軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

31話 それなんてエロゲ?

家に帰るとエリザベスは居間で昼寝をしていた。そのまま寝かせておき、お昼の準備を2人でする。ヒールで体力も少しは回復するとはいえ、さすがにきつい。手抜き気味で手早く準備を済ませ、エリザベスを起こして昼食を取る。

食べながら訓練のことをエリザベスに話す。ふうん、と剣とか弓にはあまり興味がなさげだ。

「そっちはどうだったんだ?」

「全然だめね。もう意識しちゃって目もあわせられない感じ」

ナーニアさん……

「だからオルバのほうに発破をかけておいたわ。きっと今頃野獣のようにナーニアに襲い掛かってるでしょうね」

フフフとエリザベスが笑う。おいいいい、何をしたんだよ!いいのかそれ!?

「いいのよ。わたし公認なんだし。ナーニアもいい加減微妙なお年頃だし、早いほうがいいのよ」

相思相愛ならいいのかな……?

「ナーニアもね。ずっとわたしについてきてくれて。それはすごく助かってるんだけど、そろそろ自分の人生も考えていい頃だわ……」

オルバにならナーニアを任せても構わないわ。そう言ってエリザベスは寂しそうに笑った。

お昼過ぎにアンジェラが子供達を連れてやってきた。まずは多めに作っておいたから揚げを、タルタルソースをつけて振舞う。アイテムボックスに入れておいたから、まだあっつあつだ。子供達はおいしいおいしいと言いながらあっという間に平らげる。

「さて、諸君に今から作ってもらうのはこのマヨネーズという調味料である。いま食べたタルタルソースにも使われている」

子供たちに完成品のマヨネーズを見せ、まず卵1個分で作り方を見せながら説明していく。

「これで完成だ」

完成したマヨネーズを野菜スティックで味見をしてもらう。瞬く間にマヨネーズは食い尽くされた。

「調味料を混ぜるのはこちらでやるから、最後の油を加えて攪拌するところを担当してもらいたい」

はい!元気に返事をする子供達。上手にできたらお土産に少し分けてあげようというと歓声があがった。喜んでいられるのも今のうちだよ……

道具や材料は午前中、ギルドに行く前に買ってきてある。まずはアンジェラと料理の得意な子供達に手伝ってもらい、卵を割り黄身を取り出していく。大きなボール5つ分の黄身を混ぜてもらいながら、サティと2人で調味料を加えていく。ようやく油を加える手前まで進み、攪拌を子供に託す。

サティと2人で指導をしながら作業をすすめる。子供達は数分でこの作業の過酷さに気がついたようだ。混ぜても混ぜても一向に終らない攪拌作業に顔がゆがむ。こまめに休憩を取るように指示をし、監督はサティとアンジェラに任せておれは居間に退避した。

ソファーのエリザベスの隣に腰掛ける。エリザベスはまたうつらうつらしていたが、目を覚ました。

「そういえば。明日の午前中にドラゴンのセリをやるって言ってたわよ」

「へー。暇があったら見に行こうかな」

すっかり忘れてた。報酬、いくらくらいになるかな。これは楽しみになってきた。

セリは商業ギルドのほうでやるらしい。

生活費で結構使っちゃったし、ドラゴンの報酬があればもう一人くらい奴隷が買えるかもしれない。いや、買わないけどね?正直、今の状況に混乱気味で落ち着くまでは追加とか考えられそうにない。どうせあの4番の子は買えないだろうし……でもスタイルではアンジェラも負けてないし、サティもエリザベスも可愛いしな。あ、ティリカちゃんも可愛いよ。

「エリザベスは報酬が入ったらどうするの?」

エリザベスなら何かですぐ散財しそうだ。そしてナーニアさんに怒られる。

「実家に送金するのよ。ちょっと経営が苦しくてね」

なんか意外だな。お金持ちじゃなかったのか。いや、お金持ちだけど、家が傾いてるのかな?実家のことは、あまり話したくはなさそうだったので、その件にはそれ以上突っ込まなかった。

