作品タイトル不明
253話 エルフの里にて
「忙しい。忙しくない?」
忙しくなりそうだとは獣人の里建設を決めた時からわかっていたのだが、想定よりも仕事が増えている。それも相当量だ。獣人の里建設がメインのはずが、帝国やエリーの実家、ヒラギスでも何かと新しい仕事が発生する。
「わたしはずっとこんな感じかしら?」
エリーにそう言われてはそれ以上弱音も吐けない。昨日は朝から査問会、鉱山で鉄の増産計画と新規商品開発。お義兄さんとこれも新規の鉱山開発の相談。そしてヒラギスに戻ってから獣人の里での城壁建設作業の再開。すべて終わった頃には陽がとっぷり暮れていた。エリーはその間ずっと俺と一緒だったし、サティたちやエルフの護衛も当然ながら付きっきりである。
「そうだな。俺一人忙しいんじゃないもんな。ここまで忙しいのは今だけだろうし、もう少しがんばるか」
鉄筋関連の処置と鉄の増産体制が整えば、獣人の里も徐々に人が集まって労働力も足りてくるだろうし、楽になるはずだ。ヤマノス村も俺が手をかけるのは最初だけだったし、軌道に乗せてしまえば、あとはチェックと簡単な指示くらいしかしてないものな。
「でもマサルはもうちょっと休んだほうがいいわよ。わたしと違って修行もあるでしょ?」
それだ! 剣術修行がハードすぎるのだ。ちょっとだけと思っても師匠が強制的にハードモードをぶち込んでくる。別に普段の修行をサボってるわけでもないのだ。俺が言わなくても、サティやシラーちゃんから手合わせを毎日頼まれるし。
だがそれにしても剣もなんだか強くなってきた手応えがあって、もっと修行時間を確保したい気持ちもある。
「それとマサルの場合は、一番は夜の時間よね」
今しがた自分も散々楽しんで満足しておいて言うセリフか!?
「それは、絶対に、ダメだ!」
それを減らすなんてとんでもない! むしろ人数が増えた分、倍……三倍は確保したいくらいだ。
「はいはい。じゃあ昼間のうちにがんばって働きましょうね」
そう言って、エリーは目を閉じてもぞもぞと寝やすい姿勢を探し始めた。三回戦目はなしか。エリーは寝付きがいいし、寝ようとするところで起こすと怒る。
がんばって働いてどうにかなるんだろうかと、俺もエリーのすべすべの体を抱き枕代わりにしながら目を閉じる。俺が動くと却って仕事やトラブルが発生している気がするんだが、かといって何もしないで状況がよくなるわけでもない。
だがまあ少なくとも今はこうして、睡眠時間を多少は削るにせよ、楽しむ時間を持つ余裕くらいはあるのでよしとするべきなのだろう。
「では参ろうかの?」
翌朝。忙しさと無縁のように見えるリリアがそう言って、エルフの里への転移の詠唱を始める。ようにじゃないか。こいつは俺よりやりたいように生きている。仕事は他人に指示するものと思っている節があるし、あくせくした様子は一切見えない、実に優雅な生活をしている。
俺やエリー、ティリカやアンにはきちんと仕事があり、エリーたちは本日は別行動。前衛組はその護衛と毎日の修行だ。俺の今日の護衛は一日エルフの里ということで、サティのみである。
普段俺たちが色々と動いている間、リリアは一体何をやっているのか? 面白そうなところへと付いて回っているだけである。主に俺のところかな。
ただ、エルフの王族として、要所要所で重要な役割を果たしているのには間違いない。ヒラギスしかり、帝国しかり。偉い人相手や公式の場ではエルフの王位継承権二位の王女という肩書は便利だし、それを遠慮なく振るう。
それにエルフへのカリスマは俺に匹敵するものがある。エルフはヒラギス戦でも重要な役割を果たしたし、俺への支援とバックアップはもはや無くては行動に支障がでるレベルで必須となっている。そしてリリアがいるとエルフへの話が早くなる。
