軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

127話 剣闘士大会予選、初日

体がとても重い。三日間、限界まで修行に付き合って失った体力は、一晩寝た程度では回復しない。俺でこれならずっと戦っていたサティはもっと辛いだろう。

「サティは大丈夫か?」

「万全ではありませんけど、平気です」

朝一でウォーミングアップに付き合ったが動きに別状はないようだったし、予選は問題あるまい。

初日は三戦勝てば勝ち抜けである。二回負ければ敗退。一回だけなら負けても予選初日は通過できる。それに本戦と違って予選は倒れるまでということもない。有効打があれば審判による判定勝ちというルールである。参加者が多く、あまり一つの試合に時間はかけられないということらしい。

予選開始まではまだ時間があり闘技場周辺は人がまばらだったが、組み合わせを見るために沢山の人が闘技場外にある掲示板には詰めかけていた。もちろんほとんどが参加者たちであろう、むさくてでかい野郎どもばかり。

しかしそんなところにわざわざ割り込む必要もない。鷹の目があるし。

「ありました、あそこ」

「あれか、777番。いい数字だな」

こっちでは縁起がいいとかそういう話もないようなのだが、とても覚えやすい数字だ。

777番で第十六試合場。このあとは受付でゼッケンをもらう。試合が始まるまでに支給の装備を借りるか、持ち込み装備の確認をする。

勝者を予想する投票券は今日の戦いで実力を見極めてオッズを決め、明日からの発売となる。そうするとサティで大穴を狙うのは無理そう。残念だ。

一旦みんなのところへと戻り、サティの番号と試合場所を告げ、皆の激励を受けて会場へと向かう。行くのは俺とアン、サティの三人だ。

俺とアンは神殿からの治癒術師のボランティアで会場入り。他のみんなは王都のエルフさんが確保してくれたチケットで観戦となる。

大会は神殿も全面協力しているのだが、ただでさえ治癒術師が足りない所に祭りで王都に人が流入するので通常業務も普段より増える。周辺地域からの応援も頼むが、祭り期間は人が足りたことがないという状況で、ボランティアも大歓迎ということらしい。

サティがゼッケンやら装備やらのチェックを終え、会場に入るのを確認してから俺とアンも別ルートで会場に入り、今日のお仕事の簡単な説明を受ける。神官服を着てしれっと紛れ込んでるのでまさか仲間じゃないとは思われてないだろう。ちゃんと上の方の人に話は通してるけど。

基本は各会場にいる審判の指示に従って目の前の怪我人を治していればいいようだ。

俺は外部からのお手伝いということで、フリーで手の足りないところの補助にしてもらった。サティのところへ行けないなら手伝った意味がない。

アンと別れてサティのいる場所を探す。

目当ての第十六試合会場は闘技場の中程の一画に設置されていた。ロープも何もない、地面に線が引かれただけのプロレスやボクシングのリングより少し広いくらいのスペースである。

一つの会場で約五〇人ほど。徐々に試合場の周りに選手が集まってきて待機している。

俺も大人しく待機しておくことにした。

サティの試合予定の場所には一人の中年の神官の男性が居たので挨拶をして、アイテムボックスから椅子を出して隣に座る。

「おや? ここの担当は私のはずですが」

「俺は予備の人員なんで、どこかで人手が足りなくなったり大怪我の人がいたら応援に行くことになってるんです」

「なるほど。私はヘイゼル村出身のケアリスと申します」

「マサルです。シオリイの町から来ました。冒険者です」

「冒険者ですか?」

嫁が神官で神殿には世話になっててよくお手伝いもするので、仕事着として神官服も頂いたと説明すると特に疑問もないようだった。俺も冒険者ギルドから派遣されたこともあるし、別に珍しい話でもないのだろうか。

しかしである。

「シオリイの町といえば仮面の神官の話を何かご存知ではないですか?」

「あー、噂程度には……」

話を聞いてみるとまたちょっと尾ひれがついていたので軽く訂正しておく。

「俺が聞いた話だとそこまでじゃなかったようですよ。実際のところは――」

「はー。まあ現実はそんなもんなんですかね」

野ウサギにせよ仮面神官にせよ、この世界では七五日で噂が終息するってことがないのだろうか。まさか帝国まで噂がいってないだろうな……?