「マサルのほうこそ、実家とかどうなってるの?」

「うちは普通の家庭でね。両親はちゃんと暮らしてるから心配する必要はないんだ。それに遠いから手紙すら届かないし」

うまくいったら元に戻れるし、死んでも遺書とお金が届くだろう。かーちゃん、元気にしてるかな……

「そう、マサルも苦労してるのね」

家族と離れて冒険者をしてるという部分が自分と同じで琴線に触れたのか、ちょっとやさしい表情をしている。

「こっちの生活は波乱万丈で面白いよ。それに今はエリザベスもいてくれるし寂しくない」

「ば、馬鹿ね!し、師匠なんだもの、一緒にいるのは当たり前よ!」

うん、こういう反応をするから面白いんだ。エリザベスはとても扱いやすいね。ちょっと実家のことを思い出してしんみりしたけど、だいぶ気分がよくなった。

マヨネーズ作りの方を見に行くと、子供達は死んだ魚のような目をしてもくもくとマヨネーズをかき混ぜていた。3分の2ってとこか。ちょっと休憩をいれよう。

「はいはい、休憩するよー」

冷蔵庫からプリンを取り出す。プリンも消費が激しいのでサティに頼んで常時ストックを作ってある。エリザベスも呼んで、みんなでプリンを食べて休憩を取る。初めて食べる味に子供達は大喜びだ。野菜や肉と違って、卵も砂糖も馬乳も全部高いんだよな。孤児院で作るのは経済的に難しいだろう。

甘いものを食べて元気の出た子供達は作業を再開する。後年、この子供達の中の一人がマヨネーズで商売を興し、大商人にのし上がっていくのだが、それはまた別のお話。

ともかく。ようやくボール5個分の大量のマヨネーズが完成した。子供達は疲れてぐったりしている。ちょっと色をつけておいた報酬を受け取る手にも元気がない。またそのうち呼んで作ってもらおうと思ってるのに、来てくれるだろうか……

アンジェラは夕食の時にまた来ると言って、マヨネーズをボール1個まるごとお土産に持ち、子供達と帰っていった。

午後はサティのお勉強タイムである。

お皿に砂を入れ、棒で字の練習をする。まずは文字を一通り教えて、それから絵本を開いて単語を少しずつ教えていく。エリザベスも見に来て勇者の物語があるのを見つけると読み始めた。7巻を読んでいる。

サティが書き取りの練習をしているのを見ながら、ちょっと文章が古風で読みにくいと言ってみた。

「そうね。これはかなり昔に書かれた本だし、今風の文章で改訂されたのもあるわよ。でもわたしはこっちのほうが好きね。風情があるじゃない」

そういうもんか。

「わたし、7巻が一番好きなの。風メイジがね……」

あ、ネタばれすんな!

「あら、そうね。ごめんなさい。今どこを読んでるの?最初?2巻あたりからもっと面白くなってくるわよ」

ほー。がんばって読んでみるか。でも不思議な感じだ。神様が神託をして魔王討伐を命じるとか、まるっきりファンタジーの物語なのに実話って言うんだぜ。まあここがファンタジーな世界ではあるんだけど。神託を出した神様ってやっぱり伊藤神なのかなあ。

サティも勇者の物語に興味がでたみたいなので、切りのいいところで絵本は終了して、また椅子をくっつけて勇者の物語を最初から読み聞かせている。エリザベスも本を読むのをやめてそれを聞いている。まったりとした時間が過ぎていく。

疲れてきたので勉強を打ち切る。あんまり詰め込んでもよくないしね。居間に移動し、サティに練習がてら剥いてもらった果物をかじる。かなりがたがたな形になったが、指を切らなかっただけよし。皮剥きって手元がすごく怖いんだよな……

ソファーにエリザベスとサティを両側にはべらせて座る。エリザベスは微妙な距離を取っているが、サティはぴったりくっついて来ている。果物をはい、と手渡してくれるサティ。せっかくだからあーんして欲しいところだが、こっちにはそんな文化はないんだろうか。エリザベスはまた眠そうにしている。そういえば昨日は雷であんまり眠れなかったんだろうな。

いつのまにかエリザベスは、おれの肩にこてんと首を預けてスースー寝息を立てていた。サティは家事をしに台所のほうにいった。どうせすることもないので、エリザベスに肩を貸しながらぼーっと考え事をする。

サティを買ってから数日、怒涛の展開すぎないだろうか。全裸をみたり、お風呂でラッキーイベントでそのあと背中を流してもらって。女の子がおれを巡って争いをしたり、2日連続ベッドで一緒に寝たり、肩を並べてぴったりくっついて本を読んだり。手料理をふるまってもらい、今またこうやって女の子がおれの肩にもたれかかって寝ている。こんな話を聞かされたらそれなんてエロゲ?って絶対言う。日本では年齢=彼女いない歴でゲームやアニメばかりで2次元にはまっていたおれだが、リアルの女の子ってこんなにやわらかくていい匂いがするんだな。

時計を見る。10月10日。こっちにきたのが9月11日だったからちょうど1ヶ月か。異世界にきた当初はひどい目にあったりもしたが、ようやく報われた感がある。最初はなんとなく漠然とハーレムだって思ってたが、なんか具体的になってきた気がする。これぞ異世界でチートでハーレムだな!伊藤神、異世界につれてきてくれてありがとう。今夜の日誌にはたっぷりとお礼を綴っておこう。

