軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1061 フランvsレイドス艦隊

ダーズのレイドス艦隊を壊滅させる決意をし、砲撃を掻い潜って飛び出したフラン。

『この艦隊、生贄用の小型船がいないな』

大型、中型の船だけで構成されていた。だとすれば、ダメージの移し替えが起らないんじゃないか? そもそも、あれは水竜の魔力と、マールの能力があったから可能だったことだ。どちらもいないこの普通の艦隊では不可能なんじゃないか?

俺たちはそう考え、まずは旗艦に対して大技をお見舞いしてやることにした。

『フラン! あそこの一番大きい船だ! やるぞ!』

「ん!」

バルボラで水竜艦相手に放ったのと同じ、カンナカムイの重ね掛けだ。

天から雷が降り注ぎ、旗艦と思われる船に降り注ぐ。

だが、カンナカムイと船の間に、突如として透明な壁が出現していた。やはり結界があったようだ。

展開した透明な壁が、雷を受け止め――ない。

『あれ?』

「む?」

カンナカムイは結界をあっさりとぶち抜くと、そのまま船を直撃していた。大爆発と共に、船体の欠片が四方へと飛び散る。

大型船の誇る三本マストは雷によって消滅し、その船体は真ん中から砕け散っていた。残った残骸も、じわじわと海中へと沈んでいく。

生き残った船員たちもカンナカムイの電撃の影響を受け、体が麻痺して上手く泳げないらしい。もがきながら、瓦礫と一緒に沈んでいく姿が見える。

『やっぱりあの強力な結界は、水竜艦のお陰だったんだろうな』

「ん」

普通の船に結界発生装置を載せても、魔力不足などの理由であまり強い効果は発揮できないのだろう。

「……やる」

『おう!』

フランの短い言葉に、笑ってしまうほどの戦意が込められていた。やはり、レイドス王国への怒りは、まだまだ消えていないのだろう。

「はぁぁぁぁ!」

『いくぜ!』

巨大化した俺を担いだフランが、手近な船へ飛びかかる。斬艦モードの俺を大上段に構えると、眼下の船へと思い切り振り下ろす。

意外にも、ベキベキといった破砕音はほとんどしなかった。軽く木材同士が擦れる音が聞こえ、海に大きな溝が穿たれる。

相手にとっては、よく分からないうちに船が前後に分断されている状況だろう。一拍遅れて、切断面から火の手が上がり、船体が燃え上がる。

斬艦モードに加え、属性剣・炎も使用していたのだ。船員たちの悲鳴が響き始める中、戦艦は驚くほどあっさりと海中へと沈んでいった。

そこからは、まさに蹂躙の時間である。

宙を駆け回り、手当たり次第に船を真っ二つにしていくフラン。胴体を真っ二つにされる船もあれば、正面から左右に分断される船もあった。

炎上しながら、次々と沈没していくレイドス艦隊。

レイドス海軍の船は、この世界の基準で見れば、弱くはない。見た目は木製の帆船だが、魔道具によって強度、速力、取り回し、全てが強化されているのだ。

近代の戦艦とまではいかずとも、旧型のクルーザー並の性能はあるはずだった。しかも、命中精度の高い、魔導砲をいくつも積んでいる。それが三〇隻ともなれば、水竜艦を除けば最強クラスの艦隊と言えるだろう。

だが、フランはより高性能だ。小さく、素早いうえに、回避性能抜群。それでいて、一撃で船を大破させる超攻撃力を備えて、連発できる。

イメージ的には、現代のそこそこの性能の船を使って、SFに登場する人型機動兵器を相手にするようなものだろう。そりゃあ、勝てるわけがない。

マールのような、対強者用の秘策を警戒していたんだが、出てくる気配もなかった。

一〇隻ほどが撃沈したことで、フランをどうにもできないと悟ったらしい。逃げ出す船が出始めた。だが、逃げることなどできない。

「師匠! あっちお願い!」

『了解!』

フランは先回りし、優先して逃げる船から破壊していったのだ。

「ぎゃぁぁぁ! きたぁぁぁ!」

「いやだぁ!」

「黒い悪魔めぇぇ!」

すれ違いざまにマストごと一刀両断された船の乗組員たちが、悲鳴を上げながら海へと落下していく。

そんな男たちに一切構わず、フランは次の船へと向かって駆ける。フランが近づけば船が両断され、船体が燃え上がるのだ。

敵にとっては悪夢でしかない。それに、絶対に逃すものかという、フランの殺意の高さが伝わったのだろう。

より激しい弾幕がフランに集中し始める。だが、それが当たるわけもなく、僅か一〇分でさらに一〇隻が撃沈していた。

一分一隻のハイペースだ。

ただ、血の昂ぶりが冷めてきたのか、自分の手で直接ぶった斬ることへの拘りが薄れたらしい。

「魔術で片づける。師匠、あっちお願い」

『了解だ』

俺たちは魔術を連発し、残った船を一気に片づけていった。

戦闘開始から約二〇分。

全ての敵艦が、海の藻屑と消える。勝つには勝ったが、一つ疑問が残る。バルボラでもそうだったが、レイドスの船は白旗を一切揚げようとしなかったのだ。

ベリオスのブルネンから、こちらの世界にも白旗の文化があると聞いていたんだがな。何が何でも降参だけはしないという、意地やプライドでもあるってことなのかね?

「ふぅぅぅ。勝った」

『おう』

「今度は捕まってる人、助けに行く!」

『すぐに行くのか? 休憩した方がいいんじゃないか?』

無傷で勝利したが、魔力も体力もかなり消耗している。さすがにあれだけ巨大な船を沈めるためには本気で攻撃する必要があったし、興奮し過ぎてペース配分がね……。

完全にかかってしまっていて、ハイペースだった。

しかし、フランは額の汗をぬぐいながら、その視線をダーズの町へと向ける。

「シャルロッテを早く助ける」

『まあ、そう言うよな』