軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

446 他大陸への旅行 5

到着初日は、ギルドやら食事やら町の見物やらで終わり、迎えた2日目。

「あ~、ベッドが固くて、身体の節々が……」

「久し振りに、歳取ってからの寝起きのコンディションを思い出したよ……」

レイコと恭ちゃんがそんな泣き言を言っているけれど、……まあ、その通りだから仕方ないか。

私は、 アイテムボックス前(第一シーズン) ではこういうベッドどころか、もっと酷い寝床で寝ることも多かったけれど、このふたりは、ここへ来た時から割といい寝床ばかり使ってるからなぁ。私が作った特製馬車のリクライニングシートとか、母艦や搭載艇のベッドとか……。

拠点にしているところのベッドは、恭ちゃんの母艦製とか、小さなポーション容器がくっついた高性能マットレスが敷いてあるとかで、寝心地抜群だし……。

まだ、レイコは旅の途中で宿屋に泊まる機会があったけれど、恭ちゃんはそういう機会も少なかったしなぁ……。

あ、いや、以前ここに泊まっていたなら、このベッドで寝ていたのか、恭ちゃん。

それに耐えてでも、人との交流がしたかったのかな。

……ま、不自由な生活や劣悪な環境も、楽しむもんだよ。キャンプみたいにさ……。

* *

あれから、周辺諸国を廻った。

夜は、町の宿屋に泊まったり、搭載艇で電子シャワーを浴びてふかふかベッドでゆっくり休んだり、警戒装置を張り巡らせて地上でテントを張ってキャンプ気分を満喫したり……。

キャンプの時も、以前レイコが考案した『汚れや老廃物をアイテムボックスの中へ収納する』というチート技によってお風呂なしでも快適なんだけど、……清浄魔法や洗浄魔法が使え、そしてアイテムボックス持ちとしては初心者であるレイコが考え付いたその方法を、長年アイテムボックスを使っていた私が思い付いていなかったのは、悔しい。ぐぎぎ……。

そして見事な景観や奇観を楽しみ、美味しいものを食べ歩き、地元の人に色々な話を聞き、酒場で奢ってベテランハンターから面白い体験談を聞き……。

勿論、王都にも行った。

田舎からの観光客の振りをして、目立たないよう、おとなしくしていたけどね。

巫女様やら聖女様やらの肩書き抜きでの、ただの平民の小娘3人組としての自由な行動は、楽しかった。久し振りの、私達KKRの3人だけでの旅だしね。

勿論、ついでに珍しい獲物やら採取物やらは手に入れておいた。

お店で見つけた、向こうの大陸で高く売れそうなものも、色々と買い込んだしね。

それで、あっという間に日が過ぎて、最後にもう一度、最初に立ち寄った恭ちゃん馴染みのあの町、メルレクトに立ち寄ることにした。

旅の間に手に入れたものは殆どアイテムボックスに入れて、不自然に思われない程度の荷物と恭ちゃんの知り合い達へのお土産をリュックに入れて……。

* *

「副ギルド長さん、います~?」

「あ、はい! しばらくお待ちください!」

商業ギルドに入るなり窓口の方に向かって放たれた恭ちゃんの言葉に、迅速に対応してくれた受付嬢。

う~ん、完全に顔パス状態だな、恭ちゃん……。

そして、すぐに副ギルド長さんが飛んで来た。

「これはこれは、キョウコ様方! ご売却でしょうか?」

……満面の笑み。

前回の売却品、良い値で売れたのだろうな、多分……。

「うん、お土産代わりに、ちょっと売って行こうかと思って。

また、しばらく遠くへ行くからね」

「えええ……」

あからさまに、しょぼ~ん、とした表情になり、肩を落とした副ギルド長さん。

こんな上客が、またしばらく来なくなるとなれば、そりゃまあ、そうなるか……。

でも、珍しいものを入手するためなら遠出は必須、とでも考えて、納得するしかないよね。

……というか、あまり遠出せずに毎回珍しい物を売りに来るのは、怪しすぎるだろう。

恭ちゃんの場合、既に手遅れかもしれないけどね。

今まで、恭ちゃんがそのあたりに配慮していたとは思えない。

……だって、恭ちゃんだもの……。

「……ま、まあ、キョウコ様の行動に口出しするわけには参りませんので、残念ですが、それは仕方のないことです……。

でも、またいつか戻ってきてくださいね。お願いしますよ! ……本当に!!」

「あ、うん、またこっちへ来ることがあればね!」

恭ちゃんは、空約束はしない。

だから、ちゃんと『こっちへ来ることがあれば』と、こっちへ来ることがなければ来ない、という含みを持たせている。

……ま、来るんだろうけどね、また……。

「……で、ちょっと商談室の方へ……」

「あ、うん」

ありゃ、何だか、素材売却だけじゃない、別の含みを持たせた言い方みたいだぞ。

何かあった?

* *

「……もしかして、また アレ(・・) かな?」

「はい……」

副ギルド長と恭ちゃんだけで通じ合ってる。それじゃあ、私とレイコには分かんないよ。

「どういうコト?」

あ、私よりせっかちなレイコが、説明を要求した。

ま、聞くよね、普通……。

「あ、ゴメン。

いや、こういう時って、大抵はここの領主か役人が口出ししてくるんだよ。

今回は、多分先日売ったやつのコトかな?」

「はい……」

あ、お馴染みのパターンなんだ……。

「先日皆様にお売りいただきました品々は、商人経由で王都の貴族様や王族の方々、そして近隣の領主様方に販売いたしました。

……そして、その情報を領主様が入手されたようで……」

「ここの領主、領地の運営はカスなのに、そういう情報には敏感なんだよね!」

そう言って、あはは、と笑う恭ちゃん。

「それで、それらの出元が自領の商人だとお知りになった領主様は、当然のことながら……」

「うん、どうしてそれらが自分に献上されなかったのか、って激怒するわけだよね、いつもの通り……」

「はい。そして、いつもの通りに……」

「「それらを持ち込んだハンターを捜して連れて来い、と……」」

綺麗にハモった、恭ちゃんと副ギルド長さん。

息がピッタリだね、キミタチ……。

「……で、領主様の手の者が、 商業ギルド(うち) に来て、そのハンターの名前を教えろ、と言われまして、勿論私共は『そんなハンターは知りません』とお答えしました。

何せ、キョウコ様は……」

「「ハンター登録していないから、ハンターじゃない!!」」

ホント、仲が良さそうだよね、キミタチ……。

「まあ、もしキョウコ様がハンターであったとしても、 商業ギルド(うち) が顧客情報を漏らすようなことは絶対にございませんが。……たとえ、それが王族からの強要であろうとも!!」

あ~、いい顔して断言するなぁ……。

さすが、恭ちゃんのお気に入りの担当さんだ。

……でも、家族を人質に取られたり、拷問されたりすれば、……って、そんなの恭ちゃんが許すわけがないよね……。