軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

王都に引越しました

驚愕の事実を知った。

爺さんとばぁちゃんが元夫婦だった。

いや、前から二人とも気兼ねしない間柄だなとは思ってたけどね。まさか本当に夫婦だったとは。

それにしても『元』が着くって事は何かあったんだろうけど、その辺の事は聞きたいけど聞くに聞けないし、何かモヤモヤするな。

まぁ機会があったら教えてくれるだろうしそれまで待つか。

そんなこんなで引っ越し作業です。異空間収納があるから荷造りとか超簡単です。この世界では引越屋は魔法使いの独壇場だな。

引っ越し作業はあっという間に終わり、間もなく王都に向かって出発です。王都ではどんな暮らしが待っているのか楽しみだ。

この家も爺さんに拾われてから十四年住んでただけに愛着もあるけどね。

ところでこの家はこのまま残しておくそうだ。侵入者防止と状態維持の結界を施していくので劣化もしないらしい。魔法万歳だな。

ちなみにその魔道具を用意したのはメリダばぁちゃんです。

なんだかんだ世話を焼いてくれるばぁちゃんです。

なので、こんな提案をしてみた。

「じいちゃん、王都にある家ってどれくらいの大きさなの?」

「そうさのう、国から下賜されたもんじゃから大きくての。何部屋あったのか覚えておらんのう」

マジでか?

「はぁ、この爺さんは……部屋数は二十、小さな夜会が開けるホールにデカイ応接室。大きな暖炉と十人は座れるソファーがあるリビング。二十人位で食事が出来るダイニングにお風呂もあるよ。後、台所じゃなくて厨房がある」

マジ、デッカ!

「ばぁちゃん詳しいんだね」

「そりゃあそこの爺さんとは一時夫婦だったからね。その屋敷もまだ一緒の時に貰った物だからアタシも住んでたのさ」

「そっかぁ、ねぇばぁちゃん?」

「ん? なんだい?」

「ばぁちゃんも一緒に住まない?」

「ブッフォン!!」

「な! ななな何を言ってんだい!」

爺さんが飲んでたお茶を吹き出して某GKの名前を叫べば、ばぁちゃんは真っ赤になりながら叫んでる。

「だってさ、それだけ詳しく間取りを覚えてるって事は、一緒に住んでた時に家の事を仕切ってたのばぁちゃんじゃないの?そんな屋敷に詳しいばぁちゃんが居てくれると助かるんだけどなぁ」

チラ。

「じいちゃんと二人きりで勝手が分からない大きな家に住むのは不安だなぁ」

チラ。

「ばぁちゃんに助けて欲しいなぁ」

チラ。

「あぁ、もう! しょうがない子だねぇ。分かったよ、一緒に住んであげるよ」

「ホントに!? やったぁ!!」

「シン……そんなにワシと二人きりは不安かのぅ……」

爺さんゴメン。そういう訳じゃ無いんだけど、やっぱりばぁちゃんも一緒に住んで貰いたかったんだよね。

これまでは爺さんに遠慮して言わなかったけど、事情を知った今なら大丈夫かなと。別にヨリを戻して欲しいとかそんなんじゃ無くて、爺さんもばぁちゃんもホントの爺さんとばぁちゃんだと思ってるからさ。ただ二人と一緒に住みたかっただけなんだ。

そんな訳で、ばぁちゃんも一緒に住む事になったので三人で王都へ向かいましょう。

ちなみにゲートは俺が認識してる場所しか行けないから行きは馬車を使います。この馬車はトムおじさんが用意してくれたものです。荷台に幌が付いた馬車で、その中で休む事が出来る。

まぁ王都までは一日掛からないので必要ないですけどね。

っていうか一国の王様が頻繁にウチに来るのに何日も掛かる所にある訳無いじゃないですか。っていうか爺さんが隠居する際に『あまり遠くへ行かないでくれ』と頼まれたらしい。

ディスおじさん……。

さて、王都への道程ですが割愛します。

だって特に何も無かったんだもの!

いい日差しと馬車の揺れで眠気を堪える方が大変でした。

そして、やって来ました王都です。

門から続く長い列に並びようやく俺達の番が回ってくる。

「身分証はありますか?」

と入国を管理してる兵士さんが訊ねてくる。

身分証?

