軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1章-11

この世界に転生して10年、初めて出会った貴族がまさかの王様でした。

前世でも貴族なんていう存在はテレビの中か、あるいは本の中くらいでしか知らない俺は、今の気持ちを正直に言えば、

「(めんど臭そうだな…逃げるか…)お怪我が無くて何よりです。では、僕はこれで失礼します」

では、と踵を返しこの場を立ち去ることにした。

「まあまあ、待ちたまえ」

後ろから肩を掴まれてしまった、王様に!

この王様、顔はにこやかに笑っているけど、何となく『面白そうだから逃がさんよ』とでも言いそうな雰囲気である。

はっきり言って嫌な予感しかしない。

「すいません国王様、早く帰らないと母が心配しますので」

「なに、お前の母親には俺が一言話してやろう。国王からの弁解を無碍にはしないだろう」

怖いです王様、目が笑ってません。あと、口調がだいぶ変わっています。

俺の心情を察したのか、後ろに控えていた内の一人で栗色の髪を背中の半ばまで伸ばしている女性が、王様に掴まれていない方の肩に手を置きそっと、

「あきらめてください。ああなると陛下は止まりません」

と言った。王様はそれを聞いて、

「よく分かっているではないか!」

と、ハッハッハッと笑っていた。……涙が出そう

「陛下、落ち着いてください。坊主が困っています」

「そうですよ陛下。命の恩人なんですから困らせては失礼ですよ」

と、山賊のような見た目の茶色の短髪で頭にバンダナを巻いている男性に、金髪でサラサラヘアーな細身なイケメン男性の順にフォローしてきた。

「分かった、分かった!と、そういえば名前を言っていなかったな、俺の名はアレックス・フォン・ブルーメイル・クラスティン。この国の国王をしている。好きなように呼べばいい」

と言うのでつい、

「じゃあ…おっさん?」

王様の雰囲気につられ、つい口から出てしまった言葉を聞いて、俺ともう1人を除く面々は固まってしまった。

「ハッハッハッハッ、面白いことを言う坊主だ!気に入った!この俺にそんな軽口をたたく奴は久々だ!」

なんか気に入られたらしいです。

「申し訳ありません。言葉が過ぎました、王様」

と、取りあえず謝った。さすがにおっさん呼ばわりはまずいよな。

「おっさんでも構わんぞ?」

心から謝るから、許してくれ、おっさ…王様。

「王様その辺りにしてください」

と、これまでしゃべっていなかった男性が口を開く、

おお、たすか「今の陛下はどこからどう見ても、酔っぱらって子供に絡んでいるおっさんそのもの!それでは少年がおっさんと言ってしまったのも仕方のないことです!王ならもっとそれらしい立派な態度を示してください!全く嘆かわしい。そうですよね、少年!」らなかった。

怒涛の口撃に王様も精神的ダメージを受けている。が、持ちこたえたようだ。

ふぅ、何とか持ちこたえてくれたみたいで良かった。お決まりの『もうやめて~、王様のライフはゼロよ~』とかいって止めに入らずにすんで、

「大体ですね。陛下はいつもいつも調子に乗って、後始末をする私の身にもなってください。聞いていますか、陛下!」

なにぃ、まだ終わっていないだとぉ~! どこまで続くんだこの口撃は?

「それにですね、王さ「まあまあ、落ち着いてクライフさん。陛下も反省してますから」…まあ今日はこのくらいでいいでしょう。エドガー様に免じて短めですが許しましょう」

あれで短いのかよ!

「あ、自己紹介が遅れました。 私(わたくし) 、クライフ・セバス・チャンと申します。王家の侍従長を任されております。お見知りおきを」

「私は、エドガー・ヴァン・バレンタインです。先ほどはありがとうございました」

先ほど王様を口撃していた男は王様の執事だったのか、てか執事でセバスチャンって、

「あ、セバス・チャンは代々の侍従長が名乗る事の許される名称みたいなものです」

なに、心が読めるのか!

「心は読めませんが、仕事柄表情から思考を読むのは得意ですので」

すげえな、執事!

「俺は、ジャン・ジャック・バウアーだ。さっきは助かったぜ!」

なんだか24時間でストーリーが完結するドラマの主人公みたいな名前だな。ちなみにこの世界でも一日24時間だが、一ヶ月30日が12回の年360日だ。

「俺はシグルドだ。さっきは助かったありがとう。それと、すまなかったな。危ない所を助けてもらったのに剣を向けようとして…」

「危ないところを助けてくれてありがとう。私はクリスよ、よろしくね。それと、出来たらあれをどうにかしてくれないかしら」

クリスと名乗った女性が、申し訳なさそうにゴーレムを指さして言った。

「あ、はい、分かりました。ゴーレム達ご苦労だった、解除せよ!」

天馬がそういうと、ゴーレム達は地面に溶け込んで行くように消えていき、あとには魔石だけが残った。

「ゴーレムですか、ここまで使いこなせるのはすごいですね。お名前を伺ってもよろしいですか?」

クライフがそうたずねてきたので、魔石を回収しながら、

「テンマです。この先にあるククリ村に住んでいます」

「おお、ククリ村か、偶然だな。俺達も用があってそこに向かっていたのだ」

突然王様が復活して話に加わって来た。

「よし、さっそくククリ村に行くぞ。クライフ!馬と馬車には異常はないな!」

「はい、陛下。陛下が似合わない言葉遣いで話しかけている間に確認は済ませております」

「そ、そうか…。と、とにかくククリ村へ向けて出発だ!ほら、皆早く乗れ、急ぐぞ!」

王様はなぜかテンション高めでみんなを急がせる。

「ほら、テンマも早く乗るのだ!」

「(一緒に乗ったらあの王様うざそうだし、時間がかかるしな)いえ、僕は飛行魔法が使えるので、先に飛んでいきます」

と言って魔法を発動させようとする。だが後ろを向いた隙に、また肩を掴まれた。

「連れないことを言うな、テンマ。せっかくなんだから一緒に行こうぜ。なぁに、あの2頭の馬たちは王家の選りすぐりの馬で速さと力の優れた奴らだし、さらに身体強化を掛けるから普通の馬車より格段に速いぜ!」

飛んでいった方がさらに速いです…とは言えずに親指を立てて話しかけてくる王様には勝てなかった。