軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

451 異 変 4

そういうわけで、4座の小型艇で 人気(ひとけ) のない山中へ。

勿論、ファルセットも乗っており、満席。

さすがに、ここでファルセットを置いて行くような鬼畜じゃないよ。

無音フィールド、不可視シールドを張り、誰にも気付かれないように移動し、良さそうな岩山に着陸。

そして小型艇から降り、みんなが見守る中、水晶を高く掲げて……。

「招喚、女神セレスティーヌ!!」

ぴかああぁ〜〜っ!

前回と同じく、水晶が 眩(まばゆ) く光り輝き、そして……。

すうっ、と光が消えた。

何もなく。ただ、そのまま光が消えただけで、おしまい。

「……あれ?」

セレスが、出てこない。

「「「…………」」」

ううっ、みんなの冷たい目が……。

特に、激しく落胆した様子のファルセットの視線が、痛い……。

「あ~、セレスのヤツ、地球の管理者のところへでも行ってるのかな……」

いや、本当に、その確率が一番高いのだ。

それ以外では、セレスがここを離れる理由なんかないはずだ。

だって、他の場所のことはそこを担当している分身体の仕事だし、大きな案件はもっと上位の分身体の担当だろうから。

セレスの担当は、この次元世界の、このあたりの時空域だけのはずなんだよね……。

「ま、セレスにも、都合もあれば休日もあるよね。

別にそう急ぐわけじゃないから、また数日後に呼びだそう!」

そう、呼び出し用の水晶は、ポーション容器としていくらでも作れるのだ。慌てることはない。

それに、私が呼ぼうとしたことは留守電みたいなものに記録されていて、戻ってきてそれを見たら、向こうから来てくれるかもしれない。

……いや、セレスのことだから、あまり期待はできないけれど……。

ま、とにかく、また後日、ということで……。

* *

「「「「…………」」」」

イカン。

あれから更に3回セレスの呼び出しを試みて、全てハズレ。

最後には、私ひとりで行くと言ったのだけど、みんなセレスに会いたいらしく、全員が山中へと付いてきた。

……そして、全部ハズレ。

日をあけて行ったから、10日以上セレスが不在だということになる。

……これは、ちょっとおかしい。

セレスの仕事、存在意義は、このあたりの時空域での『歪み』対処であり、それによって次元世界の崩壊を防ぐことのはずだ。

なのに、いつ発生するか分からない『歪み』の監視の場からこんなに長時間離れるだろうか?

いや、確かに超長命のセレスにとって、10日間など一瞬、刹那の間だ。

でも、それはセレスの主観的な体感時間の話であり、仕事における時間感覚とは違うはずだ。

10日間は、セレスにとっても、『歪み』を放置するには長すぎる時間のはず……。

「……どうしよう……」

大決心をしての、セレス呼び出し。私の最終手段だったのに、それが不発に終わってしまった。

……手詰まりだ。

こうなったら、恭ちゃんにロボット兵がたくさん搭載されている巨大宇宙艦を出してもらって、そのロボット兵を地上に降ろして調査……、は無理か。

新種の魔物だと思われて、人間との戦いが始まっちゃうよ……。

う~ん、どうすれば……、って、そうだ!!

私には、もうひとつ、切り札があるじゃん!

……いや、切り札と言っても、『トランプ』じゃなくて、『ジョーカー』の方だけどね。

私達には干渉しないから、こちらからも干渉せず、普段は いないもの(・・・・・) としてあまり気に留めない、 アレ(・・) 。

……しかし、週に1回、 金貨(遊ぶ金) を受け取るためにキッチリと顔を出す、 アレ(・・) 。

……そう、『ブラック・セレス』こと、レイアが!!

* *

「……いない」

数日後、金貨を受け取りに来たレイアにセレスの様子を聞いたところ、そのひと言で済まされた。

……いや、毎週毎週、たくさんの金貨を毟られてるんだ。もっと役に立てよっ!!

まあ、放置すると宿屋代や飲食費や遊ぶお金がなくなったコイツが何をするか分からないから、仕方ないんだけどさ……。

この世界の平和のためなら、毎週金貨数枚くらい……、大損害だよっっ!!

今こそ、今までの出費の元を取らねば……。

「いないって、セレスが? 今どこにいるか、分かる?」

「私の感知範囲内にはいない……」

うむむむむ……。それくらいは、さっきの言葉で分かってた。新情報が皆無だぞ。

じゃあ、質問を変えよう。

「歪みを監視している管理者って、10日以上も現場を不在にすることってあるの? 神様達の会議とか、慰安旅行とかで……」

「あり得ない。もしどこかへ行くとしても、普通は日帰り。いくら長くても、2~3日。

私達は移動に時間がかからないから、どこへ行くにも大した時間は必要としない。

それくらいであれば、出発前に慎重に精査しておけば、その時点で見つからないくらいの小さな歪みがあったとしても、帰るまでにそう大きくなることはないから……。

精査はかなり面倒で時間がかかるから、みんな、あまりやりたがらない」

「なる程……。

じゃあ、セレスが長期間不在だという今の状況について、何か推測は立てられるかな?

魔物の異状についてとかも、何か分からない?」

「情報不足につき、能力が大きく制限されているこの分身体では、十分に確度が高い予想は立てられない。しかし……」

「しかし、何?」

「セレスがいない今であれば、少し能力を発揮してスキャンしても私の存在がバレることはないと思われる……」

よっしゃあ!

さすがレイア! さすレイ!!

今まで貢がされた多額の金貨の元を取る時が来た!

「お願い!」

「分かった……」

よしよし……。

普通なら、レイアにとってはミジンコどころかゾウリムシ以下である 下等生物(わたしたち) の頼みなんか聞いてくれるはずもないだろうけど、さすがに毎週渡している 金貨(生活費) の効力は大きかったか……。

よしよしよしよし……。

さて、スキャンとやらの結果は……。