……なんだかんだで彼は、昔から彼女に甘いのである。

未だ夜明け前。

もうひと眠りしようと柔らかいマグノリアの髪を撫でながら、クロードはゆっくりと瞳を閉じ、微睡みに落ちていった。

『アラサー女子が部屋で寝ていたら、目覚めていきなり異世界転生していた件』 完