「ほっほ、これでいいかのぅ」

「ハイよ」

と爺さんとばぁちゃんが身分証を出す。おおい! 俺のは?

「っ!!?」

爺さんとばぁちゃんの身分証を見た兵士さんが目を見開いて固まった。っていうか俺身分証無いけどいいの?

「あ、あの! 『賢者マーリン』殿と『導師メリダ』殿でありますか!?」

と兵士さんが大声で叫んだ。

っていうか賢者って……導師って……。

そう思って二人を見る。

「「若気の至りじゃ(さね)」」

ハモってるハモってる。

二人の二つ名に困惑してるうちに周りがザワつき出した。

「賢者様だって!?」

「ホントかよ!」

「導師様もいらっしゃるらしいわ!!」

「賢者様! 導師様!」

うわっ! 周りが騒ぎ始めた。

「スマンがこれ以上は騒ぎになりそうじゃ。早いとこ済ませて貰っていいかのぅ」

「はっ! も、申し訳ございません! あ、あの……こちらの坊っちゃんは?」

坊っちゃん! 初めて言われたよ! うわっ何かお尻がムズムズする。

「ほっほ、この子はシン。シン=ウォルフォード。ワシ等の孫じゃ」

「お孫さんでしたか! どうぞお通り下さい!」

「ああ、ありがとう。お勤めごくろうさんじゃの」

「っ! あ、ありがとうございます!」

あの兵士さん涙目になってな。スゴいな、爺さんとばぁちゃんって本当にこの国では未だに英雄なんだ。自分の事ではないが凄く誇らしいなぁ。

周りからの注目を浴びつつ王都に有る家に向かう。流石王都、人がすげえ。元日本人で東京の人混みを知ってるとはいえ、実際にこんなに大勢の人を見るのはこの世界に来て初めてだ。

およそ十四年振りの人混みに視線をキョロキョロさせながら街並みを進む。

それにしても綺麗な街並みだな。道路は全部石畳だし、建物も全部石造りだ。それとよく見るとコンクリートが使われている事に気付く。前世の世界でも古代ローマではコンクリートが使われてたそうだから特に違和感は無い。ゴミも落ちてないし、あれだな、いわゆるヨーロッパ風の街並みだな。現代の。

そして馬車を進める事三十分。

遠いよ! これだけでこの王都がどれだけ大きいのかが分かる。

王城はまだ遠くに見えてる。

その王城を中心に囲う様に貴族や豪商が住むデカイ屋敷が並んでる区画があり、更にそれを囲う様に平民が暮らす区画がある。

向かう家は、平民の暮らす区画、平民街としよう。それと貴族が住む区画、貴族街としよう。その境目位にあるそうだ。

特に平民街と貴族街で別れてる訳では無いが、王城に行く機会の多い貴族達が城の近くに邸宅を構え、特に王城に用事の無い平民がその外側に家を構えたのでこんな街並みになってるそうだ。

そしてようやく屋敷に着く。そのでかさに屋敷を見上げ口をあんぐりと開け呆けてしまう。

これはあれだ、前世でも悪い事しないと住めない系の家だ。

屋敷の門の前でそんな事を考えていると。

「ようこそお帰りなさいませ、マーリン様、メリダ様。そして、初めましてシン様」

門の脇から立派な鎧に身を包んだ兵士さんが現れた。

「って、シン様って……」

「我等が尊敬する英雄殿のお孫様です。シン様とお呼びするのは当然かと」

マジでか? 何かこればっか言ってんな。

「ほっほ、この子はこういう扱いに慣れておらんでな。あまり堅苦しくない様に接してやってくれんか?」

「はっ、かしこまりました」

いや、だから堅いって。

そして、その門番? さんが門を開けてくれて馬車が敷地内に入っていく。

改めて見てもでっかい家だなぁ。二階建てでシンメトリーになっており、多分右に五部屋、左に五部屋が二階あって二十部屋なのだろう。そしてこれまたでかい門を開くと……。

「「「「「「お帰りなさいませ」」」」」」

ズラリと並んだメイドさんと執事さんが出迎えてくれた。

「え? なに? どういうこと?」

「ほっほ、ディセウムが派遣してくれた様じゃのぅ」

「はぁ、これがあるからここは嫌なんさね」

マジでか?