ついでに初めてだと言って色々と教えてもらう。

思ったよりも現場はきついようだ。予選といえども死人が出ることもあり油断できないらしい。

「即死されてしまいますと治療もね……」

何件か死亡例を教えてもらった。武器で貫かれたり、首の骨が折られたり。実体験を詳細に語られると非常にグロい。

上位者ともなれば武器一本で大型のドラゴンを討伐してのける力の持ち主がいる世界である。人間の体など脆いものだろう。

もちろんこれは試合であり、お祭りであるから、故意に対戦相手を殺したりしないようにと注意はあるのだが、本気で戦うのだ。エキサイトして加減が出来ないこともあるという。

サティが心配になってきた。大丈夫とは思うが万一ということもある。潜り込んでおいてよかった……

神官さんとだべってるうちに試合が始まった。

サティの出番は中盤くらいだろうか。ちょうど俺とは反対側に他の選手に混じって地面にちょこんと座り、時折ちらちらとこちらを見る以外は誰とも話さずに、体力を少しでも回復させるためにじっとしている。

試合は話通り激しいものだった。実力差があればあっさり判定が下り終わるのだが、互角だと審判も判定が付けにくくなる。革防具に鉄剣で、双方相手を殺しにかかる勢いで戦うのだ。骨が折れ、血しぶきが舞う。怪我人続出である。

だがレベル的にはそんなに強いのもいないようだ。さすがにクルックたちでは勝てそうもないレベルではあるが俺やサティの敵ではない。

しかしのんびり見てるわけにもいかなくなった。軽傷者は交互に、重傷者は二人がかりで素早く治療していく。

隣の試合場からも応援を頼まれ、かなり忙しい。

そして戻ってくるとちょうどサティの出番。

「今度はえらく小さい娘ですな」

「でも相手もひょろっとしてあまり強そうには見えませんね」

相手選手の776番は背中しか見えない。サティも今いる場所だと隠れて半分くらいしか姿が見えなかった。

「ええ。どちらも怪我がなければいいんですが」

思ったよりずっと怪我人が多い。みんなガチで戦っている。死者が出てないのが不思議なくらいだ。

もっと試合がよく見える位置に移動しようとしたところで試合開始の合図が告げられ、直後に勝負ありの声が告げられた。一瞬で決まったようだ。

まあサティなら余裕だな。

「勝者、776番!」

776番……776番!?

サティが青ざめた顔でリングから出てこちらに歩いてきた。

「負けてしまいました……」

マジか。

「怪我は?」

「治療の必要のない程度です」

「まだ試合はあるし、一応ヒールをかけておこう。それで何があった?」

「開始の合図の後に、気がついた時には一撃もらってました」

「お知り合いですか?」

「ええ。パーティを組んでるんです」

「この大会はレベルが高いですからね。あまり気を落とさずに」

サティがいきなり負けるとかレベルが高すぎだろう!?

すぐに776番の二戦目が開始された。

開始の合図とともに776番はスルっと相手選手に近寄り、そして相手は反応する間もなく、剣を首につきつけられていた。確かに妙な動きだが、不意を打たれるような早さでもない。しかし相手選手は何が起こったかわからないのかきょとんとしている。

「勝者、776番」

再び776番の勝利が告げられた。

776番がこちらを振り向いて見た。目が合う。背筋がぞわっとした。ヤバイ。強そうに見えないとかとんでもない。30歳くらいだろうか。柔和そうな顔をしている。しかし立ち居振る舞いには隙がない。

