軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

926 センディア防衛戦終了

ウルシの勝利とほぼ同時に、仲間たちの戦いも終了していた。

メアの放った、天を突くかと思うほどの白い炎の柱。その攻撃が、4本腕の騎士型を焼き尽くす。近くにいる俺たちには一切の熱が伝わってこないのは、完璧に制御されているからだろう。

ベルメリアが戦っていたのは、体長5メートルほどの巨大な騎士型だった。だが、ベルメリアとの正面からの殴り合いに敗れ、その頭部を水を纏った拳で叩き潰されている。

一番苦戦していたゼフメートも、手足が倍ほど長い騎士型を連続攻撃で細切れにし、なんとか消滅させた。

フランたちに比べると、かなりダメージを食らっている。聖獣化と神獣化の差というよりは、元々の能力の差だろう。

獣王のお供であったロイスやゴドダルファあたりが聖獣化していれば、今のフラン並に戦えていてもおかしくはないのだ。

「ゼフメートよ。見事!」

「ありがとうございます。お嬢様」

ここの主従も、上手く行ってるみたいだな。メアに褒められて、ゼフメートが笑っている。

全員が指揮官個体を倒し、それぞれの役割をしっかり全うした。その結果、抗魔の群れに異変が現れていた。

カステルの時と一緒だ。統率を失い、バラバラに動き始めている。やはり、この群れには複数の指揮官個体がいたようだった。群れがいくつも合流して、これだけの規模になっていたのだろう。

「くるぞ!」

周囲の抗魔が一斉にこちらに押し寄せてきた。このままでは、抗魔が雪崩を打ってセンディアへと突き進むかもしれない。

だが、フランたちは心配していなかった。

センディアの手前には、巨竜と化したリンドヴルムが鎮座している。

「グオオオオオォォォォォ!」

その咆哮が生む衝撃波が抗魔をなぎ倒し、口から吐く火炎が一撃で抗魔たちを炭に変える。尾で薙ぎ払えば大量の抗魔が消し飛び、翼が起こす風が抗魔の軍勢を押し止める。

まさに、不落の要塞のようであった。その守りを突破できる者など、そこらの抗魔にはいないだろう。

とは言え、オラトリオによる強化がいつまで続くか分からない。

「早急に、残存抗魔を殲滅するぞ!」

「ん!」

フランたちはそれぞれ四方に散らばり、力の限り抗魔を倒していった。

まあ、フランの場合は俺とウルシの魔術がメインだけどね。俺は雷鳴魔術と火炎魔術をばら撒きながら、鋼狼を操って抗魔を倒していく。

強化された状態のウルシの闇魔術も射程がかなり伸びており、人間の魔術師を遥かに超えているだろう。

遠くでは白い炎が静かに荒れ狂い、水魔術が生き物のように抗魔を飲み込んでいるのが見える。

白炎の側で飛び跳ねている影はゼフメートか? フレンドリーファイアに気を付けろよ?

今のメアの火炎制御が完璧だとは分かっていても、以前の暴走娘のイメージがある。ちょっとミスってゼフメートごとなんて、メアならいかにもやりそうなのだ。

ちょっとハラハラしながらゼフメートを見守っていたんだが、あいつの動きもより速く、よりトリッキーになっているな。

青豹スキルによって全身で豹足を発動しているおかげで、手や肘、時には尻尾で宙を叩き、有り得ないタイミングで曲がったり、跳ねたりするのだ。

結局、最後まで何も起きなかったのだった。まあ、一回怪しい場面があったけど、ゼフメートがしっかり避けていたのだ。

一番敵を葬ったのは、やはりメアかな? 次点でベルメリアだろう。

「ほとんど倒したぞ!」

「この周辺の抗魔は全て倒した。もう問題ないわ」

メアとベルメリアが軽くハイタッチをする。いつの間にか、この2人も仲良くなったようだ。

「オン!」

「ウルシ、かっこよかった」

『あとでご褒美だぞ!』

「オンオン!」

とりあえず、危機は去った。

「私たちの、勝ち」

「うむ! そうだな!」

そうやってみんなで喜んでいる内に、戦場に響いていた冒険者の歌が、不意に止んだ。同時に、フランたちを包んでいた黄金の魔力も輝きを失う。

「む? 力が……」

『おい、ここではまずいぞ! 今のうちに町に戻ろう!』

「ん。町いく」

「うむ! そうだな! 走るぞ!」

副作用や反動がどれほど出るか分からんが、全員が驚くほど強くなっていた。その反動は、どう考えても重い物になるだろう。

残った力を振り絞って、皆でソフィたちの下へと急ぐ。まあ、今の状態なら数秒だったけどね。

歌が止まった理由は、町に近づくと分かった。ソフィだけではなく、他の人々も疲労困憊で座り込んでいたのだ。

彼らもまた、全力を振り絞ってくれていたのだろう。

だが、フランたちの姿を見つけると、全員が立ち上がって手を振ってくれた。そして、拍手と歓声で出迎えてくれる。

「ありがとー!」

「助かったわ!」

「すごかったぞ!」

誰もが笑顔だ。心の底から喜び、フランたちに感謝していることが伝わってくる。フランも理解したんだろう。

そんな市民たちを見て、フランが呟く。

「よかった」

『だな』

何がと言わずとも、フランの言いたいことは理解できるのであった。俺も、同じ気持ちだからな。