なによりリリアは戦いを恐れない。いざという時は命も懸ける。だから平時に遊んでいるように見えても、誰も何も言わない。
「おお、これはリリ様と皆様方!」
ヒラギス終盤の経験値で空間魔法をレベル4まで習得して、こうして転移係もやることもある。ルチアーナがだいたいやってるからそれもたまにだけど。俺もリリア程度の仕事量が良かったなと、愚痴ったところで俺の仕事は減らないし、リリアも実務的なお仕事はしないしたぶんできない。
「まずは城壁じゃな。進行具合はどうなっておる?」
リリアが偉そうにエルフに指示を出し、エルフもそれに当然のように応じる。実際王女様だし偉いしな。その上リリアは生まれた時に精霊に祝福された特別なエルフだった。それが神の使徒を連れ帰り、エルフの里を救い、加護の強大な力を得た。
エルフの救世主。英雄である。三〇になっても無職だったリリアが大した出世だ。
リリアのフライで城壁へと移動する。これもリリアの大事な仕事だ。王国からのヒラギスやエリーの実家方面へはリリアのフライがずいぶんと役に立ったし、楽をさせてもらった。
そもそも俺との出会いが、エルフの里の危機に、精霊のフライで非戦闘員を大量に輸送して脱出した時だったのだ。普段はやりたいようにやっていても、やる時はやる。そんなエルフである。
そしてもう一組。用事のある時以外は俺に随伴することが多いのが加護持ちの三女シャルレンシアを筆頭にしたエルフ三姉妹である。この娘たちもエルフの里では大人気で、今も結構な人数のエルフが群がっている。俺たちの情報はこうやってエルフに流れていくのだろう。
むろんリリアのように普段から暇にしているというわけではなく、いまはヒラギス中の魔物の残党狩りをやっている最中である。探知機代わりにウィルを使っていたのだが、帝国に帰ってしまったので、稼いだ経験値で探知を取って、引き続き順調にレベルを上げている。転移を取るのが目標である。
今日はエルフの里で俺が一日過ごすというので、狩りをお休みして付いてきている。
「元からある城壁の補強工事は三割といったところでしょうか。新規に造る防壁のほうが今工法の細部を詰めているところで――」
エルフの里は元からある城壁の外に、エルフの里を拡げるように新たな城壁を築くことにしたようだ。まったく新しい工法な上、かなり大規模な工事となる。鉄筋のアイデア自体はシンプルだといっても研究や検討すべき事は多く、実際の建設に関してはまだ慎重に進めているところだという。
鉄筋のサイズ、形状、配置などもむろんであるが、城壁を支える基礎工事に関して、どの程度の深さ、頑丈さでやるべきか。コンクリート工法と土魔法では、強度面でどの程度差が出るのか。そのあたりが課題のようだ。
ただ補強に関してはとりあえずやってしまっているようだ。鉄筋工法の基本を押さえれば、大雑把に造ってしまっても、そう大きくは最適解からは外れまいとの技術者の考えだ。万一不具合があっても、土魔法を使えば改修も難しくはない。
現場を見学して、だいたいのやり方を教えてもらい、現段階での技術的なことをまとめた書面から、補強案の一つを見せてもらう。
「ヒラギスの砦の防壁なら、このあたりが適当でしょうか」
土魔法でぱぱっと造ってしまえばと安易に考えていたが、鉄筋を配置するのが俺の場合、一番の難問になりそうだ。少ない鉄で強度を極力確保するためには適当に埋め込むというわけにはいかない。鉄筋を組むこと自体も、城壁のサイズ次第で相応に大掛かりとなる。
ゴーレムでやるのはちょっと無理か。力仕事はともかく、細かい作業には向いてない。
「専門家の育成が必要だな」
魔法で効率化できるにせよ、現場に鉄筋職人が必要だ。獣人の建築系の職人を探して習得させることにして、まずはその指導する人員が必要となりそうだ。
「人員ならこちらからいつでも派遣できます」