三戦目。今度は普通の動き。だが一撃であっさりと相手を下していた。それも寸止めで、対戦相手をまるで相手にしていない。

一見してさほど強そうにも見えない。が、弱そうにも見えない。強さが計れない。

試合が終わった776番がこちらへと歩いてきた。

「お嬢ちゃん、怪我はなかったか? 当てるつもりはなかったんだけど、思いの外動きがよくてね」

「それは大丈夫ですが……」

「何で負けたかわからない?」

「はい」

なぜサティは反応できなかった? さっきの試合相手もだ。どこかでそんな話を聞いたことが……

「無拍子打ち」

「ほう?」

「予備動作をなくした攻撃で相手の不意をつくっていう感じの」

「神官さん大正解だ! いやあ、神官にしとくのは惜しいね」

漫画とかだけの話だと思ったが、実在したのか。

「そんなに簡単に種明かししてもいいんですか?」

「奇策の類だよ。何度も通用するものじゃない」

つまり種明かしをしたところで普通に戦っても勝てる自信があるのだろう。実際あっさりと勝っているしな。

「そう睨まない睨まない。お嬢ちゃんは強いから、予選は大丈夫だよ。もし明日も勝ち残ってたら本戦で会おう」

そういって776番は立ち去った。

「体調さえ万全なら……」

悔しそうにサティが言う。俺はああいう底の見えない相手とはやりたくないな。

「世界は広いな」

やっぱり出なくてよかった。きっとあんなのがゴロゴロいるんだ。

二時間後くらいに再びサティの出番が回ってきて、サティは残り三戦、無難に相手を下して終わった。やはりサティは普通の選手とは格が違う。スピードが段違いだ。

776番はたまたま強い相手だったのだろう。問題はその強い相手がどれだけいるのか?

「サティはどうする? みんなと合流しておくか?」

「ここで一緒にいます」

サティの試合が終わったとて、俺は帰るわけにはいかない。ここの試合会場は進行が早いようだが、場所によっては長引く試合があったりしてまだまだ試合は残っている。

見学がてらサティも付き合ってくれたが、予選の後半ともなると残っているのは一敗して三連勝勝ち抜けができなった者ばかり。サティのライバルになりそうな相手は見当たらなかった。

そして午後遅く、全ての試合が消化され、一次予選が終わった。

サティを待たせて神官たちが集まっている会場の一画に俺も紛れ込む。アンは……いた。

「本日はお勤めご苦労様でした。皆様のお陰を持ちまして、初日は一人の死者も出すこともなくつつがなく終了致しました。明日からは試合数が減りますので、特に指示がなければ応援の方々はこれにて大会での業務は終了となります。明日からの試合を観戦をしたい方はこちらで特等席を確保しておりますので――」

特に何も言われてないので俺の出番は今日だけのようだ。まあ思ったより時間も取られて面倒だったので、そのほうがいいのだが。

お偉いさんらしき人の話を聞きながらアンに近づき声をかける。

「ああ、マサル。お疲れ様。サティはどうだった?」

神官の輪から外れてサティのところへと移動しながら話をする。

「一敗はしたけど予選は通過した。もちろん怪我とかは一切してないよ」

「負けたの!?」

「それが一人強いのがいてさ。不意打ちみたいな感じで」

「やっぱりそう簡単にはいかないんだね」

サティがこっちを見つけて駆け寄ってきた。

「アンはこのあとは何か?」

「私も今日でお仕舞いだから特に何もないわね」

「じゃあ帰るか。今日もエルフさんが豪華夕食を用意してくれてるし」

みんなは既に帰宅してるはずだ。用事もないならまっすぐに帰ったほうがいいだろう。いや、ギルドにちょっと寄って、軍曹殿に今日の報告とかもしておかないとな。聞きたいこともあるし。

そんなことを考えながら闘技場の出口に向かおうとすると、アンジェラ! と声がかかった。見ると神官の女性がこっちへと歩いてくる。小柄でふわっとしたくすんだ色の金髪の天然パーマで、つぶらな瞳の可愛らしい女性である。

