軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1199 フラン無双

フランの無双が止まらない。

黒雷を完璧に使いこなし、神気によって無限にも思える魔力と体力を得たフランは、ひたすらに超人兵を葬り続けた。

瞬間移動にすら思える神速で動き続けながら、斬撃と体術で超人兵を破壊し、奔る黒雷が超人兵を薙ぎ払う。

凄まじい機動力と、超長距離でも魔術を外さない制御力。フランの支配は、今や戦場全体に及んでいた。

時折、フランの背後に抜ける超人兵もいるが、振り返りもせずに放たれた黒雷に貫かれ、消滅する。

以前見た、イザリオやアースラースの神剣開放状態を思い出した。

何者も寄せ付けず、勝利が約束されているかのような絶対感。過去に見た強敵たちとだって、今のフランならいい勝負ができるだろう。それどころか、勝利すら期待できる。

「うっらぁぁぁ!」

『うおおおおぉぉぉ!』

俺にも、フランの膨大な力が流れ込んでくるぞ!

俺が生み出す神気すら、フランの制御力の影響下にある。おかげで、俺も今まで以上に魔術を使いこなせていた。

自分としては限界だと思っていた魔術の制御に、さらに上があったのだ。

100を超える雷を放つエカトケラウノスならば、敵を意識することで1本も無駄にならずに、全てが敵を追って穿つ。

カンナカムイならば一直線に突き進むのではなく、意志を持った雷の龍のごとく、俺の思うままに戦場で暴れ回らせることができた。

神属性の力を思うままに振るう俺とフランの暴威を前にして、万を超える超人兵が目に見えてその数を減らし始める。

それに、敵の指揮官である刃鷹も焦り始めたのだろう。超人兵を使ってこちらを消耗させるはずが、眠っていた力を目覚めさせてしまったからな。

しかも、超人兵が死ぬ度に他の超人兵が強化されているはずなのに、全く抗えないのである。

刃鷹自身も、魔力を増しているようだが、今のフランの前では有象無象と同じだ。

「ば、馬鹿な……。なんだこの強さは……!」

刃鷹が呻く。ただ、油断ならない相手であることは間違いない。俺はエカトケラウノスでも、カンナカムイでも、刃鷹を狙っていたのだ。しかし、奴はしっかりとこちらの攻撃を防ぎ、無傷でしのいでいた。

どうやら、瞬間的に高速移動するスキルで、こっちの攻撃をギリギリ回避しているようだ。

フランが直接襲い掛かれば仕留められるかもしれないが、今は村を守ることが優先だ。

「がんばれー!」

「お姉ちゃーん!」

「狼ちゃーん! そこだー!」

「蟲の人たちもー!」

子供たちのボルテージも超絶アップだ。より大きな歓声が聞こえる。

「がん、ばる!」

そこからはもう、フランは無敵だった。

広範囲攻撃をばら撒きながら、30分近くトップギアで戦い続ける。

気づけば、敵の姿が消えていた。

神速での戦闘を続けていたフランが足を止め、肩の力を抜く。

「ふぅぅ……」

『超人兵の気配はもうないな』

フランに倒されただけではなく、命を削る暴走によって生命力が消費され続け、自滅したのだろう。

全ての超人兵の気配が、完全に消え去っていた。残るのは、雷によって焦げた空気の匂いと、大量の異形の死骸だけだ。

そして、刃鷹の姿もない。

『逃げられたな』

「ん。でも、仕方ない」

「オフ」

今回は村の防衛を最優先したので、ウルシに後を追わせてもいない。

「村、もどる……」

『フラン!』

「オ、オン!」

「からだ、うご、か……」

フランが突然倒れ込んだ。生命力に問題はないんだが、体が動かないらしい。加護によって神気を上手く扱えるようになっても、永続というわけにはいかないのだろう。まあ、あれだけの力だ。当然だよな。ランクS冒険者たちだって、そこまではできていないようだし。

『ウルシ、乗せるぞ』

「オン」

「あり……と……」

『フラン。今は休め。後は任せろ』

「……ん」

フランをウルシの背に乗せて村に戻る途中、半蟲人たちがヨロヨロと歩いているのを見かけた。

翅や触手が千切れたり、角や甲殻が砕けてしまっている。全身も傷つき、ボロボロだった。

フランが無双状態に入る前の、限界ギリギリの場面ではかなりの超人兵を討ち漏らしてしまっている。そいつらの相手をして、ずっと防いでくれていたのだろう。

しかし、全員生きている。

「黒雷姫殿……!」

「だ、大丈夫なのか?」

「オン」

ウルシの背の上でぐったりしているフランを、心配してくれている。俺たちはフランが使用したように見せかけて、回復魔術をクイントたちに使用した。

「黒雷姫殿! ご自身がそのような状態で!」

「だい、じょぶ」

「……ありがとうございます」

「あざっす!」

敵は撃退できたが、今回ので全部じゃないはずだ。風狼っていう奴もいなかったし。このまま、上手く避難できればいいんだが……。