「うん。それとこのあたりの資料をまとめて、手順書を作ってもらえるか? なるべく素人にもわかるように」
もちろん直接の指導が一番いいが、マニュアルがあれば、指導の手間もいくらか省くことができる。味噌や醤油もマニュアルを作って最初の指導だけして、後はぶん投げてなんとかなった。
「手順書ができたら、ヒラギスのほうへ送っておいてくれ。実際の作業に関しては鉄の確保がこれからだし、ヒラギス側にまだ話が通ってないから、そのへんの目処がついたらまた連絡する」
鉄筋が終われば次は毒耐性スキルのテストである。
「これがガスマスクの試作品?」
「取り急ぎ作ってはみたのですが……」
しっかりとした作りに見えるが、テストもまだなのだという。まあ昨日の今日だしね。実際に装着してみると、フィット感は悪くないし呼吸もちゃんとできる。
「例の麻痺毒は?」
「こちらです」
そう言って小さなツボを渡される。
「原液のまま飲めば、ほんの一滴で効果があります。集団が相手なら、熱を加えて沸騰させて拡散させます」
ただ匂いが結構あるのだという。ダークエルフの使った麻痺毒はそのあたり、何かの処理がされていたのだろうということだ。
「じゃあ試すか」
麻痺毒と名は付いてはいるが、危険はないはずだ。ダークエルフの襲撃時に麻痺毒を食らった者で後遺症が出た者は皆無だったし、この毒を用意したエルフも過剰に摂取でもしない限り問題はないと保証をしてくれた。
自分の周りを土壁で三方向囲う。開いた場所はリリアの風精霊で封鎖して、観察と救援用である。ガスマスクはしない。
リリアたちの見守る中、少量の麻痺毒を慎重に小皿に垂らし、火魔法で熱を加える。すぐにあの時嗅いだ匂いがしたと思ったら、身体中を痺れが走った。
「どうじゃ?」
じっと動かない俺に心配になったのかリリアがそう聞いてくる。
「し、痺れて動けん」
俺の返事に、おおー、と何故かエルフたちから声があがる。
「その麻痺毒を食らえば、立っていることすら困難なのです」
怪訝そうな俺に一人のエルフがそう説明してくれた。そういえばそうだったな。襲撃の時、立っていたのは軍曹殿のみ。その上、戦っていた。さすがに動きは悪くなってはいたが、軍曹殿は天然物の毒耐性持ちだったのだろうか。
試しに剣を抜くために動こうとするだけで、体中を痺れが走る。もはや激痛といっていいレベルだ。それでもなんとか剣を持つところまではできたが、とても戦える状態じゃない。この程度では一瞬でダークエルフに始末されてしまう。
だがあの時動けもしなかったのが、剣を抜けるところまで動けるようになった。
動けないわけじゃないんだ。動くと全身を痛みが駆け巡る。最小限の動きで剣を上げ、ゆっくりと振るう。それだけで脂汗が体中から噴き出す痛み。
剣を一振り。全身の激痛に思わず剣を落としてしまう。防御くらいならなんとかなりそうだし、攻撃は諦めたほうが良さそうだ。
落とした剣をそのままに、腰裏の小さなポーチに手を突っ込むとポーションを取り出す。
出したのは普通のポーションだが、解毒用のも入れておけばいい。
そして魔法。火は前よりも簡単に出すことができた。痛みはあるが、体を動かした時ほどじゃない。
火が出せるなら風も当然出せる。そして麻痺毒を吹き散らかした。
「これ、どのくらいで毒が抜けるんだ?」
解毒魔法をかけようとするが、魔力の集中は痺れでまともにできない。前の時はアンにすぐ解毒魔法をかけてもらったから不明である。
「取り込んだ毒の量に依るようですが、長いと 四半刻(30分) 程度痺れが残るようです」
思ったより長いな。しかし徐々に痺れが治まる感じか? もうすでに魔力の集中時の痛みが減っている気がする。
毒耐性、微妙に効果が出てるな。ポイントの割りにしょぼいとこれも思ったが、この程度でもあらゆる毒を軽減するなら悪くない。生存確率を上げる助けになりそうだ。