「知り合い?」

「ローザ・ベルトラーミ。神学校時代の同期」

「お久しぶりね、アンジェラ。そちらの方は?」

「これはマサル、私の旦那。こっちはサティ。大会参加者で同じくマサルの妻よ」

「あら? 冒険者と結婚したと聞きましたけど……」

「マサルは回復魔法も得意でね。今日はお手伝いに来てもらったの」

「ふうん……冒険者生活はどんな感じ?」

「まあ色々よ」

確かに色々としか言いようがないな。

「その辺り、ゆっくり話が聞きたいわ。このあとどこかでお食事でもどうかしら?」

「ええっと」

そう言いながらアンが俺を見る。

「夕食に誘ったら? それかどこか二人で行ってきてもいいけど」

「じゃあそうね、私の泊まってるお屋敷で夕食の用意がしてあるのよ。よかったら一緒にどうかな?」

「旦那さんのお許しが出るならお邪魔しようかしら」

「どうぞどうぞ。一人増えるくらい何の問題もないですし」

「そういうことでしたらお願いしますわ。そのお屋敷というのは……」

「見てからのお楽しみってことで、ね?」

アンも友人をちょっと驚かせたいようだ。

「まあよろしいですわ。私の方は最近は――」

そこからは近況報告という名の自慢話だろうか。同期の中では出世頭で王都の神殿で若いながら管理職らしき仕事をバリバリとこなしているらしい。

あとは他の同期の行方だとか、俺が聞いても仕方のない話。男の話は皆無だった。神学校のクラスは男女別だったらしいし、ローザちゃんも仕事にかまけて浮いた話はないようだ。

「それで今度大神殿に出向することになりましたのよ」

「すごいじゃない!」

大神殿というのはミスリル神国にある神殿の総本山。つまり本社に栄転、エリートコースだ。王国に戻ればいずれは司教や大神官へも登り詰めることが可能である、ということらしい。

「アンジェラも王都に残れば私みたいに出世もあったのに、シオリイなんて田舎に引っ込むなんてもったいないわ」

アンも同期では優秀だったようだ。

「いまはアッパス地方に住んでるのよ」

「アッパスって、辺境も辺境ではないですか!」

「どこだって住めば都よ?」

「それにしたって……冒険者なら別にどこででも生活はできるでしょうに」

「色々と偶発的な事情がね」

「ほんとに冒険者で大丈夫なの? アンジェラ、苦労してない?」

「それなりに危険はあるけど、うちのパーティは稼ぎもいいのよ? ほらこれ」

そう言って自分の冒険者カードを取り出して見せる。

「Bランク!?」

「マサルはAランクよ」

「すごいのね……ちょっと旦那さん、いいかしら? さっきから気になってましたの」

そういって俺の方へとローザちゃんが手を伸ばした。

いいわよ、とアンの許可が降りると、俺の肩に手を載せる。どうやら魔力を見たかったようだ。

「!?」

ローザちゃんはビクッと手を離し、今度は恐る恐るもう一度肩に手を置いた。

「驚いた?」

「す、すごいのね」

「エルフでもここまでの魔力持ちはいないのよ」

「いくらなんでもそれは言いすぎじゃないかしらね」

「アッバスにはエルフの里があるのは知ってるでしょう? 何人もエルフに会ったけど――」

二人の話を聞きつつ、途中冒険者ギルドに立ち寄り、今日の報告を簡単にしてから軍曹殿も夕食に招待する。軍曹殿は一度宿に戻って身支度を整えてから来られるそうだ。まあ貴族街のお屋敷の食事に、革防具のままというわけにもいくまい。

そして貴族街のエルフ屋敷へと到着する。このエルフ屋敷、エルフの魔導師部隊に加えて、使用人や王都に立ち寄ったエルフの立ち寄り場所、大使館のような機能もあるので、貴族街の屋敷の中でもかなり大きく立派である。

