軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第48話 スキルが強くなる

「おっ、いた!」

森の小道を歩いていると、初めて見るカミキリムシがいた。

さっそく捕まえる。

ボワン!

図鑑No.65/251

名前:キンボシカミキリ

レア度:0

捕獲スキル:斬撃強化(小)

捕獲経験値:90

ドロップアイテム:魔石(小)

「斬撃強化(小)か……」

たしか、ほかのカミキリムシを捕まえたときにも覚えたスキルだ。

かぶってしまったな。

「念のため見てみるか……。ステータスオープン」

すると、俺のスキル欄は。

名前:夏目光一

………

スキル:【童心】、【ドロップアイテム強化】、【水耐性(小)】、【睡眠技無効】、【水上歩行】、【斬撃強化(小+)】、【蝶の舞】、【警戒】、【毒吸収】、【友愛の絆】、【空中剣技】、【神速】

「お! プラスがついてる……!」

【斬撃強化(小)】が【斬撃強化(小+)】になっていた。

「スキルって成長するんだな」

このまま成長すれば、(中)や(大)になっていくのかもしれない。

スキルがダブってしまったときは少しガッカリしたが、これならむしろダブらせていったほうが良いまである。

「よし、どんどんいくか」

魔生物図鑑をしまって、少し歩くと。

「お……!」

またまた見たことのない虫がいた。

捕まえよう。

ボワン!

図鑑No.68/251

名前:漆黒カナブン

レア度:0

捕獲スキル:防御+1(初回ボーナス)

捕獲経験値:75

ドロップアイテム:魔石(小)

「いいペースだな」

やはり「家」ができてから、虫の種類が増えた気がする。

プライベートダンジョンの本領発揮というところだろう。

だが、思いのほか、新しいカブトムシやクワガタは出現しないな。

「アイツら、基本的に夜行性だからな……」

このダンジョン内はいつも昼である。

青空と入道雲、セミの声が標準装備。

ダンジョン外で日が暮れていても、暗くなっていても、環境は変わらない。

「このダンジョンが夜になることはあるのかな……?」

一度、深夜に入ってみようかな。

最近は健康的な生活をしているから、起きている気力が出るかわからないけれど。

「……ま、今は昼を 堪能(たんのう) するか」

――俺は、木に止まっている 甲虫(こうちゅう) を捕まえながら、森の小道を抜けていった。

☆★☆

田園エリアにも、やはり新しい虫がいた。

オニヤンマに破かれた魔生物捕獲ネットも、いつの間にか修復していたのでバンバン使っていく。

「それっ!」

ボワン!

図鑑No.21/251

名前:トンガリバッタ

レア度:0

捕獲スキル:なし

捕獲経験値:3

ドロップアイテム:魔石(微小)

「せいっ!」

ボワン!

図鑑No.23/251

名前:ドロ色バッタ

レア度:0

捕獲スキル:なし

捕獲経験値:2

ドロップアイテム:魔石(微小)

「よし……!」

経験値は少なくても、図鑑が埋まっていくのは楽しいな。

達成感がある。

もちろんレベルが上がったり、大きい魔石がもらえるのは、もっと嬉しいけれど。

そして、あぜ道に一歩踏み出すと。

「ん……!?」

バタバタバタバタ……!

やたらと大きいバッタが飛びはね、10メートルは先に着地した。

あれは……。

「……トノサマバッタの仲間か」

ジャンプ力がすごい。

田んぼの上を跳ばれたら、捕まえるのに苦労しそうだ。

……だが、今の俺なら。

「残念だったな。直線的な動きなら対処可能だ。スキル【神速】発動!」

俺は、先ほどオニヤンマから取得したスキルを使用し、一瞬でバッタとの距離を詰めた。

「せいっ!」

ボワン!

図鑑No.22/251

名前:帝王バッタ

レア度:★★

捕獲スキル:脚力強化、集団襲撃強化

捕獲経験値:400

ドロップアイテム:魔石(中)