いつの間にか寝てしまっていた。サティに起こされる。エリザベスも一緒に起こす。アンジェラとティリカちゃんがきていたが、気をきかせて2人をそのまま寝かせてくれたのだ。夕食は美味しそうなのが完成していた。から揚げもちゃんとついている。サティが一人で作ったらしい。よしよし、数日でずいぶん成長したな。えらいぞー。なでなで。

「えへへ。ありがとうございます」

午前中の訓練で疲れているはずなのにサティはよく働く。家事も丸投げで料理もだいぶ任せられるようになってすごく楽になった。

食事中、サティが読み書きの勉強をしてると言うとアンジェラが、

「じゃあうちにある本を持ってきてあげようか?本っていっても子供達が書き写したやつなんだけど。買うと高いでしょ?」

写本か。ここって著作権とかどうなってるんだろうな。勇者の物語みたいに何百年前のなら関係なさそうだけど。

「うん、高いね。じゃあお願いしようかな」

「明日にでも持ってくるよ」

「ありがとうございます、アンジェラ様!」

「わたしもおねーちゃんに本を持ってくる」

「ありがとう、ティリカちゃん。嬉しい!」

相変わらずティリカちゃんに愛されてるな。

食事が終るとお風呂である。最近はこの時間が一番好きだな。女の子たちの風呂上りをたっぷり鑑賞できる。もちろんじろじろは見てないよ。ちらちらとは見てるけど。座る位置はもう定番になっていて、アンジェラは自然に隣に座ってくる。ふわっと石鹸のいい香りがする。豊満なお胸が服の下からはちきれんばかりだ。眼福。

サティは風呂からあがるとティリカちゃんに絵本を読んでもらっていた。

「ティリカちゃんに読んでもらってるのか。よかったなサティ」

「はい」

「わたしがおねーちゃんに字を教える」と、こちらを睨むティリカちゃん。いや、いつものぽーっとした目で全然にらんでないんだけど、なんかそんな感じがした。しばし睨み合う2人。サティはおろおろしている。

「じゃあ2人で教えるか。そうすればきっとすぐ本も読めるようになるよ」

「そ、そうですね」

「うん。それでいい」

納得してくれたようだ。

エリザベスと入れ替わりでお風呂に入る。お湯をかぶり頭を洗う。そして扉が開く。もちろん入ってくるのは一人しかいない。前も頭を洗ってるときだったな。これ絶対タイミング狙ってやってるぞ!

「マサル様、頭洗いますねー」

なすがままである。

「あの……ティリカちゃんは?」

「行ってくるといいって」

防波堤になってねええええええええ。すすめてどうするよ!

「アンとエリーは?」

「あの、お2人はその、お話を」

また何か口論してるのか、あいつら。ううう、もういいか。気持ちいいし。気持ちいいし!

さすがに前を洗ってもらうほど吹っ切れなかったので自分で洗い、2人で湯船に浸かる。背中を向けるのもどうかと思ったので横を向き、なるべくサティのほうを見ないようにする。サティはぴったりくっついてくる。裸で!この子は隙あらばくっつこうとする。寝るときとか。歩くときでも手をつないでくるし。我慢しないと。お風呂の外には3人も女性がいる。手を出すのは論外だ。ちらりと横を見ると目が合い、にっこりと微笑むサティ。

いかん、もう限界だ。のぼせそう。湯船からあがる。サティももちろんついてくる。サティのほうを見ないようにして、体もろくに拭かず、服をきて居間に撤退する。ソファーにいかず、テーブルのほうに座る。下半身がおっきしてるもの。テーブルで隠さないと。サティも水をぽたぽたしながら追いかけてきた。

「マサル様、きちんと拭かないと!」

サティに捕まり頭を拭いてもらう。

「あら、あなたたち。一緒にはいってたの?」と、エリザベス。

「ああ、うん。背中とかをね。流してもらってて……」

「わたし頭とか体を洗うの得意なんですよ!」

「おねーちゃんは洗うのとっても上手」

「へえ、いいわね。次はわたしもお願いしようかしら?」

いつもはナーニアに頭を洗ってもらってるらしい。

「はい!アンジェラ様もどうですか?」

「え、ええ。そうね……」

なんかもう明日からも当然のように、一緒にお風呂に入る流れになってないかこれ?

その夜はもちろんサティとティリカちゃんと一緒に寝た。さすがにエリザベスは来なかった。