「エルフ屋敷……エルフに伝が?」

「まあね」

いつものように使用人や警備のエルフさんが勢揃いして丁重にお出迎えしてくれる。

「嫁の一人がエルフでして。あ、お客さんが二人増えるんですが、大丈夫ですか?」

「二名様ですね、かしこまりました。あと三〇分ほどで準備が出来るかと思います」

丁寧に頭を下げるエルフさんたちを背に居間へと移動する。

「ちょっとアンジェラ、まるで賓客扱いじゃないですか!」

「賓客よ。これは黙ってて欲しいんだけど、娶ったのってエルフの王族なの。すぐに紹介するわ」

「冒険者ってランクがあがるとすごいんですのね……」

「ランクもこの屋敷も単なる結果よ。結構命がけで頑張ったんだからね」

ローザちゃん、ここまでちょっと田舎暮らし、冒険者生活を哀れんでた風だったのが、予想外に豪勢な生活環境なのを見てさすがに感銘を受けたようだ。

「え、領地!?」

「そう。マサルは土魔法が得意で――」

居間に落ち着いて家族の紹介が終わったら今度はアンのターンである。

領地にエルフの王族との縁。領地には神殿を作る計画もある。そっちはほぼ確定だが、エルフ領にも神殿が進出したいという話もあるらしい。

エルフとは同じ神を信仰する者同士であるが、その形態はずいぶんと違う。エルフは神殿などは建てずに、精霊を通して神を信仰しているので、これまでエルフの里には神殿が建てられたことはない。

「もしエルフ領に神殿を建てられるなら、近年稀に見る大きな功績よ」

「まあアンがどうしてもと言うなら検討しないでもないがの。ご老人方がどういう反応を示すか……」

エルフのご老人方は長生きしてるだけあって、大変頑固なそうな。実務であれば介入もしてこないのだが、こと信仰ともなれば話は別だ。エルフにも神官に相当する人物はいるというし。

それに神殿の必要性という話もある。神殿の業務は信仰に関わる部分を除けば大きく分けて三つある。

神殿騎士団による武力。治療院。孤児院経営。どれもエルフでは十二分に足り、必要のない分野だ。

まあとりあえず話を持ち込むにせよ、彼らは急ぐ必要のない案件はじっくりと時間をかけて検討する傾向がある。すぐに何かが決まるということもないだろう。

「検討してもらえるってだけでもすごいわ、アンジェラ!」

「それで王都にいる間にラフォーレ神官長様と面談するお話もあって」

「ええ!? 私だってご挨拶くらいしかしたことがないのに」

王都の神官長は王国神殿の総元締めである。

何やら話が大事になっているが、神官の家族構成を神殿に正直に報告しないわけにもいかない。さほど秘密な話でもないし、もし黙っててバレては信用問題だ。まあ仮面神官の時みたいに、彼らは結束が硬く口も硬い。内密にとお願いすれば外部に漏れることはそうはないはずだ。

ほんとにあまり大事にならなきゃいいんだけど。

おしゃべりをしているうちに軍曹殿も来られて、食事が始まる。

アンのほうではアンの学生時代の話とかをしているようだが、こっちはこっちで軍曹殿と話がある。

「その技なら知っておる。後で対応の仕方を教えよう」

「は、ありがとうございます」

あの無拍子打ち。習得が難しい上に魔物には効果がない。だから冒険者ギルドで教えることもないんだそうだ。

「本格的に学びたいなら、やはりビエルスに行くのが良いと思うのだがな。祭りが終われば帝国に行くのだろう?」

「ええ、まあそうなんですけどね」

ビエルス、別名を冒険者の安息の地。そして剣士の修練場とも呼ばれる町である。軍曹殿の師匠、剣聖がいる場所だ。

「おお、剣の聖地じゃな。ぜひとも行ってみたいぞ!」

「私も行ってみたいです」

俺は気が進まないが、サティには必要だろうな。このまま強くなっていけば修行相手がいなくなってしまう。

「わかりました。機会を見て一度訪ねてみることにします」

「それがいい。きっと実りある経験になるだろう」

どうかそれが痛い経験とはなりませんように……