解説:バッタの王とされる大きなバッタ。ほかのバッタを引き連れて移動することもある。また、脚力が強く、羽をつかわなくても10メートルは跳べる。

「おお……!」

ステータスを見ると、《集団襲撃》が《集団襲撃+》になっていた。

詳しい強化内容は不明だが、威力が上がっているのは間違いないだろう。

ただでさえ切り札チックな強さがあるのに、さらに強くなるとは。

「いいね」

早く使ってみたい。

それにしても【神速】は速かったな。

俺の体感的には、ワープしたのとそう変わらない。

目にも留まらぬ速さというのは、こういうことを言うのだろう。

「はは……」

たまらず笑ってしまう。

自分でも信じられないくらいだ。

俺がここまで強くなれるなんて。

「探索者って、めちゃくちゃ楽しいな……」

人によっては、「死と隣り合わせ」だとか「まともな職業じゃない」とかいうけれど。

この自分が強くなる感覚を知ってしまったら、探索者をやめられるはずもない。

探索者になるという俺の判断は、間違いではなかった。

「さて、この調子でいくかな」

気分が乗ってきたぞ。

俺は気の向くままに歩き、虫を捕まえていった。

☆★☆

その日の夕方。

「ふぅ……」

俺はダンジョンから出て、自分の家に帰った。

今日は全力で遊んだ自信がある。

「あー、疲れた」

でも、楽しかった。

魔石もたくさん手に入ったし、収入としてもかなりの額になるだろう。

「ん……?」

スマホを手に取ると、LINKに通知がきていた。

【チーム:秘密基地のなかよし4人】から5件。

「あ……、もしかしたら、まなみんから状況を共有してくれたのかな?」

そうだったら、ありがたい。

俺も、おタマちゃんに状況を説明しなくちゃいけないし、【友愛の絆】の効果もみんなに共有しなくちゃと思っていた。

どんな内容が話されているのかな、と思い、アプリを開いてみる。

すると。

まなみ:アタシ、プリティアになったわ

まなみ:みんな、これ見といてくれ

まなみ:https://・・・・・・

まなみ:(サムネイル画像)

サマーメモリーズ!プリティア へんしんシーン プリティア公式チャンネル

笹良橋(ささらばし) 志帆(しほ) :お仕事終わったら見てみるね

「え〜……」

ひどすぎる。

おタマちゃんに至っては、既読スルーしているぞ。

「しょうがない」

俺から切り出すか。

光一:みんな、大切な話がある。

光一:特におタマちゃん。仕事終わったら連絡入れてくれ

20分ほどして。

ピコン!

たまき:どしたの? ラムネ補充された?

「さて、と……」

光一:みんなで共有したいことがあるんだ

そして、俺は状況を説明した。

ひと月後には、Aランクパーティになりたいこと。

そうしないと、俺とおタマちゃんのパーティが引き裂かれる可能性があること。

笹良橋志帆:ごめんね、みんな。よけいなこと言って……

たまき:余計なことなんかじゃないよ!

たまき:あたしのためにしてくれたんだよね。ありがとう、しーちゃん

(クマが「ありがとう」と言うスタンプ)

まなみ:許せないのは、国の横暴さだ

まなみ:いざとなったら、ネットで炎上させてでも止めてやる

まなみ:悲劇のヒロイン 思川(おもいがわ) 環(たまき) を主役にしたエッセイマンガを拡散させてやるぜ

たまき:ちょっと! そんな形で実名は出さないでよ!

まなみ:は? 実名顔出しでビューチューブにも出てもらうぞ

たまき:やだよ! Aランクパーティになるからやめて

光一:ああ、なろうぜ

まなみ:エッセイマンガも捨てがたいがな

笹良橋志帆:どうしてみんな、わたしを責めないでくれるの?

笹良橋志帆:みんなに相談しないで、勝手によけいなことを言っちゃったのに……

光一:まだそんなこと言ってるのか

光一:決まってる

光一:友だちだからだよ

たまき:友だちだから

まなみ:友だちだからな

光一:しーちゃんが俺たちのためにしてくれたことだし

たまき:あたしだって、こーちゃんとパーティ組んでたいよ

まなみ:賢いしーちゃんが考えたことだろ。ほかに方法はなかったんだろうと思うぜ

笹良橋志帆:みんな、ありがとう

光一:それに、ひと月でAランクパーティになれる可能性も十分にある

笹良橋志帆:え……?

光一:スキル【友愛の 絆(きずな) 】だ

俺は、パーティメンバーが【童心】由来のスキルを使うと、パーティ全員が経験値が獲得できるという見立てを伝えた。

たまき:あたし、今日【水使い】スキル使ってたよ。3 県境(けんざかい) ダンジョンで

たまき:まなみんの推理、当たってるかも

光一:後はまなみんのレベルだ。すでに20近いレベルがある。

たまき:え!? ホントなの!?

まなみ:もちろんだぜ。

まなみ:「アタシ、プリティアになっちゃった!?」

このあと、まなみんのよくわからないトークが繰り広げられた。

プリティアを見て育った世代が、プリティアの声優に 抜擢(ばってき) されたときと同じ気持ちだとか。

絶対ちがうと思うが……。

ま、一応【変身願望】スキルの概要も言ってくれたようだ。

まなみ:あとで、さっきの動画の変身シーン再現してみせるからな

たまき:実戦で使うつもりならムダな時間だからやめたほうがいいよ

まなみ:は? たまたまが気持ちを伝えない時間の方が何万倍も長いしムダなんだが。スキップしてみるか?

光一:気持ち?

たまき:なんでもないよ!

たまき:(クマが紙吹雪をまいているスタンプ)

たまき:(クマが紙吹雪をまいているスタンプ)

笹良橋志帆:みんな、楽しそうだね

笹良橋志帆:ね。夏目くん、お願いがあるんだけど

光一:どうした?

笹良橋志帆:明日のお休みの日、わたしも秘密基地に行っていい?

笹良橋志帆:わたしもみんなと同じように、夏目くんからスキルをもらってみたいな