軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

471 決 戦 3

艦載コンピューター(カンコ) による精密射撃で、地表に深くて幅の広い堀(底の方は溶岩)による複雑なパターンの線画が描かれた。

……獲物を狭い通路部分へと誘導し、そのまま地獄へと御案内する、悪魔の線画が……。

「お~、兵隊さん達、 搭載艇(わたしたち) が味方で、何をやってるかを理解しているみたいだよ。

上手く、各個撃破し易い陣形に組み替えてる。

連絡が行き届いているのか、それとも頭のいい人が指揮を 執(と) っているのか……」

うん、以前、 搭載艇(このフネ) を『御使い様の乗り物』として目撃した隣国の兵士達がいたなあ。

あの連中が交じっているのか、それとも私達の行動が明らかに自分達に味方するものだと気付いたのか……、とにかく自分達がやるべきことをちゃんと分かっている者がいるみたいだ。

どこの世界にも、 仕事ができる者(シゴデキ) がいるんだなぁ……。

「溶岩迷路は、大体できたか……。

念の為、状況が変わっていないか確認の一発を入れてみてくれない?」

「分かった。……ファイエル!」

恭ちゃんが手動で適当にビーム兵器を発射してくれたけれど、やはり無効化された。

「やっぱり駄目か……。まあ、期待しちゃいなかったけどね。

じゃあ、予定通り、作戦B-1開始!」

「「了解!!」」

次は、コロコロ作戦だ。

「降下開始!」

そう。ビーム兵器が無効化されるなら、無効化できないもので攻撃してやる。

「食らえ、圧殺!!」

ずぅん……。

着陸用のテレスコープ脚を出すことなく、そのまま地上に降りた。

重力中和等は行わず、その質量をそのまま地面に掛けて……。

勿論、めり込む。

そして……。

「コロコロ開始!」

球形の船体を、そのままコロコロと転がした。魔物達を押し潰しながら……。

船内は人工重力で常に1Gに保たれており、それは船体が惑星の重力方向に対してどのような角度であろうが関係ない。

だから、転がろうがどうしようが、乗っている者達には常に床の方へ1Gの重力が掛かっており、転がっているという感覚は全くないのだ。

そして、転がることによる船内の加速度は完全に中和されている。

なので、いくら転がっても、船内には何の影響もない。

そして、仮にも星間国家が造った宇宙船なのである。これくらいで外部装甲が傷付くことはない。

「よし、潰せる! さすがに、この巨体の重さを 無効化(なかったコト) にはできなかったか……」

多分、そうだろうとは思ったよ。

レイコと恭ちゃんが、にやりと笑っている。……勿論、私もね。

搭載艇とはいえ船体が大きいから、溶岩堀に嵌まり込むことはない。

まあ、たとえ嵌まったとしても、空中に浮かべる搭載艇なら簡単に抜け出せる。

なので何の心配もなく、堀も気にせずコロコロできるのだ。

コロコロコロコロ、コロコロコロコロ……。

「あ」

そしてレイコが、 嫌な感じの(・・・・・) 、『あ』を口にした……。

これ、アカンやつや!

「圧殺効果が、落ちてる……」

魔物がバラけたとか、そういうのじゃなくて、圧殺数がいきなり、ガクンと落ちた……。

「恭ちゃん!」

「今、母艦に緊急解析の指示を出した!