そして十分痺れが抜けたと感じたところで解毒魔法を発動させる。たぶん五分程度。
火をぶっ放しつつ、風で毒を排除し、解毒ポーションを飲む。これで同じ襲撃法なら対処できそうだ。
「せっかくだしガスマスクのテストもしておこう」
こっちはさすがに毒は使わないでも試せる。何か臭いのきついもので試せばいいのだ。
麻痺毒を提供してくれた錬金術師が、かなり刺激臭のある液体を持ってきてくれたので、ガスマスクをして、呼吸を繰り返す。
結果、多少は防げる程度。一分もしないうちに臭いが侵入してきてしまう。だが試作品で、あの麻痺毒を一分でも防げるなら上々の出来だろう。
「基本はこれで良さそうだ。あとは改良してどこまで性能が上げられるかだな」
フィルター素材を色々と試すのと、あとはデザインだな。普段使いでもなんとか目立たないようなら助かるのだが。
この世界ではフルフェイスの兜でうろうろしているのも居ないでもないから、そのあたりにデザインを寄せればなんとかなるだろうか? ごつめの兜。宇宙服みたいな感じ? フィルター部分が口の前にあるから、異様なのであって、たとえば頭の後ろとか首のあたりにでも配置できれば、常時ガスマスクを付けていても……それほど場違いには見えないかもしれない。
とりあえずアイデア出しだけして、これもあとはお任せである。
「良い品が出来るのを期待しているぞ」
そう激励して、現段階の試作品をいくつか作って鉱山に持っていってもらうようにも頼んでおく。
次は鍛冶屋である。俺が拉致監禁されている間に俺の装備が完成していたようだ。
「耐火仕様がご希望ということで、強化した部分が少し重くなってしまいましたが……」
実際につけてみるが、違いがわからない程度だ。
「重さは問題ないな。耐火性能はどの程度だ?」
「兜は大幅に向上しています。他はつなぎや裏張りを耐火性の高いものに変えたくらいですね」
元々質のいい鉄を使っていて耐火性能は高い鎧だったようだ。ただヘルムのデザインに使った一部の素材が熱に弱く、俺が至近距離で放った火魔法で歪んでしまった。
「これ以上性能をあげるとなると、やはり重量が難点となりましょう」
重くするとどうしても速度は落ちるだろうし、長期での装着も考えると重量でスタミナが削られるのはうれしくない。
「じゃあこれでいこう。同じのを予備にもう一セットと、それと普段使い用のも一セット頼めるか?」
いま作って貰ったのはエルフの守護者モードの派手なやつ。それとは別に冒険者として行動する時の鎧の傷が、少々目立つようになってきた。主に手合わせが原因である。
「いつもの地味めのやつですね。素材は確保してあるので、二、三日あれば。それとこういうのも作ってみたのですが」
そういって出されたのは派手なフルプレートメイル。
「サイズ調整をしたいので試着だけでも……」
ちょっと嫌な顔をした俺にそう勧めるので試着だけしてみる。エルフの鍛冶屋には俺の装備だけじゃない、前衛組の分は全部タダで作ってもらってるしな。
「おお。似合うではないか!」
リリアやサティは大喜びである。鎧はすらりとスタイリッシュなフォルムに、青系統のカラーリングでまとめられ、いかもに勇者といった風情でたしかにカッコいい。
「ぴったりですな! もちろんこれはこちらで勝手に作ったものです。使う使わないはマサル様にお任せしますので、ぜひともお持ち帰りください!」
そう言われては突っ返すのも悪い。装備箱に入れてアイテムボックスに置いておけば邪魔になるわけでもないし、何かの役に立つかも知れない。
装備箱を出したついでに、傷だらけになったほうの鎧も返却しておく。といっても鍛冶屋でダメージチェックを受けた後は、リリアが回収していくのだが。
