軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑章二 海中ダンジョン 09

「美味いっ! うーまーいーぞー! これがカレーか! 素晴らしい!」

「カレーは最強」

「オン!」

「うむ! 確かにこれは最強だ! フランが断言するのも分かる! これを作り上げるとは、さすが神剣であるな!」

「ふふん」

カレーのルーで口の周りをベットベトにした静かなる海の誉め言葉に、ドヤ顔で胸を反らすフラン。

いや、神剣関係なくね? まあ、フランが満足げだからいいけどさ。

道中でフランがこれでもかとハードルを上げまくったからどうなるか不安だったけど、静かなる海はカレーを気に入ってくれたらしい。すでに三杯をペロリだ。

ボス部屋で休憩中なんだが、皆の機嫌が直ってくれてよかった。だって、仕方ないじゃない。ボスが簡単に倒せそうだったんですもの。そりゃ、やっちゃうでしょ?

「フランたちは毎日このようなものを食べているのか?」

「ん」

「オン!」

まあ、なんやかんや、カレーは毎日一食は食べてるよな。カレーライスじゃなくても、カレーパンとかカレー風味の料理を口に入れているし。

た、食べ過ぎは良くないけど、カレーは健康にもいいしね? ほら、あのレジェンド野球選手も毎朝食べてたって言う伝説もあるくらいだから! 一日一食はむしろ健康のためなのだ! まあ、イチ○ーさんも実は毎日食ってなかったらしいけど……。

「うーむ。な、なあ? 従魔を増やす予定とかないのか? 例えば、海に特化した従魔が欲しいとか?」

こ、こいつ、カレーに釣られて従魔になるつもりか? チョロいとかそういうレベルじゃなくね?

そもそも、神獣の眷属が従魔になっていいの? リヴァイアサンに怒られない?

「従魔、増やす? ふむ?」

「どうであるか?」

「従魔にするのって、どーする?」

「さあ? 従魔になったことがない故、よくわからんなぁ」

フランと静かなる海が首を傾げて思案している。ただ、静かなる海を従魔にするのは無理だと思うぞ?

『テイムするにしろ契約するにしろ、静かなる海は上位存在過ぎる。多分、キャパシティが足らんぞ』

俺のキャパシティはウルシと邪神ちゃん、その他の同居人たちで満杯だ。そして、テイム系のスキルを持たないフランでは、静かなる海を従魔化するのは無理だろう。

進化したフランならそこらの上位魔獣くらいは余裕でテイムできるだろうが、静かなる海は神獣の眷属だ。格というだけなら世界最高クラスなのである。

「そうであるか……」

「残念」

「オン」

静かなる海だけではなく、フランたちも残念そうだ。まあ、意外に意気投合しているというか、相性は悪くなさそうだったしな。

「いつでも遊びにくればいい」

「オン!」

「うむ。そうだな。既にお主らの気配は覚えた故、カレーを食べに行こうと思えばいつでも行けるしな!」

やっぱカレー目当てか。

一時的に士気が下がってしまった一行だったが、すぐにそれどころではなくなる。

5階が、かなりの高難易度階層だったのだ。まずは魔獣と罠。今まで以上に強力で、種類も多彩であった。

さらに、一部水没しているエリアもあった。地下通路のように下っている先に、海水が満ちているのだ。

ここでは当然水中を得意とする魔獣が出現し、罠などの解除も勝手が違っていた。そもそも設置されている罠の系統が違うので、今までの解除方法が通用しないのである。水圧や水流で細かい作業が阻害されるし。

全面水没のダンジョンじゃなくて本当に良かったと、実感したね。

まあ、そもそも海水が満ちているダンジョンなら、リヴァイアサンの眷属たちがとっくに攻略しているのだろうが。

それが確信できるほど、水没エリアでは静かなる海無双が酷かった。敵は瞬殺、罠は液体に変化可能な静かなる海には通用しない。

俺たちは、フランに影響がありそうな罠を回避しながら後を付いていくだけでよかったのだ。想像の10倍は早く、ボス部屋に辿り着いてしまった。

「ついに5階のボス部屋であるな!」

「どんな敵か楽しみ」

「オン!」

「次も美味い敵だと有難いが、どうであろうな!」

「ん」

「オンオン!」

ミノタウロスで完全に味をしめたか。フランも、今度は自分でも食べられる敵であれと願っているようだ。扉を挟んでいても凄まじい魔力が感じられる、強敵なんだがなぁ。

扉を開けると、そこは今までで一番広い部屋だった。直径300メートルは超えていると思われるドームである。

その中央に、青い鱗の魔獣が立っていた。まさしく、ドラゴンだ。全長10メートル少々の小型の竜である。

ただ、その身から放たれる存在感はかなりのもので、小さくとも上級のドラゴンであることに間違いはないだろう。

『氷竜! 脅威度Bの強敵だ!』

それに、このボス部屋にどんなギミックがあるかも分からない。慎重に戦わなくては。

しかし、フランもウルシも静かなる海も、完全にワクワクが隠しきれていない。

「いいぞ! 強き敵との戦いはいつでも心躍るものだ!」

「ん」

「オン!」

うちの戦闘狂たちに火が付いてしまったらしい。静かなる海さん、やっぱ全然静かじゃないよね? この人こそ荒ぶる海の名前が相応しいんじゃないの?

「しかも、あれは美味そうだ。なあ?」

「ドラゴンはおいしい」

「ジュルリ」

道中で魔獣食べまくって、まだ足りないの? あんな強そうな魔獣なのに、腹ペコ三人衆の目には美味そうな肉にしか見えていないようだ。