軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

苦いのはイヤ

「うわーーーん」

私は屋敷を出て 理(さとる) の工房に行く途中で盛大に転んで、膝を擦りむいてギャン泣きの最中である。

幼女って、なんてバランスが悪いのかしら。

痛いのよ。

「わーーん」

今日に限って、1人でチョロチョロしていたのが、あだになった。

理の工房の裏手にある、 理人(りひと) の工房から理人が飛び出してきた。

「リオ、転んだのか?あぁ、膝すりむいて。痛いか?」

「ひじゃ、いちゃい」

ぐずぐず言いながら、そう言った。

理人は、私を抱っこして、理人の工房へと連れて行った。

膝を洗ってくれて、膝に緑色の液体をかけた。

すると、すりむいた膝がぼわぁーっと薄く光って綺麗さっぱりと治ったのだ。

ビックリしたら涙が止まった。

「まだ痛いか?」

「いた、ない」

首を振る。

「そうか、よかった。でもこれからは気をつけるんだぞ?また転んだら痛い痛いだぞ?」

「あい」

しかし、今のってもしかして…

「いま、なに?」

んっ?これか?と小さな瓶を振る。

「これはな、ポーションだ」

「ぽーちょん?」

ポーションも言えないとか、幼女の滑舌よ…

っていうか、この世界では、ポーションは貴重なのでは?

それを転んですりむいた膝に使用するとは、理人よ、大丈夫か?

「そう、ポーション。俺が作ったやつ。ちゃんと効果あっただろ?」

なんと!

理人の作ったモノだったのか。

だから簡単に使ったと?

いやでも、ダンジョンの攻略組に持たせた方が良いのでは?

「つかう、だいじょぶ?」

「あぁ、大丈夫。まだこれ試作段階だから」

そうなの?

綺麗に治ったのに?

「いた、ないよ?」

「ケガとかには、効果発揮するんだけどな、飲めないんだよ。苦くて…」

でもポーションって、薬草から出来てるからだいたいが苦かったけど。

色もそこまで苦そうには見えない。

鑑定させてもらおう。

ポーション鑑定

低品質、傷には効くが苦くて飲めない。

私は、理人の持ってるポーションビンに手を伸ばして、

「かして?」

「いーけど、なにするんだ?」

「なめる」

飲めないって鑑定に出てるけど、舐めるくらいなら大丈夫では?

「やめとけ」

って、ポーション瓶を離してくれない。

「やー、なめるのー」

「ダメだ、本当に苦いんだって」

理人がポーションビンを引いた拍子に、フタが取れて落ちた。

中身が飛び出し、私の顔にかかる。

口元に流れてきたポーションを舌でペロリと舐めた。

瞬間、後悔した。

「うわーーーーーん、にが、まず、うわーーーーーーーん」

「だから言っただろう?」

理人はポーションのかかった顔を拭いてくれて、水をくれた。

「口、グジュグジュぺしといで」

私は一刻も早く口の中の苦さとマズさをなんとかしたかった。

ホントに飲めたモノではない。

フェリーラザのポーションの方がまだ飲めた。

色はもっと飲みたくない薬草色をしてたけど。

口をゆすいで、戻ると理人が飴をくれた。

甘い飴に、やっと落ち着いた。

「りひにい、にがないの、つくる」

お願いだから、苦くない飲みやすいポーション作ってくださいよ。

あれ飲んで気絶する可能性もないとは言えない。

そのくらい苦かったのよ。

舐めただけなのに。

「それは、俺の目指すところでもある」

「どやってつくる?」

「ポーションか?」

私は頷く。

「俺の職業が錬金術師で、ポーション特化なんだ。で、ギフトがなんとポーションのレシピ検索ってやつなんだよ」

「ぽーちょん、つくるひと?」

「そう、ポーション作るのが得意な人になる予定の練習中の人かな、まだ」

あははは、と理人は笑って頭を掻いている。

へぇー、ポーション特化の錬金術師は初めてかも。

フェリーラザでは、ポーションは片手間に作られてたなぁ。

作れる人たくさんいたしね。

こちらでは、作れる人はほとんどいないってアレド言ってたな。

こんな身近に作れる人がいたとは。

「れんちゅう、しゅるの?」

「そう、初級のポーションを作りたいって思うと、頭の中に材料と作り方が浮かぶんだ。その通り作ってるはずなんだけど、苦くしかならないんだよ」

「ちゅくって?りおみたい」

「ポーション作ってるところみたいのか?」

「みたいみたい」

理人はまぁいいかって笑って、

「材料は、ダンジョンで取れる薬草と水、あとは魔力。これだけ」

えっ?ホントに?

「これだけ?」

フェリーラザでもこんなだったかしら?何か足りない気がするのだけど。

『アレド、フェリーラザのポーションレシピわかる?』

『初級ポーションの材料…薬草と治癒草と魔力水ですね』

『あー治癒草か、こっちにあるのかしら?』

『ギルドの薬草一覧には掲載ないですね』

ダンジョンに行って、手当たり次第草鑑定しまくりたーーい。

『魔力水の作り方は?』

『水に魔力を込めたモノを蒸留したものが魔力水となります』

『って、言えないじゃないのよー』

どうしたら、伝えられるかしら?

「リオ、これが薬草だよ」

理人が棚から薬草を取り出したモノを見せてくれる。

鑑定してみたら、ダンジョン産、魔力が少ない低品質品って表示されたんですけど?

低品質なのも苦い原因なのでは?

「はっぱ、きらきらない」

伝わるかしら?魔力少ないこと。

連理(れんり) たちから、私が魔力見えるかもって聞いてれば意味を理解してくれるかも?

お願い、気づいてーー。

「きらきら?確か母さんが言ってたな、リオは魔力をきらきらとかポカポカっていうって…きらきらないってことは、この薬草魔力ないのか?」

理人は、ぐるって私の方を向いてそう言った。

私は、頷いて、もう一度言った。

「はっぱきらきらない」

理人は薬草をたくさん取り出してきて、私の前に並べた。

「1番きらきらなはっぱはどれかわかる?」

私は鑑定しながら、1番良品質な薬草を指差した。

「これだな?」

「あい」

「もしかして水もただの水道水じゃダメなのか?水にも魔力必要なのか?」

ぶつぶつ言ってる理人が、あっ!と止まった。

どうした?

驚かせるのは、やめてほしいんですけど?

「レベルが上がった。レシピが更新された。品質の良いダンジョン産の薬草とダンジョン産の治癒草と魔力水にレシピが変わった。」

なんと、タイムリーなレベルアップね。

「治癒草ってなんだ?魔力水ってなんだよ?あっ魔力水はレシピある。治癒草ってのをダンジョンまで採取に行かなきゃダメだな。リオごめんな、これからダンジョン行ってくるからポーション作るのまた今度な」

しかたないよね。

「あい」

よかった、これで苦くないポーションできるかも。

がんばれ、理人。

苦くないポーションお願いします。