作品タイトル不明
魔法のカバン
ある日、 理哉(りなり) が 理(さとる) から、小さなポーチを受け取っていた。
「りなねえ、それなに?」
「これ?魔法のカバンだよ」
「まほうの、かばん?」
「そうよ、この中にたくさんものを入れられるのよ」
マジックバッグ!?
あれ?ものすごくレアって言ってなかった?
『出回ってないのよね?』
『はい、そのはずです』
それをなんで、理哉に?
「しゅごーい」
「すごいでしょー、お父さんが作ったんだよ」
えっ?理の製作した魔導具ってこと?
「パパ?」
「まだ未完成なんだけど」
理は、まだ納得いってない表情だけど。
「大丈夫だって、たくさんものが入るのも確認してるんでしょ?」
そうだけど、と理は渋る。
理哉が、ポーチを抱きしめながら、
「これ実戦で試してくるって!」
と、迎えに来ていた 理律(りりつ) と 遥翔(はると) と一緒に飛び出して行った。
「りなねえ、どこいった?」
「うちのダンジョンで、魔法のカバンの使い勝手を試してくるって」
理律は、 優理(ゆうり) の息子なので、従兄弟。
遥翔は、 理一(りいち) の妹の孫は、なんになるのかな?とりあえず親戚ではある。
3人は、探索者パーティを組んで活動しているそうだ。
「そなの?」
ダンジョンいいな、行きたいな。
毎回まだダメって言われるけど。
残念。
理は、そうなんだよ、とため息をついている。
マジックバッグの何がそんなに納得いかないのかな?
マジックバッグ作れるだけですごいんでしょ?
「パパ、りおもみたい」
「ん?何を」
「まほうのかばん、もうない?」
「魔法のカバン、見たいの?」
私は、思いっきり頷いた。
「工房にまだあるから、見に行くかい?」
「いく」
工房で、見せてくれたマジックバッグはポーチタイプではなく、ショルダータイプのものだった。
バッグ自体は既製品で、試作中なのだそうだ。
完成したら、 理芳(りおう) の息子の 理編(りあむ) にバッグを依頼するつもりらしい。
革細工師なんだって、魔物素材で作ったバッグのほうが、マジックバッグの性能が上がるはずだからって。
なるほどね。
既製品は、布バッグだしね、このショルダーバッグも…あっさり破けそうで怖いな。
お試しだから、布なのかもだけど。
破れたら中身出ちゃうのよね?
大惨事だわ。
理哉大丈夫かな?ダンジョン行ったけど。
「ほら、見てごらん」
と、渡してくれたので、バッグを開けてみる。
中は、マジックバッグ特有の空間が広がっている。手を入れてみる?おー懐かしい。
何も入っていないようだから、内容のリストは頭に浮かばない。
「なにかいれる」
理は、作業台にあった、金属のカケラを渡してくれた。
マジックバッグにカケラを入れて、手をいれると、頭にリストが浮かんだ。
問題なさそうに見えるけど。
「どやってだしゅ?」
「出したいモノを思い浮かべて、出てこいって思ってごらん」
ちゃんと、カケラは取り出すことができた。
「まだだめ?」
「空間拡張は大丈夫なんだけど、時間停止がまだできないんだよなぁ」
そっちかー、時間停止か。
「じかん?」
「そう、時間停止できると、食べ物も出来たてを維持できるようになるはず!ずっと入れてても腐らなくなる!って、まだリオには難しいよな」
「あつあつうまうま?」
理は笑って、
「そう、あつあつうまうま、だよ」
『アレド、理ってギフトで鑑定持ってるわよね?鑑定で魔法陣の確認とかできないんだっけ?』
『魔法陣を見るには、鑑定解析のほうですね』
『私でもダメか』
『リオール様、理様を鑑定していただけませんか?』
いいけど、前にも鑑定したこたあるじゃない?
理(さとる) 鑑定
職業 魔導錬金術師
ギフト 鑑定(鑑定解析)
あれ?ギフトの鑑定に鑑定解析が封印?されてる?
『なんで、封印?理も転生者とかじゃないわよね?』
『転生者とかではないと思いますが、何かずっと違和感があったのですが、封印でしたか』
『今まで、見えなかったのになんで突然見えるようになったのかしら?』
『魔力量が増えてきたからでしょうね、あと鑑定のレベルが上がってから鑑定してなかったのかもしれませんね』
あーそうかも。
この間とうとう魔力1000を超えた。
地道に魔力循環と枯渇続けてるわよ。
『でも私より理の方が、魔力量多いわよね?封印に気づいてないのかしら?』
『魔力量は確かにリオール様よりは多いですけど、神凪の枯渇からの回復を繰り返し実践しているにしては、少ないと思うのです』
私の鑑定ではまだ魔力量の数値までは見ることは出来ないけれど、アレドが言うならそうなのだろう。
『何か原因があるってことよね?』
『考えられるのは、魔力回路異常ではないかと』
『魔力回路異常?』
『はい、正常に魔力循環が行えていないのかもしれません』
『それって大丈夫なのかしら?』
『生活する分には問題ないかと思いますが、魔導具製作をするには、デメリットになり得ます』
『でも私じゃ何も出来ないわよ』
『大丈夫です。リオール様にはご家族がいらっしゃるじゃありませんか。魔力視をお持ちの 連理(れんり) 様、スキャンをお持ちの治癒魔術師の 理理(りのり) 様がおられます。きっと大丈夫です』
そうか、そうよね。
幼女の私にはできなくても、みんながいる。
大丈夫。
「パパ、かんしぇい、りお、ほちい」
「時間停止付きのが出来たら、リオのもつくるな」
「あい」