軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

231 事業展開 5

「……という状況なんだけど……」

「うむ、把握!」

大体の状況と、私とレイコの考えを恭ちゃんに説明した。

そして、恭ちゃんの反応は……。

「私もその筋でいいと思うよ。いざとなったら逃げられるし、私達は別の大陸へ行っても言葉は不自由しないし、その気になればお金を稼ぐのも簡単だからねぇ。

勿論、あまり目立つとおかしなのに纏い付かれるし、下手すればお金や珍しい品物目当てで囚われの身や拷問コースだから、秘密厳守が一番だけどね。

そして、だからといって山奥に閉じ籠もってずっと3人だけで生活、ってのも私達には合わないもんねぇ。そういうのは、もっと生活に疲れてからで充分でしょ?」

恭ちゃんの言葉に、こくこくと頷く私とレイコ。

……というか、ふたりは結構長生きしたのに、まだ生活には疲れていなかったのかい!

まぁ、身体が若返って魂と意識体がリニューアルというかリフレッシュというか、とにかく元気になったから、疲れも吹き飛んだのかな。

「適度に大変で、適度に面倒で、適度に楽しくて、適度にのんびりできる。

……当分は、ここでこの調子で暮らせばいいんじゃないの?」

「「やっぱり、そう思うか……」」

うん、私達3人は、性格は違うけれど、こういうところは気が合うんだよねぇ。

ま、そうでないと、こんなに長く付き合っていないか。

「第一優先事項は、私達3人の安全。第二優先事項は、子供達や、悪人以外の『その他の人達』の安全。第三優先事項は、私達の能力や 場違いな工芸品(オーパーツ) の流出防止。これでいい?」

私の念押しに、こくこくと頷くレイコと恭ちゃん。

「あと、高速で移動できる方法が……、って、それはいいか。

そんなの使ったら目立ちまくるし、いくら夜に使っても、そのうちどこかで誰かに目撃されるよねぇ。乗り降りする時に……。それに、それじゃあ旅の楽しみが台無しだし。

別に私達は『そんなに急がない』からねぇ。

あ、そういえば、恭ちゃんの搭載艇。あれ、静止衛星軌道に乗せてるんでしょ? それって垂直方向にかなりの距離があるから、低高度でこの惑星を周回させた方が、緊急時に早く呼び寄せられるんじゃないの?」

ふと思い付いて、私がそう提案したところ……。

「急いで呼びたい時に丁度この惑星の裏側にいたら、却って時間が掛かるんじゃない? それでも距離はかなり近くなるけど、空気抵抗とか、飛行ルートが曲線状になるとか……。

それに、静止衛星軌道から降下中なら、この国全体を常に射界内に捉えているわけだから、いざという場合には遠距離からのビーム攻撃ができるよ」

あ、恭ちゃんも、一応は考えてるんだ……。

「……って、そんな距離からビーム攻撃なんかされたら、敵だけじゃなくて私達も一緒に、周囲の全てと共に蒸発するわっ!」

艦砲での超長距離砲撃で、盗賊だけを狙撃するような真似ができるとはとても思えない。

「低高度の周回軌道で、常に6隻くらいを飛ばしていれば? それなら、いつでも1~2隻は近くにいることになるでしょ? このあたりを艦砲の射界内にも捉えられるでしょうし……」

「「なるほど!!」」

さすが、レイコ。こういうことに関しては、私達の中で一番頭が回る。

……って、待てよ?

「アイテムボックスの中に入れておく、ってのはどう?」

「「……」」

あれ?

どうして急にふたりとも黙り込むんだ?

「……あの、アイテムボックスの中に……」

「「…………」」

「あの……」

「「とんでもないこと、考え付くなああぁ~~!!」」

いや、何でよ……。

「出し入れする時の絵面が、許容範囲外!」

「地表近くですぐ側に出すと、大量の空気が瞬間的に押し退けられて、周りの物が吹き飛ぶ!」

「地表近くで収納すると、巨大な真空域が形成されて、周りの空気が 雪崩(なだ) れ込んで、以下略!」

「あまり低高度に出すと、収納した時の気圧や重力勾配との差で、ガクンと高度が落ちて墜落しちゃうかもしれないでしょ!」

ふたりから、散々に叩かれた。

いや、ただ思い付いたことを言っただけじゃん!

* *

……結局、搭載艇は現状維持、静止衛星軌道上に置いておくことになった。

私達が奇襲攻撃を受けた場合にはどうせ間に合わないし、時間があるなら高高度から降下させても問題ないから。

それに、常時6隻をブンブン飛ばしているのは、何というか、経済効率が悪そうな気がするのだ。

そう、『勿体ない』ってやつ。私達はみんな、庶民だからねぇ……。

「本当の奇襲……すれ違いざまに毒を塗ったナイフで心臓をグサリ、とかいうやつ……だと、どうせ駄目だよねぇ。遠くから弓矢でヘッドショット、とかも。

でもまぁ、私達は『生かして捕らえて、ナンボ』だから、その可能性は低いよね。

で、たとえ捕まっても、私とレイコはポーションや魔法でどうにでもなるんだけど、恭ちゃんは船がないと戦闘力が生まれたてのパンダくらいしかないから、ちょっとヤバいんだよねぇ。

私とレイコが事態に気付いて捜し、発見して救出するまでに、もし何かされたら……」

うん、それが心配なんだ。

恭ちゃんの戦闘力は、おそらくミーネより低いと思う。

もし恭ちゃんが狙われたら……。

「あ、一応、護身用の武器は身に着けてるよ」

「「え?」」

一見、恭ちゃんは武器らしきものを身に着けているようには見えない。

アイテムボックスに入れていては、咄嗟に、僅かコンマ数秒で反射的に攻撃を受け止めたり反撃したりするには間に合わない。

この世界で手に入れた、隠しナイフか暗器の類いを衣服に仕込んでいるのか?

でも、運動神経が千切れていると評判だった恭ちゃんに、そんなものが使いこなせるはずがない。私だって、そんなの使えないよ。

と思っていたら、恭ちゃんが腰に着けていた、何やら手の平にすっぽりと収まるくらいの四角いものを取り外して差し出してきた。

「……これ」

それは、とても武器には見えなかった。

……そう、『普通の者には』、ね。

「「タイプ1かっっ!!」」

まぁ、この世界だと、拳銃型のタイプ2とかライフル銃型のタイプ3でも、武器には見えないだろうけど。

「5年間の調査飛行に飛び立つ軍艦なら、白兵戦用の武器や護身用の武器くらい積んでるに決まってるでしょ」

「「そりゃそうだ……」」

納得。

で、ここで恭ちゃんに言っておかねばならないことがある。

「麻痺にセットしろ!」

「してるわよっ!」

うむうむ。

「じゃあ、もっと便利なものも……」

「あるわよ。食品とか、便利な道具とか……」

レイコの質問に、さらりととんでもないことを答える恭ちゃん。

……イカン。

「食品は、試そう。絶対、食べてみたいから。便利な道具の数々は、……とりあえず、船からここへ持ってくるのは、当分の間、自粛しようか……」

私の提案に、こくこくと頷く、恭ちゃんとレイコ。

うん、何事も、『程々』がいい。

やり過ぎは、良くないよね。

……そして、どうやら恭ちゃんが母艦クラスを少なくとも2隻は召喚したらしいということが判明した……。