……簡易解析の結果は、……コロコロが通過しても上手く生き延びる個体が増加。明らかに不自然な、急な変化だよ!」

「え? それって……」

「今、即座に対応された?」

「「「後出しジャンケンだあああぁ〜〜っっ!!」」」

「……どうなってる? 個別に保護されてる? それとも、全体的に纏めて?」

「分かんない! ……でも、轢いた場所にいた魔物が、死んでないよ……」

レイコと恭ちゃんが、困惑してる。

さすがに、これはマズいか……。

「作戦B系統は、全部中止しよう! C系統とD系統も、多分全部対処される。

A系統も、いつ対処されるか……、いや、もう対処されていて、これ以上堀は作れないかも……。

こうなったら……」

「作戦E、しかないよね……」

そう。作戦E。

それは……。

セレス達から見れば、現地レベルの原始的な武器。

それで戦う原住民による、魔物の討伐。

……そう。セレス達の基準で、『現地の者達以外が介入している』とは判断されないレベルでの戦いにおいて、魔物の 大暴走(スタンピード) を食い止める。

私達も、この肉体はこの世界で生きるために創られたものだから、立派な 原住民(・・・) だ。

そして前回のテストで魔物に通用した、地球レベルの小火器。

ビーム武器じゃないあれらは、セレス達から見れば原始的なものであり、槍や投石機と大差ないのだろう。……だから、規制の対象外、というわけだ。

……こんなこともあろうかと、地球レベルの小火器をたくさん用意してあるのだ。

私が『ポーションの容器』として出したのやら、恭ちゃんの母艦で製造したのやら、色々と……。

それらが、私達3人のアイテムボックスの中にたっぷりと納められている。

勿論、それらをいきなり 地元の人々(じもピー) に渡しても、どうにもならない。

使い方を教える時間はないし、慣れない武器を使うのは事故の元だ。

そもそも、皆、そんな怪しげなものを使おうとはしないだろう。

戦いの場で命を預けられるのは、共に鍛錬した愛剣のみ、ってやつだ。

……だから、小火器を使うのは、私達だ。

そして、その結果に責任を負うのも、全て……。

地球の小火器で戦うなら、搭載艇や小型艇に乗ったまま安全な空から、というわけにはいかない。

危険な地上に降りて、兵士達と共に戦うしか……。

「……いい?」

念の為、レイコと恭ちゃんに確認すると……。

「何を今更……」

「私達は何だっけ?」

恭ちゃんの言葉に、3人揃って天に向けて右腕を大きく突き上げた。

「「「……我らKKR。3人揃えば、いつだって無敵!!」」」

ファルセットが、キラキラとした眼で、私達を見ている。

……そして、レイアの口角が僅かに上がったような気がする。

うん、レイアが楽しんでくれているなら、何よりだ。

「搭載艇、上昇! 攻撃用のフローターに乗り換えて、出撃するよ!」

「「おおっ!!」」

いくら『地上に降りる』と言っても、本当に地面に立って戦うわけじゃない。

それだと戦況全体が見渡せないし、目前の敵にしか対処できないからね。

ある程度戦場が 俯瞰(ふかん) でき、近距離から小火器による射撃ができる、低高度で滞空、そして空中静止が可能、かつ銃口を窓から突き出せる飛翔体。

こういうこともあろうかと、勿論、そういうものも用意してあるのだ。

そして……。

「私は、別行動させていただきます」

うん、事前にファルセットからそういう頼みを受けており、了承済みだ。

……そりゃあ、銃を撃ちまくる私達の後ろでポツンと待機、なんて、ファルセットに我慢できるわけがないだろう。

だから、危険は承知で、地上での戦闘に加わる許可を出している。作戦会議の時に……。

勿論、ひとりで魔物の群れに突入するとかの馬鹿な真似は厳禁で、地上で戦う兵士達と一緒に、と厳命してある。

私が側にいなければ、自分の命を粗末にすることはないだろう。

死んじゃえば、私に仕えることができなくなっちゃうからね。

……あ、そうだ!

空中から、ヒョイと1本の剣を掴み出した。

そして、ファルセットに向けて、ずいっ、と差し出した。

「ファルセット、そなたに新たなる神剣を授けます。

折れず曲がらず錆び付かず、切れ味が衰えることのない、……そしてフランセットが持つ神剣『エクスグラム』と同じく、鉄をも切り裂く超高速振動機能付きの剣、『エクスレーヴァテイン』です。

……これでそなたは、真祖フランセットと並ぶ、真の 女神の守護騎士(エインヘリヤル) となったのです。

そなたの忠誠と活躍に期待します」

……あ、ファルセットの奴、泣いてやがる……。

いや、たくさんの魔物を相手にするなら、超高速振動機能が必要だと思ったんだよ。

魔物1体を斬るのに必要な体力を、少しでも節約できるんじゃないかと思って……。

ま、とにかくさっさとフローターに乗り換えて、魔物退治を再開だ!!