軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑章二 海中ダンジョン 08

階層ボスであるミノタウロスを倒すため、ウルシと静かなる海が飛び出していった。

ミノタウロスがメチャクチャ美味しいと聞いてやる気満々だが、無謀な攻撃を仕掛けるような真似はしなかった。

「オンオン!」

「分かった! まずは足を潰すぞ!」

「オン!」

二人が連携して、ミノタウロスに攻撃を加えていく。必ず片方が正面をとり、もう片方が死角から足へと噛みつくのだ。

「ガルッルゥ!」

「そらそらそらぁ!」

「ブモモモォォォォォ!」

ミノタウロスは上位種のハイミノタウロスであるが、神獣の眷属たちを相手にしてはひとたまりもない。

数分もせずに足を潰され、最期はウルシによって首を噛み千切られて倒された。途中からは、全身に噛み傷だらけのミノタウロスが可哀そうになってしまうほどだったのだ。

「モグモグ」

「もぐもぐ……うむ、美味い! 牛とも人とも違う不思議な美味さだ!」

「オン!」

「ほう、そこが美味いのか?」

「オン」

「なるほど! これは――」

倒したミノタウロスを仲良く実食中だが、はたから見るとグロ映像である。狼二頭がクッチャクッチャと音を立てながら、牛人間を食べる図だもん。

しかし、静かなる海とウルシはすっかり意気投合しているな。ウルシは同族に嫌われてしまうスキルを持っていたはずなんだが、静かなる海には効果がないのか?

それについて聞いてみると、純粋な狼ではない静かなる海には効果がほぼないらしい。

『神獣の眷属同士でもあると思うが、そこも関係ないのか?』

「主である神獣様も違うしなぁ。意味はないのではないか?」

そもそも、神獣の眷属相手にスキルの効果がどこまで発揮されるかも分からないらしい。

「うむ、美味しかった」

「オン!」

あの巨大なハイミノタウロスをもう食い尽くしたのか!

ウルシたちの足元に打ち捨てられたミノタウロスの残骸は、綺麗に骨だけになっていた。まあ、満足したならいいけど。

3階のボスを美味しくいただいたウルシたちを先頭に、俺たちは4階へと突入した。いや、4階への階段を下りきる直前で、ウルシが足を止めた。

「オフ!」

「よい慎重さだ! しっかりと学習しているな!」

「オン!」

まあ、今回は罠ないけどな。むしろ、4階からは罠が減って、魔獣の数が大量であった。3階を突破した相手に、これ以上の罠攻勢は意味がないということかね?

毒持ちの敵も多いので、物量と毒で敵を撃退するコンセプトなんだろう。

ただ、俺たちにとってはこっちの方が遥かに攻略しやすかった。なんせ、全員が毒耐性も高いうえに解毒持ちなのだ。

「ふははは! 入れ食いではないか!」

「オンオン!」

「もぐもぐ」

「オムオム」

飛び込んでくる様々な魔獣を、獣コンビが食らい尽くす勢いだ。魚介系、獣系、昆虫系、死霊系と、種類豊富な毒持ち魔獣たちであるが、毒も効かないこの2人にとってはただの食べ放題エリアでしかないらしい。

ほとんど立ち止まることもなく、3階よりも圧倒的に速い時間でボス部屋に到達してしまったのだ。

「強者の気配があるな」

「オン」

「魔力感じる」

ボス部屋の扉の前に立つフランたちが、表情を引き締める。かなり強い魔力が、扉の向こうから感じられるのだ。

ミノタウロスとは比べ物にならない強さのボスが、待ち受けているだろう。

「いく」

「うむ」

「オン!」

扉を押し開けて広い部屋の中に足を踏み入れると、そこで待っていたのは不気味な姿の肉塊であった。灰色のブヨブヨとした肉の塊から、無数の長い触手が生えている。

名前はストレンジスラッグ。ナメクジの魔獣であるらしい。

『瞬間再生と分裂って言うスキルがある。下手に触手を攻撃すると、そこから分裂するかもしれん』

「ほほう? それは厄介であるが……。あれも美味いのか?」

「オ、オン?」

「そうか、分からんか」

静かなる海さん、ミノタウロスで味をしめたね。まあ、食ってれば体積は減るだろうし、悪くない攻撃なんだけどさ。

「分裂する前に、倒せばいい」

「そうであるな!」

「オンオン!」

フランもやる気を漲らせているが、俺にちょっと試したいことがあった。ナメクジといえば、あれだよね?

『ほい!』

「シギャアアアァァ!」

『うわ、メッチャ効いてる!』

ナメクジって塩をかけると殺せるじゃん? 浸透圧の関係で縮むらしいんだが、こいつにも有効であるらしかった。むしろ、普通のナメクジよりも塩に弱いっぽい。

海水をちょっとかけただけで嫌がっているし。そこで、俺はさらに塩を投入した。大量に購入してあった塩を取り出して、奴の全身にぶっ掛けてやったのだ。

それだけで倒せるほどではなかったが、苦しんでいてこっちに攻撃してくるどころではないらしい。

『ほい』

「シュギャァオォォォ!」

しっかりと狙いを付けて、あっさりと魔石を破壊できてしまった。体は瞬時に液体となって流れて行ってしまったな。

いやー、さすが高位の魔獣の魔石だけあって、美味いぜ!

「……」

「……」

「……」

ちょ、そんな目で見ないでよ! 勝手に倒したの悪かったからさ! つ、次は勝手な真似しないから!

「……我のボスが」

「オン」

「師匠がとった」

と、とりあえず休憩でもして、カレー食べます?