作品タイトル不明
3 落第
ローズマリーは落第して実家に帰った。
教師から考えを改めるように何度も言われたし、なんならローズマリーのためだけに追試を行おうかとも提案をされた。
しかし全部拒絶して、最短で落第して退学となった。
テストをすべて空欄で提出し、実技の試験は棒立ちを決め込んだ。
その様子を見て猛烈に心配してくるセオドアに意図を聞かせないのは大変だったが無事終えて、領地の屋敷に到着した。
ローズマリーの実家のメイスフィールド侯爵家は魔法学園からほど近い距離にあり、帰宅したローズマリーを怒れる父が迎え入れた。
今にも怒鳴り出しそうなその様子にローズマリーはさもありなんと思った。
父は娘がどれほど優秀か知っているのだ。
それが突然成績不振で落第。多くの期待を背負っていながら、貴族という立場でありながらと腹を立てるのも当たり前だろう。
「言い訳の一つぐらいは、聞いてやる」
絞り出すように父は言った。その言葉に、ローズマリーはぐっと拳を握ってうつむいた。
それから侍女が手紙をさっと差し出し、受け取ってスンと鼻をすすりながら父に差し出した。
「む、なんだこれは」
「……」
無言で静かにしていると、父は多くのことを察してくれた。
涙の跡も、ローズマリーの態度も、割と都合のいいように解釈してくれる。
まぁ、情緒的な部分を抜きにしても、事実として成績を落とせと言う命令のような婚約者の手紙があり、学年首席だった期待の星が打ち落とされて落第した。
メイスフィールド侯爵家としてもレジナルドの実家であるケンドール伯爵家も同じように将来に渡って得るはずだった利益を失い、大きな損害を被った。
そういう事実があるだけであり、これが争いの種にならないわけもなく。
何の仕事もしていない結婚もしていないような娘は当然メイスフィールド侯爵家の所有物という扱いになる。
しっかりとした教育をし素晴らしい成果を出し始めていた価値のたっぷりあるそれを、ぶち壊して害をもたらした。
将来にわたってローズマリーが手に入れるはずだった給金や得は無に帰し、今までの教育に使った費用や、損害の賠償を求めるのは当然の権利で証拠もある。
ケンドール伯爵夫妻が何度屋敷に謝罪に来たのか覚えていない。
それほど騒がしくなって、ことは混乱を極めた。