作品タイトル不明
不正ですか?撤去しますね?〜理結
大規模ダンジョン新宿、通称新宿ダンジョンで、魔力の実の自動販売機絡みで不正が行われているかもと、タレコミが何件か舞い込んできた。
マジかよっ。
いい度胸してんな?
神凪のショップのある新宿で、やらかすってことは、ケンカ売ってるってことだよな?
とりあえず、防犯カメラの映像で怪しいやつピックアップするか?
何日か分の映像を見て、目星はついた。
こいつらだな?ガキ8人か。
4人ずつ1日おきに100円持って魔力の実買いに来てるな。
時間はだいたい同じだな。
ってことは、それを誰かに渡してるはずだよな。
自分で食うなら、1日おきだと意味がねぇ。
魔力総量1しか増えねぇからな。
しかし防犯カメラからじゃ誰に渡すかまではわからねぇな。
けど、4人のパーティか?
明日、こいつら来たら千里眼で追跡するか。
千里眼スキルが優秀だったぞ。
優理(ゆうり) さんに教えてもらったんだが、千里眼で見ながらマーキングしたら、そのマーキングを自動で追跡できるんだってさ。
すぐに取って、MAXまであげたけどな。
それを使う時がきたんじゃないの?
きっちり不正は暴かせてもらうからな。
千里眼で見たものをレコーディング出来ないのか?
あっ、出来るな。
うん、生活魔法便利だな。
2日間、千里眼で追跡し不正の場面はレコーディング済だ。
東風(こち) に連絡して、ガキ8人が何回実を購入してるかデータを出してもらった。
10粒ずつ購入していた。
コイツら、20粒は食ってるってことだろ?
魔力100万超えてるだろう?
Dランクの探索者が、払える金額じゃねぇんだよな。
魔力100万増やしたってことは、1億円は必要なんだからよ。
笑理(えみり) にも確認してもらい、スクショを撮ってもらう。
魔力は思った通りだし、賞罰には恐喝と詐欺があった。
詐欺は内容も魔力の実を不正で入手していることが表示されていた。
笑理、神眼のレベル上がったのか?
これはすげぇ、ギフトだな。
俺は、スクショとレコーディングを手にギルマスの部屋を訪れた。
緊急の案件だと取次させて、ギルマスと対している。
「緊急の案件と聞きましたが」
「おたくのDランクの探索者やらかしてくれたぞ?」
「何を?」
俺は、まずレコーディングをリプレイしてみせた。
「どういうことかわかるよな?」
「これは…いやでもこれだけでは…」
ほぉー?これだけではダメだと?
東風からもらった、ガキ8人の購入履歴を提示する。
「100円で1日おきに10粒買ってるんだよなー4人ずつ交互に1日おきになー」
「しかし」
「しかしもかかしもねぇんだよって親父にも言われたことねぇか?」
ギルマスは黙る。
やっぱり親父にも言われてんじゃねぇかよ。
「じゃあ、これな?笑理に鑑定してもらったスクショだ、見てみろよ」
魔力が100万超えてんだろ?
ギルマスの顔が驚愕に変わる。
「わかったか?魔力100万ってことは、買うのに1億は必要なんだよ。Dランクの探索者に買える金額じゃねぇんだよ。それをたった2000円ぽっちでやらかしてんだよ。コイツらはっ!4人で4億以上の損害だ。どう落とし前つける?」
「申し訳ない」
「そうじゃねぇよな?問題が起きたら、自販機は撤去する契約だよな?親父に連絡して撤去するからな?」
「撤去は待ってください」
「なぜ?」
「攻略のために魔力の実は必要なのです」
「だから、問題起こさないようになんとかしろと言われたんじゃないのか?」
このギルマス大丈夫なのかね?
俺は親父に連絡を取る。
「親父?新宿ダンジョンの魔力の実の自販機で不正が行われた。証拠もある、笑理の鑑定もある。どうする?あっ?今ギルマスの部屋。わかった」
スマホを切って、
「今、親父来るんで」
ギルマスにそう告げたら、
「待たせたな」
って親父入ってきたけど、全然待ってねぇよ?
すぐそこに転移してきただろ?
しの兄もいるし。
「 理結(りゆう) 、見せてみろ」
俺はレコーディングとスクショと購入履歴データを見せた。
「これはアウトだな。いくらの損失だって?」
「4人で4億以上」
「マジかよ。とりあえずこの4人は訴えるか?で、自販機は撤去だな」
だよな?そうなるよな?
「待ってください。撤去はなんとか」
「なんでだ?はじめに言ったはずだが?」
「ですが…あのグランドマスターとお話しいただけませんか?」
「今すぐなら話してやってもいい」
ギルマスは見たことのない素早い動きでグランドマスターに回線を繋いだ。
「よう、久しぶりだな。グランドマスター」
親父はなんでそんなに偉そうなんだ?