「シャルレンシアよ、任せたぞ」
そうリリアが命じて、本日はシャルレンシアたちが鎧を持っていくようだ。とうとうグッズ回収まで配下に命じるようになったか。
「俺の持ち物収集ってリリアが趣味でやってたんじゃないのか?」
「趣味……まあ趣味といえば趣味なのじゃが……」
珍しくリリアが言い淀む。
「マサルは長生きせぬであろう?」
お昼休憩に入ったところで、そんなことをリリアが言い出した。ちょっと驚いたが、エルフの言うことだった。確かにエルフに比べれば俺はひどく短命だな、と頷いておく。
「考えてみよ。サティたちがマサルの半分も生きないとしたらひどく悲しいであろう?」
サティが特別短命な種族で俺の五分の一程度、二〇年で寿命が来るとかなら、たしかに悲しすぎる。
「マサルが死んで、妾はそのあと数百年を生きるのじゃ。そう考えると寂しくて悲しくて泣きそうじゃった」
それで祖母に相談したのだそうだ。両親が忙しいリリアは祖母に育てられたのだという。言葉もそこから伝染ったと言っていた。
寿命の短い種族との付き合いに関して、祖母はいくつか対応策を教えてくれたのだという。短い時間をできる限り楽しんで過ごし、その後のことは考えない。寿命の差はもう仕方ないと、すっぱり割り切る。
割り切ることができないなら、その人の子孫の面倒をみたり、思い出の詰まった家を守ったりする。肖像画や記念の品を残しておくのもいいだろう。
それでリリアは俺のグッズ収集を始めたのだという。俺の死後、せめてもの縁となるように。俺のことを一つたりとも忘れないように。
エルフ同士ではそんなことはしないそうだ。同時期に生まれると下手すると五〇〇年ほど、顔を突き合わせることになる。それでお互いを十分深く知り合えるし、物や記録を残す必要もない。覚える価値もない相手なら、なおさらその必要はない。
「でも二〇年で世界が終わるかもしれないんだぞ?」
「どの道戦っておれば明日にも死ぬやもしれぬ。だからといって一年後、一〇年後を考えないで良いというわけでもあるまい?」
ごもっとも。
「記憶はいずれ薄れるかもしれぬが、記録として残せば、エルフの里が存続する限り、何百年、何千年と受け継がれることじゃろう」
そうまで言われると止めてくれとはとても言えない。
「いや、待った。シャルレンシアたち、なんでもかんでも俺の記録取ってるよな?」
「そうじゃな。出来得る限り事細かくじゃな」
「たとえば夜のスケジュールなんかも……」
「うむ。とても大事な記録じゃろう?」
さすがにきまり悪そうにリリアが言う。性的なことに比較的寛容なエルフといえど、性生活を記録して人に見られるのが恥ずかしいくらいの認識は当然ある。
「あとでチェックしてまずそうな記録は封印する」
記録を取るなとか破棄しろとは言わないが、せめて俺が生きてるうちは誰の目にも触れないようにしてもらいたい。
「致し方あるまい。それはそうと夜のスケジュールといえばじゃな、そろそろシャルレンシアも加えてやらぬのか?」
あー、うん。そうだなあ……
「ヒラギスが片付いてからと言っておったじゃろう? それなのに一向に呼び出しがかからんとひどく嘆いておったぞ」
三姉妹とも俺のハーレムに入る気まんまんなのだが、シャルレンシアはちょっと幼いのだ。上の二人はいい。適齢期だ。
「別に子作りしろとは言っておらぬ。一緒に寝てやればシャルレンシアも満足するであろう」
ちょっと短絡的に考えすぎてたかもしれない。お風呂に入ったり同衾したりする程度なら特に問題もないだろうか。
「そうだな。そうするか」
「では今日は里に泊まっていかぬか? 大歓迎じゃぞ」
「じゃあ残りの仕事もがんばって片付けるか」
あと残すは空間魔法の指導だけ。ここ数日忙しかったし、たまには夜の運動もなしでゆっくり休むのもいいかもしれない。