「今日はどのようなご用件で?」
「まずこれを見てくれ」
同じようにレコーディングとスクショと購入履歴データを見せる。
グランドマスターの顔色がどんどん悪くなっていく。
人の顔色ってすごいよなぁ。
こんなに一気に変わるんだもんな。
「どういうことかわかるよな?」
「…自動販売機の撤去、でしょうか?」
グランドマスターは絞り出すように言った。
「当然だろ?」
「それは困るのです」
ギルマスは、さっきからそればっかだな。
「レンタルの契約書みろよ?問題が起こったら撤去するって書いてあるだろ?それに同意してるじゃねぇか」
ギルマスもグランドマスターも、何も言えないよな。
親父がこっそり俺を呼び、ひとつ用事を頼まれた。
なるほど?
ちょっと行ってくるわ。
レコーディングとかは、しの兄に預けた。
親父の用事を片付けるために、 理織(りおり) のところへ向かう。
「 連理(れんり) さん、理織いるかな?」
「理織?魔法学校いってるけど?」
「あーそっちか、行ってみる。ありがとう」
学校に向かうと、理織たちチビッ子から中学生までが、わちゃわちゃと何かをしていた。
入ったらマズイかな?
そう思ってたら、 雅羅(から) さんと目があった。
頭を下げると、手招きしてくれたのでドアを開ける。
「珍しいわね、理結くん」
「ちょっと理織に用事があったんだけど、取り込み中ですよね?」
「大丈夫よ?理織。理結くんが用事あるって」
「はいです」
理織に来い来いと手招きして、部屋の外に呼ぶ。
「りゆにい、どうしたの?」
「魔力の実の自販機で問題が起きた」
「えっ!?」
「不正をやらかして、2000円程度で魔力100万超えにしやがったやつが4人いる」
「えぇーーー!?ホントに?」
「あぁ、で魔力の実で増やした魔力を元に戻す方法とかないだろうか?」
うむむむって感じで、考えてるっぽい理織が言った。
「魔法で無効化する実つくる?」
魔力の実には、無効化する実ってか?
「そんなことできるのか?」
「たぶん」
「お願いできるか?」
「はいです」
理織は、ステータス画面をいじりながら、魔法を作っている、んだと思う。
俺からは見えないしな。
で、理織の手のひらに緑色のマリモみたいな実が出来上がった。
理織は俺に渡しながら、鑑定してと言う。
頷いて、鑑定する。
鑑定
魔力の実で増加した魔力を無効化する実
2度と魔力の実で魔力は増加しない
味はとても苦い
「おー苦くしたのか?」
しかも、魔力の実では、2度と魔力をあげられなくなる。
「悪い人はおしおきです」
ドヤ顔で言われたら、ちょっと笑っちゃったじゃねぇか。
『そうだな。これ複写していいか?オリジナル俺が持っててもいいか?』
「はいです」
「今度、スイーツ持っていくな!」
「はいです!」
「ありがとう、親父のところに戻るわ」
「いってらっしゃいでーす」
俺はギルドに再度転移した。
親父はまだギルマスの部屋にいるとのことだ。
おっと、犯罪Dランクの探索者がいるじゃねぇの。
あとガキ8人も。
説教食らってる最中か?
「どうだった?」
サムズアップしてみせる。
「これはどうなってんだ?」
「Dランクの4人には、1億払わせる契約書を交わしたところだな」
「あっ?480万以上もオマケすんのか?ってか、警察に突き出すんじゃねぇの?」
4人はビクッとした。
まっ1億払えるとも思えんが。
「あー逃げたり1億払えなかったら、警察行きかもな?で、オマケの480万の分で、お前が持ってくるものがどんなものでも受け入れるってのも契約の一部だな」
なるほどね。
「じゃあ、この実、食わせていいのか?」
一応、ギルマスやグランドマスターに確認する。
「あー頼む。そいつらが食わないと自販機撤去されてしまうからな」
「親父撤去やめたのか?」
「撤去して、こいつら殺されても寝覚めがわりぃだろ?」
「確かにな。じゃあ食わせるから口開けな」
餌を待つ雛鳥みたいになってんな。
全然可愛くないけど。
「あっ、苦いらしいけどちゃんと飲み込めよ。吐き出したら自販機撤去だからな」
俺はマリモみたいな実を、4人の口の中に放り込んだ。
4人とも吐き出さないように自分の口を手で覆い、泣きながらなんとか飲み込んでいた。
そんなに苦いのかよ?
理織?
後で聞いたら、苦い薬草味にしたらしい。
さすが悪い人はおしおきって言ってただけあるな。
俺は鑑定で、コイツらの魔力量を見た。
見事に4桁まで戻っていた。
探索者なのに、4桁しかないってどうなのよ?
俺は親父に頷いて、魔力が減ったことを伝えた。
後日、全ギルドと探索者に向けて、今回の不正に際して神凪の対応が通達された。
不正が行われた場合、不正分の損害賠償。
魔力の実で増加した魔力量の無効化。
無効化された場合、2度と魔力の実で魔力を増加することはできないこと。
これが守られない場合は、自販機の撤去。
以上が、俺たちが課したことだった。
神凪にケンカを売ったらどうなるか思い知るがいい。
ちなみにガキ8人は、1年間探索者資格停止だそうだ。
あっ、理織にスイーツ持っていかねぇとな。